ほうでっか… そっちがアメリカなら、こっちはミナミじゃい! これがホンマのMCU!〜難波金融伝ミナミの帝王~

MCU。

どっかの消費者金融の略かとずっと思っていたのだが、マーベル・シネマティック・ユニバースの略というのを以前聞いてもいないのに教えてもらい、なげえよ!と思ったもんです。
アメコミを換骨脱胎、ロジカルに実写映画として構成し、映画好きからアメコミファンが感心しきりの同シリーズ。
だが、ここ日本にもMCUがあるのを皆さん、ご存知だろうか?
 
それがミナミ・シネマティック・ユニバース(MCU)こと、難波金融伝ミナミの帝王である。
竹内力の出世作の一つとしても挙げられる本作。
ミナミの鬼こと高利貸しの萬田銀次郎が、自分の債務者を食いものにする悪党相手に法律や金融知識を駆使し、ぐうの音もいえないほどに詰めて金を巻き上げるのが主なあらすじ。
関西では今でも土日の昼下がりに毎週放送されている。
老若男女揃って、お茶の間でも安心して見れるVシネマである。
 
 
奇しくも、こちらのMCUもカロリー高めの原作マンガを換骨奪胎してクールに実写化、悪党をロジックで殴る映画として主に俺のような一部の人間を感心させるVシネマのシリーズとなった。
竹内力の主演した本数だけで何と打ちも打ったり60本。
かつて、関西から遠く離れた俺の地元のビデオレンタル店の棚が丸々一つミナミの帝王というのもザラだったのを考えると、その影響力は推して図るべきだろう。
東にウシジマくんがいれば西に萬田銀次郎あり。
それが関西の通説である。
ジャケットの竹内力の顔面がイカついので、「さては内容も暴力的なんだろうなあ…」と思われるかもしれんが、銀ちゃんは悪党を法律の知識で殴る。
ここぞという時に画面に ビシッと出る 、北斗神拳の奥義ばりの法律用語。
 
 
 
もうウルフオブウォールストリートのディカプリオからも回収出来そうな勢いである。

パッケージからは予想できないかもしれんが、シリーズを追っていると法学部辺りで教材として取り上げて良いのではないか?というほど無駄に法律に詳しくなれる。


またアメリカのMCUは予習を必要とするが、ミナミのMCUは一本で完結という潔さ。
後に引きずることはない。
しかも基本の流れは債務者に取り立てに行く→債務者が悪党に金を騙しとられる→銀ちゃんが悪党から理詰めで金を回収する→主題歌の欲望の街のイントロが流れて銀ちゃんのドヤ顔エンド。
60作、どこから切っても見れる親切な作りである。
「全部同じじゃねえか!」と言われるかもしれんが、「ほうでっか…ほんで見ないのは高こうつきまっせ」と銀ちゃんばりにポッケに手を突っ込んで帰りたくなる。
 
 
そんな破壊力がミナミの帝王にはある。
また、あくまで金を回収する為と嘯くものの、結果的に債務者に新しい人生のスタートを切らせる辺り、ツンデレドラマと呼べる側面がミナミの帝王にはある。
 
 



そして、どちらのMCUでも必見なのはコスチュームである。
アメリカのMCUは割と現実に沿ったコスチュームであるが、ミナミのMCUはコレ!
 
もうお前何処で買ったんだよ、というド派手なスーツである。
しかし、そんな色の暴力のようなスーツを劇中の人物の誰もが突っ込まない。
作り手側も服装で別に笑いを取りに来ているわけでもなく、 それはそれとして話は進んでいく。
というか他の面々の服装も大概だが、特に竹内力が飛び抜けて派手な為に、割と普通に見えるのだった。
よく映画のイベントでマーベルのコスプレを見かけるが、ミナミの帝王のコスプレを見たことがない。
それもこれも劇中の竹内力の眼力および顔面を持つ者しか出来ない唯一無二のファッションだからかもしれない。
そういうことにしよう。
服装や演技に誰もツッコまずに話が進むフリーダムな世界観、けどロジック自体は割とマトモなストーリー展開という西高東低な温度差も、ミナミの帝王の魅力と言えるのではないだろうか?
 
 

 
いかがだっただろうか?
MCUは世界の危機だが、ミナミの帝王は大阪市民の危機を描く。
柳沢慎吾、山本太郎、竹井みどり、川島なおみ、いしのようこ、まさかの桐谷健太…などなど、若干バブルを感じさせる脇役のコテコテな演技、気がつけばシリーズを追うごとにセリフが無くなり顔面だけで演技する竹内力、クセになるエンディングテーマ『欲望の街』など、もうとりあえず見てくれ!と言いたくなるマーベルのMCUばりに深い要素が盛りだくさんである。
しかし、ここまで書いといてアレだが、この文章だけではミナミの帝王の魅力を伝えるのは無理があったといわざるおえない。
 
ともあれ、なんでもかんでもアメリカに右習えというのも癪な話だ
マーベルのコミコンも良いが、天王寺&郷力也兄弟、竹内力なんかを呼んだミナミコミコンを開いて対抗するのもありなんじゃなかろうか?
宗右衛門町あたりで!
ないか!そうか!
少なくとも俺は行く!多分!