無法天に通ず!男気スペースオペラ!スターウォーズ・ローグワン※ネタバレあり

スターウォーズ。
映画を普段見ない人も一度は聞いた事があるのではなかろうか?
ジェダイ、ダースべーダー、フォース、ライトセーバー・・・・
ここら辺のワードは、生きていたらどっかで耳に挟む機会があろう。
その影響力と言ったら、聖書かジョン・レノンかスターウォーズかと言われるほど。
ここ日本のみならず世界中にファンがいる、いわゆるSF映画の代名詞ですな。



 
なにぶん歴史が長い上にファンが多いのも手伝って、映画の裏設定やら深い考察が交わされるジャンル映画でもある。
中にはビートたけしの超常現象スペシャルに出演する専門家ばりにディープなファンも存在し、畏敬を込めてスターウォーザーと呼ばれるらしい。
しかし、聞いてもいない豆知識やら考察を聞かされてもねえ・・・
心底嫌な顔しか出来ねえ!
個人的には、スターウォーズについては一見さんお断りな会員制のバーを想像していたのだった
ハリソンフォードのシャツからはみ出る胸毛とか、ジャンゴフェットの顔は寿司屋の大将に似ている、ストームトルーパーの警備のザルさ加減をウヘヘと話せるような、スナック的な雰囲気は、まずないだろうなあ・・・と勝手に感じていた。
 
そもそも評判の悪いエピソード2が大傑作と思ってる時点で、俺がスターウォーズと接点を持つことはないだろう・・・・と、鳥貴族の出す酒みたいな映画で安く酔っぱらっていたのだが、何の間違いか何十年かぶりにスターウォーズを観る運びになった。
最新作スターウォーズ・ローグワンである。
なんでまた俺が観に行く気になったのか?
理由は一つ。
ドニー・イェンが出演するからに決まってんでしょ!!
言うなれば、普段はオリーブやら上等なチーズを出す会員制のバーが、エイヒレをつまみとして出したようなもんである。
どんな話が展開するのか?これはドニ―ファンとしては行くしかあるまい!!
スターウォーズについては大して・・・というか殆ど知識はないにも関わらずだ!!
悪いか!!
・・・と、ドニーありき、ローグワンというよりドニーワンのつもりで劇場に駆け付けたのだった。
どうせなら道連れも呼ぼう!
・・・と普段映画など見ない、スターウォーズのスの字も知らない同僚へドニ―さんばりにローリングソバットを放ち、道連れに決定!
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↑同僚にソバットを放つ俺。

「何か事前にスターウォーズの映画観といた方がいいの?」と言われ、「暇ならイップマンと孫文の義士団を見ろ」と、スターウォーズをガン無視したドニ―予習を課したのだった。
今考えても無茶だったと思う。
ほとんど死なばもろとも精神。
映画としてというより、観る者の資質としての不安要素しかなかったのだが、いざふたを開けてみたら、同じような死なばもろとも精神が溢れていた。
ドニー成分を別にしても十分に楽しい作品なのだった。
 

◆殴り込み!スペース男気オペラ!◆

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↑実に泥臭い面々。

『小っちゃな頃から悪ガキで、15で不良とと呼ばれたよ』と言わんばかりにチェッカーズ感のある、ジン。
反乱軍のヨゴレ暗殺者、キャシアン。
ドロイドというには人間臭い『男たちの挽歌』ドロイド、K2SO。
帝国から反乱軍への転職希望者、ボーディ。
武装ショットガンホームレス、レイズ。
盲目のバトル僧侶にしてジェダイおたく、チアルート。
 
そんな無法者たちが、なりゆきでチームを結成!
自らをローグワンと名乗り、限りなく不可能に近い作戦『究極兵器デススターの設計図奪還』の為に帝国の本拠地へ殴りこむ!というあらすじ。
 
これはネタを割っているかもしれんが、とにかく男女問わずに男気を発揮する。
そして死ぬ。
思えばスターウォーズといえば主に選ばれし者達が活躍していたが、本作は期待されていない奴らがデカいことに己の命を懸ける。
最初は乗り気じゃなかった他の反乱軍の面々も、徐々にローグワンに影響され男気を発揮していく。
まさに男気のドミノ倒し。
スペースオペラというより男気スペースオペラの様相を呈している。
言うなれば、逃げるは恥な上に役にも立たない状況。
もう星野源とガッキーも恋ダンスを踊る余地がない!

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↑煽り上手な主人公ジン。ここまで言われて動かないのは男じゃねえ!

「やるかやらないかでやるを決めた奴ら」が次々と死地に向かうのだった。

このようにスターウォーズのウォーズの部分が際立っている本作。
泥臭い戦闘、一山いくらで人が死ぬ、惑星規模の大破壊。
まさかスターウォーズで、こんなハードな模写を見れるとは思わなかった。
また、話が進むにつれて、なりゆきで仲間になった無法者達が一つの目的のために命を散らしていく
どいつもこいつも良いツラをしながら。
スターウォーズと全然関係ないが思わず「生きる自由もあれば死ぬ自由もあるさ。ただおれはいくさ人。 ここで引けば、俺ではなくなる男が死すべき場所を誤るは あわれなものよ…」という、花の慶次の一篇が頭をよぎったのだった。
この隆慶一郎イズムがローグワンにはあったのじゃなかろうか。
無法天に通ず!
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↑実に良い表情な慶次。スターウォーズ関係ないじゃねえか!!

 

◆我らのドニーさん◆

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↑ドニーさんが言うなら、こちらも頷くしかない。

思えばフィリピンのど田舎でナタを振るっていたドニーさんが、まさかスターウォーズに出演するとは・・・
人の出世はあんまり祝わないが、今回に限っては素直に祝福したい気分になった。
 
ジェダイに憧れ、修行しているうちに別方面・・・というかカンフーに磨きのかかった僧侶を演じるドニーさん。
アニメやアイドルのオタクはサイリウムを振るというが、ジェダイオタクのドニーさんは代わりに昆を振るうのだった。
ともあれ、現実でブルース・リーを信じていたドニーさんだからこそ説得力のある役なのではかろうか。
観る前はストームトルーパーのマスクをマウントパンチで叩き割り、三角締めを極める図を想像していたが、本作のドニーさんはかなり行儀がいい。
それでも観る者にドニーインパクトを与えてくれる。
・ストームトルーパーを蹴りと昆でシバく。
・拳に気合をいれてから放つ、タイファイターを一撃で破壊するドニーアロー
・目隠しをされそうになり「俺は盲目だぞ!」と返すドニージョーク
・・・など前半の見せ場を独り占めする活躍ぶりを見せてくれる。
スターウォーズの枠内で暴れていたドニーさんだが、他の主演映画は枠に収まらないオーバーザスターウォーズな活躍を見せてくれるので、是非チェックしていただきたい。
そして孫文の義士団を見て「ローグワンと同じじゃねえか!」と叫ぼう!
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↑ドラゴン危機一発97はドニーさんの本気が見れますよ!

 

◆中間管理職クレニック◆
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↑偉そうだが中間管理職だ!
ローグワンに立ちはだかるのがデススターの開発責任者クレニックである。
マントの裾が長い辺り、タダものではない感じではあるが、中間管理職の悲哀を本作で見せてくれる。
なにせ究極兵器デススターの開発が成功しようものなら、それまで文句を言っていた上司のジジイに手柄を奪われそうになり、ダースベイダーへ直談判に行けば「そんなもんお前で何とかしろよ。」とフォースでキュッと首を絞められる。
しまいにはデススターに欠陥があるのを知り、クレーム処理に追われるものの、テンションの上がったローグワン及び反乱軍が予想以上に頑張ったおかげでエラい目に合ってしまうのだった。
現実でも押しの強い連中が幅を利かせているものだが、板挟みになった経験のある人にとって奮闘するクレニックの姿も涙なくしては見れない。
正史でも帝国のトップダウンぶりが描かれていたが、ローグワンでは改めて「帝国で働く人間も大変だなあ・・・・」とシンミリできる。
 
 
・・・とまあ、門外漢なりにアレコレ書いてみたが、現実では限りなく俺もローグワンに近い。
デカいことはできないかもしれないが、それでも誰かに希望を託して良いツラで死ねるだろうか。
そんな事を思わせてくれるスターウォーズでしたよ。
 
※ ・・・・などと書き上げていたら、キャリーフィッシャーの訃報が・・・合掌。
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