じゃりん子チエ – Be Power Hard Boiled
Be Power Hard Boiled

じゃりん子チエ

 
日本最後のストリートともいえる街ー西成。
有数のドヤ街を有し、または日本で唯一暴動が起きる町としても知られている。
まあ、聞きようによってはゴキゲンな町ですな。
どう見ても無職のおっさん達が真昼間から路上で酒盛り(コップ酒)は当たり前。
常に小便の臭いが鼻をつく、注射器をぶら下げたおっさんが歩いている、電柱の横でおっさんが意味不明な言葉を叫んでいる、もしくは肉体労働者のおっさんが路上で死んでいるなど・・・・もう、ストリートとしか形容できない。
ある意味、USJに行くよりも刺激的な街である。
俺も関西へ初めて来る人には「ジュラシックパークライドなんかに乗らずに西成に行け!」と言っては嫌な顔をされています。
 
そんな街を舞台にしたアニメがあるのを御存じだろうか?

それがじゃりん子チエである。

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一見すると、その牧歌的な見た目のキャラに「どーせ下町の人情ものでしょ?三丁目の夕日的な。」という人もいるかもしれん。
事実、俺もそう思っておりましたよ。
ある日、死ぬほどヒマだったのも手伝い、一日かけて改めて見てみた。
俺がビッグな間違いを犯していたのを痛感したのだった。
 
 
確かにちょっとホロリと来る話もあるにはありますよ。
だが、基本的には毎話、登場人物の誰かが殴る・もしくは殴られる、という割とバイオレントな話なのだった。
口を突くワードとしてクソババア、バカ、ワレ、おんどれ、いてこます、死ね、ドアホ、金玉などのスラングが飛び交う。
無職、バクチ狂い、酒飲み、ヤクザ、ムショ帰り…社会のはみ出し者しか出てこない。
そんなハードなストリートを舞台に小学生の少女が己のタフさとバイタリティでサバイブする、という。
並みのラップを聴くよりも、見るものにインパクトを残すアニメ作品である。
 
という訳で、気が付けば俺もビーパワーアニメ担当になりつつあるが、今回はストリート感溢れるアニメ、じゃりん子チエを御紹介しようと思います。
 
全65話、メインキャラからサブキャラまで、とにかく煮詰めたダシ汁並みに濃い。
登場するキャラやエピソードを詳細に書くのは相当な無理がある。
決して面倒くさいとか、そういうもんじゃないですよ!多分!!
36年も前のアニメなので未見の方もいらっしゃるでしょうから、今回は、まずメインキャラをサラッと紹介します。
でも大丈夫!
メインキャラだけでも胸焼け必死ですから!お客さん!
 
◇西成のストリートを生きる者達◇
 
 
・チエ  
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今作の主人公。
口癖が「ウチは日本一○○な少女や」だが、日本一タフな少女なのは間違いない。
例えば相手が舐めた態度を取れば容赦はしない。

ストリート仕込みのリリック、もしくは下駄とこん棒で相手を黙らせる。

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冷静に考えると、『母親は家出、オヤジは無職』という、ハードな家庭環境を抱えており、限りなく貧乏かつ不幸である。
普通であれば途方に暮れそうな状況だ。
だが、あくまで『それはそれ、これはこれ精神』で小5にしてホルモン屋を自営業(‼)
自分が置かれている現実を見据えた上での行動力がハンパじゃないのだった。
父であるテツを呼び捨てにしているが、そりゃあ自分で店を切り盛りしてる上に小遣いまであげているので、言う権利はあるなあ…と見るものに思わせてくれる。
そこら辺のガキが親を呼び捨てにするのとはだいぶ訳が違う。
このように小学生にして肉体労働者、ヤクザなどの酔客も商売相手にしている為、バイタリティがワイルドスピードのドミニク並だ。

また、ここ一番の勝負強さには定評があり、例えばVSヤクザの野球回では投手の元甲子園球児プライドがどうのと言えば「何がプライドや!ウチは生活がかかっとるんや!!」と返し、圧倒的な強打でホームランを叩きこんだ。

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まさに西成ストリート系少女である。
 
 
 
・テツ 
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オープニングで毎回猪に乗って登場する、チエのオヤジにして無職
暇だからヤクザを殴るという、歩く暴力装置である。
この人がメインの回になると、毎度誰かしらが殴られる。

「喧嘩はやられた分だけやり返すから楽しい」が信条の為、話が進むと、背丈が三倍位ある力士、ボクシング東洋チャンピオンに挑戦するなど、板垣恵介が描くようなグラップラーぶりを発揮してくれる。

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しかし、腕っぷしは強いものの、基本働いていないので、そこらへんのガキにお菓子を奢ってもらうなど、言い訳が出来ない程のろくでなしぶりを披露!
結果、関わったはみ出し者の殆どがテツと絡んで堅気になるのだった。
とにかくロクでもない事しかやらず、周りも呆れるのだが、基本的反省ゼロの為に逆に清々しささえ感じさせる。
どう考えてもバクチと喧嘩しか能がないと思われていたテツだったが、以前は下駄でマラソン大会に参加していた(!?)チエの為に運動靴をコッソリ買う、不器用ながらも披露した結婚式のスピーチなど、たまに世間一般の普通をこなすと、何故か見てるコチラがもらい泣きしてしまうのだった。
これはこれで一種のツンデレとでも呼べるのではないだろうか?
また劇中、何かにつけて全裸になったりパンツ姿を披露する。
いわば今作品でのサービス担当ともいえる。
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・小鉄

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人間よりハードボイルドな猫。
マスコット的なキャラクターと紋切型で終わらせないのが、小鉄である。
武闘派の野良猫として全国を転々としていた為、戦闘力は高く、必殺技はタマ潰し
過去には男を看板にする腕自慢の猫たちを廃猫にしてきた。
その戦闘力は人間相手でも引けを取らないが、貧乏を絵に描いたような親子連れの猫とのバトルで戦いの虚しさに気づき始める。
TV版では団子屋で寝ている所を何の因果かチエが引き取ることとなった。
早速、居候していると『土佐犬すら噛み殺す』と言われる猫アントニオとバトル!
タマ潰しで片玉を抉り、間接的な死因を作ってしまう。
思うところがあったのか、息子であるアントンjrから墓場での死闘を挑まれ、ひたすらノーガードでクリティカルを食らいながらそんなもんか」「どないした?かかってこんかい。お前のオヤジはもっと強かったど」と煽りまくり、根負けさせたのだった。

この際に発する「人間と付き合うと苦労するよ・・・」は小鉄屈指の痺れるシーン。

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試合に負けて勝負に勝つ、というロッキー的な猫である。
劇中で人間を差し置いて男前なのは間違いない。
猫ながら、店の用心棒、掃除、接客、野球のピンチヒッター(!?を務めるなど、「ほとんど人間じゃねえか!!」と言いたくなるオーバー・ザ・猫ぶりを披露してくれる。
 
・アントニオjr
 
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小鉄がロッキーとすれば、いわばクリード的なポジションの猫である。
いわゆる、けものフレンズですな。
先述した通り、オヤジであるアントニオの仇として小鉄を狙うものの、小鉄の男気に触れ、タッグを電撃結成!
二匹でひょうたん池のヤクザ猫軍団を全滅させる、賭場に乗り込んできた警官隊を殴って気絶させる、小鉄と人間相手の野球の試合に参加するなど、話が進むにつれてエクスペンダブルズのステイサムばりに小鉄の恋女房になっていくのだった(オスだけど)
まだ年が若いのも手伝ってか、季節の変わり目になるとポエムを呟き、小鉄がそれをガン無視するのが恒例となっている。
こういう所もエクスペンダブルズのステイサムっぽいですな。
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他にも、
普段はモジモジしているが酒を飲むと格段に戦闘力が上がるお好み焼き屋のおっさん
やくざのコンビだったのに最終的にはラーメン屋に鞍替えさせられるカルメラ兄弟
李白の研究をしているインテリなのにテツへの嫌がらせが趣味の花井先生
小学生相撲チャンピオンにして無駄に絵が上手いヒラメちゃん、
チエへのdisを生き甲斐にする小学生まさる、
マトモに見えるがテツと結婚している時点でどうかしているお母さ
正拳突きでイスをブチ抜くおばぁはん
…など、個性的なキャラの枚挙にいとまがない。
そんな愉快なキャラクターが話が進むにつれて野球、相撲、ボクシング、ラグビー応援団との抗争など、往年の熱血硬派くにおくんばりの展開を見せていくのだった。
 
 
結局じゃりチエって何なのよ
 
言ってしまえばド底辺であろう、社会的にドロップアウトしている奴らしか出てこないアニメ。
そんな奴らが「負け犬だ!」「惨めだ!」なんて変な開き直り嘆きもせず、とにかくタフにストリートを生き抜いていく。
かと思いきや切ない模写やセリフを、あくまでさりげない形で描く
何というかラップとブルースの同居とでもいいましょうか。
俺も社会的には欠点しかない野郎ではあるが、見ると思わず黒人パワーを得られるのだった。
世の中的にはユルい日常を描いたアニメを日常アニメと言うらしいが、そんなもんは俺にとっては無縁だ。
俺が最もリアルに感じられる日常アニメ。
思わず、俺も入れてくれ!と言いたくなる。
それがじゃりん子チエなのだ。
 
アニメに関してはhuluとかNetflix辺りで全話配信しているので是非、暇ならヤクザに喧嘩売るほどある、という方には是非見て頂きたい。