ビーパワーリブートVol.1 シリーズ最大級の瞬間筋力「ターミネーター4」(ネタバレあり)

ビーパワーハードボイルドもいつの間にやら5年。

結成する前に一人でやっていた「放課後エクスペンダブルズ」から考えると7年、ブログで映画について頭の中が虫歯になるような感想を書き続けている。

今までそこそこの数を書いてきたが、ほとんど読み返した事がなかった。(≒読み返したくなかった)

俺もいい年なので「趣味といえど、仕事同様振り返る事は大切だな」と先週からムダな真面目さを発揮して少しづつ読んでいるわけだが、やはり初期のクオリティは低い。

以前ダイスケさんが何かの取材の打ち合わせで先方が提示した文章を見て
「これじゃあ、ダメです。ビーパワー基準ならボツになりますよ!!」とダメ出しした事があったそうだ。

ビーパワー基準というのが意味不明だし、そもそも二人とも今までまともな記事なんて1つも書いていない!!先方も「きっしょ」と思っただろう。

実際、お互い現在進行形でビーパワーハードボイルドを隠してる!!

とはいえ、それはそれ、これはこれ!!

今ならもう少しちゃんと書けるかも、という事でこれから定期的にハリウッド映画よろしく、記事をリブートして行こうと思う。

リブート第1弾はこれ、「ターミネーター4!!」

先日「ターミネーター ニューフェイト」の予告が公開され、シュワルツェネッガーとリンダ・ハミルトンのハードコア高齢者っぷりに度肝を抜かれていた時、俺は「1」でも「2」でもなく「4」を思い出した。

2009年6月、俺は23歳だった。

飲み会は最後までつきあえ、ゴルフを始めろ、社内営業こそ大切というクソみたいな会社でストレスに溢れていた頃。

「いつまでこんな毎日が続くのか」と狭いアパートで孤独にタバコばかり吸っていた時に公開された。

ご存知の通り、シリーズで唯一アーノルド・シュワルツェネッガーが主演じゃない作品。

当時は「エクスペンダブルズ」という奇跡はまだ起こっておらず、シュワルツェネッガーも不倫がバレず、ごりごりに政治に燃えていたので、スクリーン復帰は諦めていた。

今の世の中なら公開前からSNSで「作り直せ!!」「観たくない!!」とブーイングの嵐だろうが、映画に関しては当時からどんなものでも「ありがとうございます」精神の私。

性に目覚めたばかりの中学生が「おっぱい」という単語を見ただけで欲情するように俺は「ターミネーター」という単語だけで興奮していた。

あらすじ

「審判の日」以降の2018年(なんと去年!!)

スカイネットの核攻撃により人類が激減。

「曇り時々にわか雨じゃなくて爆撃」といった様子で絶賛治安が荒れ散らかしていた。

レジスタンスのリーダーであるジョン・コナーは「あれ?ターミネーターの開発が前倒しなんだけど・・・」と想像した以上に騒がしい未来に内心ドキドキしながらも生き残った人類にターミネーター破壊のためのお得情報及び、「君たちは決して孤独ではない。君たちは人類の未来だ」とパワフルなメッセージを配信しフォロワーを増やしていた。

チャンネル登録すうは生き残った人類ほぼ全員、ネットでの絶大な影響力を持ったジョン・コナーの元に衝撃的なニュースが。

スカイネットが極秘で遂行しようとしている暗殺リストの最重要ターゲットに「カイル・リース」の名前が。

パパやん・・・

そう、タイムスリップした1984年でサラ・コナーと結ばれる自分の父親だ。

今の時代だと16歳のはず。

自分より遥かに年下のパパ捜索及び保護に乗り出すジョン・コナーと偶然出会ったカイル・リースとマーカスの運命が交錯する。

と、まぁ文字にしたら「パパを探す」だけの物語なのだが、ターミネーターはいつも「ママを守る」「子供の頃の俺を守る」のどれかなので決して手抜きではない。

この映画、新3部作の第1章として作られていたが、制作側のゴタゴタで収束。その後、シュワルツェネッガー復帰で「ターミネーター新起動/ジェニシス」が作られた事もあり影が薄めではあるが見どころはめっちゃある。

まず、ジョン・コナーがシリーズで唯一頼もしい。

人類の指導者であるが他の作品ではジタバタしているガキ、もしくは既に故人なので、ちゃんとしているジョン・コナーは本作だけ。

人類に向けて配信している「コナーのちょっといい話」は修羅場をくぐっているだけに説得力がある。
自分で「革命家」と名乗り「学校には行くな」とドヤ顔で語るガキは「サボるな」の一言だが、クリスチャン・ベイルが演じている事もあり「俺も頑張ろうかな」と思う。

また、「ターミネーター3」で登場したできそこないのガンタンクみたいなT-1と違い、T-800の前期型であるT-600やT-700がT-800に比べて大型で偽装もあまりできていないといった設定も現実っぽくて、メカ好きの俺にはたまらないものがあった。

他にも本作でようやく全体が見えるハンターキラーや、バイク型のモトターミネーター、スカイネット製の人類採集器ハーヴェスターなどメカ三昧だ。

今まで夜の描写しかなかった「審判の日」以降の世界もがっつり昼間も描かれている。「マッドマックス」やんという野暮なツッコミはするな。そんな奴は生き残れないぜ!!

そんな世界でも俺がイチオシなのが、マーカスがガソリンを求めてやってきた場所にいる屈強な男たちを従えた婆さん。

「渡すもんなんてねぇよ!!出ていけ」と荒ぶる男たちを一言で黙らせ「(出て行かせる前にマーカス達と一緒にいた子供に)食べ物をあげてからよ」 と食料を提供するパワフルな優しさ。

終末世界になっても思いやり精神に溢れたこの婆さんの優しさはどんな女よりも美しい。

また、サム・ワーシントン演じるマーカスは人体実験で意識はそのままにターミネーターに改造されており、それだけでもきついのに、人類からも嫌悪される。
そんな中で漢気をひたすら発揮し続けT-800に対するタックルからのブン投げの頼もしさ。ラストの漢気には拍手を送りたい。

ちなみに小説版では映画では描かれていないマーカスの心情描写が多く、「目が覚めたら治安が悪化してるし、何故か腹も減らないし全く疲れない」という自身の体に違和感を感じていたりする。

そして何より終盤のあのシーンだ。

研究室のようなところで突然目の前の扉が勢いよく開き吹き飛ばされる・・・目の前にいたのは!!

SCHWARZENEGGER!!

思えば18年、幼稚園の時にはじめて「ターミネーター2」を観て、「 1」も観たいと両親にビデオを借りるようにせがんで自分で修理するシーンで怖くて目をつむった。

小学生の時に自転車に乗る時は傘をくるっと回す練習。

風呂やプールでは必ずサムズアップ。

高校3年生、受験勉強の息抜きで少ない小遣いを握りしめて観た「ターミネーター3」

男だけで観に行ったUSJのターミネーター2 3D

レンタルでは我慢できずDVDも買った。それでも我慢できなくて「ターミネーター2018」をレンタルして観てしばらく何もやる気が起きなくなった。

社会人になってボーナスでターミネーター2のショットガンのガスガンを買った。

家で回す練習をしていたら重くて指がちぎれそうになったし、おまけにガスガンは壊れた。

「「4」にシュワルツェネッガーは出ない」・・・正直がっかりしたがそれでも観に行った。それであのシーン!!

本人じゃないし、ボディビルダーのローランド・キッキンガーに1984年のシュワの顔を合成したものではあるが、あの仏頂面を観た瞬間、興奮が頂点になり体の奥底からぞくそくとこみ上げるものがあった。

映画を観終わってからも帰りの電車の中で「ずっとこの瞬間を待ってたんだ」と自分でもわかるほど心拍数があがっていた。

その後、シュワルツェネッガーの子供たちが「シリーズ最高」と言って傷ついたシュワが批判するようになったのも頷ける。

「I’ll Be Back」の使い方とかちょっと強引なところがあるが今一度を観返して欲しい。

夏の花火、地平線に太陽が沈む瞬間、パンチラ・・・。

一瞬の輝きが心の中で永遠に輝く。

一生忘れることのない名シーンがある事が名作の条件だと思うが、瞬間最大筋力が大きかったのはシリーズの中でも「1」でも「2」でもなく「4」だ。

リブートするに当たって観返して、場合によってはコマ送りにするなど綿密にチェックしたが残念な事に映っていなかった。

アーノルド・シュワルツェネッガー