神々の家庭問題 第3弾「マイティ・ソー:バトルロイヤル」

マイティー・ソー・・・強化された童貞、武装した金持ちなどアベンジャーズの濃いメンツの中でも「神様」という人類を超越した存在であり、1,2を争う強さを持ちながらもいまいちキャラが安定していないという危うさがあった。

そのため、デビュー作「マイティ・ソー」では地球のビールに興奮し、


「エイジ・オブ・ウルトロン」ではおっさん立ち合いの元、露天風呂で絶叫

最近では「ドクター・ストレンジ」のおまけ映像で「シビル・ウォー」に呼ばれなかったことにすねてヒーローからニートにまで堕ちるというぶれた姿を我々に見せてくれた。

そして何より彼の問題は複雑すぎる家庭である。

人智を超えた虚言癖かつイタズラ好きの弟であるロキからの憎まれ方が尋常でなく、 頻繁に殺そうされそうになる・・・というかロキがいつも地球で暗殺を計画するので毎回街一つが壊滅するという迷惑極まりない兄弟ケンカを繰り広げてきた。

そんな彼らをビーパワーハードボイルドは生温かい目で追い続けて早数年、3作目である「マイティ・ソー:バトルロイヤル」が公開された。



あらすじ

MCUの「聖お兄さん」ことソーは魔王っぽいやつ・・・スルトに捕まっていた。
「我の怒りがアズガルドに・・・民の悲鳴が・・・大地に」とか演劇調の自分のセリフに酔っているスルトに「ごめん、もう1回言って」と話の腰を折り続けた結果、世界の終末そっちのけでソーにキレるスルト。

モンスターハンターに出てきそうな手下にソーを襲わせるが、そこはおなじみの「何でも出来るハンマー」ことムジョルニアで脱出に成功。

久しぶりにアズガルドに帰ってきたわけだが、親父のオーディンが「マイティ・ソー:ダークワールド」での話を盛りまくって「死んだロキはいいやつだった。」という劇を上映し民の涙を誘っていた。

親父の様子が明らかにおかしい、てかおまえロキだろ!!と2秒で勘付いたソーはキャラの変わったオーディンをムジョルニアで撲殺をプランニング。予想通りロキだった。

「親父は追い出すし地球はめちゃくちゃにするし、もういい加減にして。マジで殺すぞ。いや、もう殺す!!」とマーベルの意向そっちのけでMCUを終了させようと本気を出しかけたソーだが、「とりあえず親父を探そう」とロキと地球へ。親父がいない、どこ行ったんだろうと困っていたところ、 兄弟もろともドクター・ストレンジに拉致られる。

ストレンジから親父を探す手伝いをする代わりに「お前の弟はマジでめんどくさいから弟もろとも二度と地球に来ないで」と言われて渋々承諾。

オーディンはというとノルウェーでゆったりとした生活を送っていた。
ビックリマンみたいな恰好をやめてカーディガンが似合うジジイになっていた親父、
久しぶりの親子3人の再開に感動する時間もなく、

「あのさ・・・ずっと言ってなかったんだけど・・・・

おまえらに姉がいるんだ。

それがあまりにもグレたから封印してたんだけど出てきちゃった。(苦笑)

これからややこしいと思うけど頑張って」と衝撃のカミングアウト。

呆気にとられる兄弟をガン無視で「じゃあそういう事で!!」と死ぬ親父。その直後に目の前にさっき教えられたばかりのお姉ちゃんことヘラが現れる。

初めて会ったお姉ちゃんは飲み会で写真見せたら盛り上がるレベルの美人だった。

しかし親父の遺言通り尋常じゃなくグレていた。

おまけに絶対に「めざましテレビ」で紹介不可な犬も飼っている。

期待していたおねえちゃん

実際のおねえちゃん

「親父は暴力で世界征服した後、良い人にキャラチェンジした上に私を監禁した。だからムカつく。アズガルドを暴力で支配する」 と激オコなヘラにいきなりムジョルニアを破壊された上に兄弟もろとも宇宙の果てにぶっ飛ばされる。

ソーがぶっ飛ばされた先は、ゴミだらけの宇宙の辺境惑星であるサカール。MCUの西成、あいりん地区みたいなところだ。

そこには笑顔で人を殺す支配者のグランドマスター、飲んだくれの姉ちゃんのヴァルキリー、のほほんと革命を語る思想が右寄りなコーグとこれまた殺伐とした連中に囲まれて西成ライフを送ることになったソー。

日雇い労働ならぬ日雇い殺し合いに参加する事になったわけだが、そのバトルロイヤルでのチャンピオンがなんと古いお友達のハルクだった!!

果たして姉のヘラの母親は一緒なのか?

親父が他の女と遊んだ結果なのか?

てかロキは!?

何より西成から脱出できるのか!?

世界の平和はさておき、まずは家庭を何とかしないといけないソーの戦いが幕を開けた!!

過去にもその片鱗を見せてきたが、本作でのソーは完全なコメディキャラになっている。

これについて我々ビーパワーハードボイルドも「ディズニーのマーケティング的な戦略か」など2分程考察した結果「ジェーンと別れたことが原因」説を提示したい。

高校時代の友人に「高田(仮名)」がいる。

高田は野球部のキャプテン、クラスの人気者でおまけに彼女がかわいいという「一刻も早く死ななければならない」カテゴリーに属するリア充だったわけだが、ある日彼女と別れた。

さすがに高田も落ち込んでおり、はじめてゆっくりファミレスで飯を食ったところ、市内屈指のヤンキー校だった母校の殺伐としたエピソードからテレビゲームまでオールジャンルで話がおもしろかった。

その後、それまでは若干スカしていた感があった彼だが下ネタも解禁、
女子の支持率は若干下降したが男子の支持率はうなぎ昇りとなった。

高田の変貌のきっかけが彼女と別れた事を考えるとソーの変貌ぶりも理解できる。

結果として高田は今もなおナイスガイだ。それを考えるとソーも高田同様、これから明るい未来が待っているはず。

ソーが一皮剥けた事に加えて弟のロキにも変化があった。

これまでは虚言癖でスキあらば兄をハメようとし、 時と場合次第では人類もろとも兄を殺そうと素行に問題があったが、 本作では虚言癖こそ治っていないものの、以前ボコられたハルクを見た時の顔芸や兄弟でのコントにもノリ良く対応、ある程度空気を読めるようになっていた。

何よりもオーディンになりすましてアズガルドの王座を奪っていたわけだが、オーディンとソーがいた時よりも平和な国になっていた事からしてやっぱいい奴だったのだろう。

他にも2年間ハルクに体を乗っ取られてすっかり卑屈になってしまったブルース・バナー、「ジャッジ・ドレッド」ばりにカール・アーバンが漢気を発揮するスカージ。めんどくさ過ぎるお姉ちゃんヘラと愉快なメンツに溢れている。

中でもビーパワー的には安定した漢気を発揮するヘイムダルに加え、ヴァルキリー(「クリード」でアドニスの彼女役だったテッサ・トンプソン!!)というブラザー精神に溢れた黒人が大活躍するところが見どころである。

最終的にどうかしているとしか思えない狂ったエンディングになるわけだが、これは是非とも自らの目で確かめて欲しい。

一皮剥けておもしろくなったソー&ロキ兄弟。この調子でアベンジャーズ3次会である「インフィニティウォー」ではちんちんの1本や2本を出して欲しいところだ。

映画観たらこれが一番欲しくなった。