深夜1時から見る映画


気が付いていたら年が明けていた。

明けても、めでたくない!
ちっともだ!
 
 
そんな新年の挨拶…というか、いきなり新年の罵倒になってしまったが、いきなりついでに、皆さん深夜1時に映画を観たりしませんか?
『オマエのように暇じゃねえよ』という声が聞こえそうではあるが、先日もはや何回目になるか分からん、スタローンの「追撃者」を気が付いたら再生、完全に夜も更けた深夜1時位にボンヤリ観ながら考えた。
 
 
 
尻に火が点いている裏社会のスタローンが、自分の状況をガン無視して、あんまり面識のない身内の為に漢気を発揮、ポルノ集団を追い詰めるのが、追撃者のあらすじである。
 
まともな人なら寝ているであろう時間に観る、追撃者。
描かれているのは世界の危機でもなく、今の流行に沿った摸写もない。
アクションも派手というより地味よりだ。
人によっては見た所で人生に大して影響はない映画かもしれない。
しかし画面の中のスタローンは1mmでも自分の人生を変えようと不器用かつ武骨に人を殴る。
お世辞にも大した出来だとは言えない作品なものの、俺は年に何回か『追撃者』を見返してしまうのだった。
何度も見ては『そもそも、何で俺は、こんな時間に追撃者を見てるんだろう…』と思わず遠い目になってしまう。
そしてなんやかんや最後まで見て午前3時位に寝落ちするのだった
 



そんなのさっさと寝りゃいいじゃないのよ、ていう話ではある。
しかし、『連休なのに家の掃除洗濯だけで終わってしまった』『外に出たのは近所のコンビニへ行く時だけだった』あるいは仕事でやらかして尻から火が出るほど怒られた』『前の日に朝までオールして起きたのが午後4時だった…』
そういう日に感じる、訳も分からない敗北感
『このまま1日終わるのも何だかなあ』という、やるせない気持ち。
そんで気が付けば深夜に家で一人で始まる映画鑑賞。
あんま超大作だったりすると付き合うコッチにも気合が求められ明日仕事があるしなあ…と思わず次の日のアレコレを気にしてしまう
あとやたら深夜に真面目に考えるのもねえ…えーなんだ、テーマとか
基本的に『映画には真面目になるな』を是としている俺である。
『よし!サクッと観て寝よう!追撃者!となるのだった。
ただの夜更かしじゃねえか!と言われれば、それまでだが、この際深夜1時に観る映画』と名付けたいと思いますが、そういうジャンルの映画を観たくなる日が誰しもあると思う。
ないか!
そうか‼
じゃあ寝よう‼
 
しかしながら、去年も色々映画を観たのだけれども、結局思い出すのは『レッドブル』『プレデター2』『追撃者』なあたり、俺も育ち方を間違ったといわざるおえない。
 
ともあれ、世間一般で名作と言われる作品を見て人生を感じる人がいるように、こうした『午前1時から見る映画』こそ俺の心に染みるのだった。
我ながら「他人と比べて大した人生を歩んでないからだろう」と思ってしまう。
悪いか‼
 
えー、でまあ最新かつ流行の映画を鑑賞して周りと「楽しかったなあ!」と共有するのも、ソレはソレで良いとは思うが、かといってソレばっかなのも何だか違う気がしてしまう。
他人からの共感を得る為だけに映画を見るってのは、もはや自分を飾る為のファッションじゃないのよ、と。
そういうのも見方によってはアリなのかもしれんが、思わず『映画より自分が好きなんじゃないの?』と言いたくなってしまう。
例え、周りの人から見たら「え?何で今それなのよ!」と言われても「知るかバカ!」と言い返せる、周りの目を気にせずストイックに映画を見る目も忘れたくはないもんです。
 
 
で、身内と距離を置いて地元に戻ったスタローンの追撃者に関連して(今思い出した)、先日、かれこれ高校以来の友人と10億年ぶりに地元で会った。
彼は「今の俺のトレンドはジャッキーのレッドブロンクスブルース・ウィリスのジャッカル」と言い切りジャッキーの映画には三菱車が無駄に使われる』『ジャッカルにてブルース・ウィリスが機関砲を向けながらジャック・ブラックに「走れぃ」というセリフを放つ、披露する機会が全く無い物モノマネ』『セガールの沈黙の鎮魂歌で、のどかな音楽が流れつつもナイフバトルはエゲツないそして無駄に長い』…など、他人からしたらマジどうでもよい話題で、ウへへと互いに笑いながら、かれこれ8時間ほど盛り上がった。
どこを切っても与太話しかなかった。
結局、お互いの近況報告などが一切出なかったのはどうかと思うが、同時に離れていた時間や距離を一切感じさせなかったのだった。
そういう意味でも、世間で大して評価されていない映画が繋げる縁というのもある。
 
映画のテーマとかカメラワーク脚本について総合して語る方がモテるだろう。
興行収入ナンボだとか言えば、賢く見られるかもしれん。
話していても何だか本人も深い話をしている気分にもなれるだろう。
 
だが、もっと映画の微妙な部分。
「誰が気にすんだよ!そこ!」みたいな、完全に少数派しか頷かない部分。
あるいは「え?何が起きた!?」と思わず2度見してしまうような瞬間の発見。
そういう側から見たら無意味に思える映画の微妙な部分への共感や発見にこそ、より深みのある交流が生まれる気がするのだった。
という訳で、今年も旧作新作含め『午前一時から見る映画』を大事にしていきたいもんです。