派手にやろうぜ!!「コマンドー」を超えた「コマンドー」「ワンダーウーマン1984」

公開が危ぶまれていた「ワンダーウーマン1984」が本日12月18日に公開された。

映画、特に大作は軒並み公開延期や配信となり、残念なニュースばかりだった2020年だっただけに年内劇場公開は嬉しかった。

本日の公開に先駆け一足早く観ることが出来たので言ってしまうと、2020年の鬱屈した日々を吹き飛ばす元気いっぱいの作品だ。

DCといえば以前よりビーパワーハードボイルドでは
「ハリウッド製キン肉マン」
ロジックより強烈な絵力と気合でねじ伏せる作風をこよなく愛しているが

「ジョーカー」で社会の底辺の苦しみを描きアカデミー賞受賞。

続く「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」でも景気の良さはあるが女性の心情描写が絶妙で「あぁ、DCも大人になったんだな」と楽しみつつも、「もう、あのお祭り騒ぎはないのかと少し寂しかった。

「ワンダーウーマン1984」はどうだろう?

批判を覚悟で言うと「コマンドー」だった。

そう、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の1985年の名作だ。

地上波で放送する度に祭りとなり、観る度に明日を生きる活力を与えてくれる一本。

この35年、愉快なアクション映画はたくさんあったが「コマンドー」と同じグルーヴを持って、かつ同水準に達した作品は本作だけだろうと思う。

ネタバレ全開でワンダーウーマンの魅力を解説していくので、まだ観てない人はご注意ください!!

舞台はセミッシラ、幼き日のワンダーウーマンはワンダー運動会に出場していた。

難易度を限界まで上げたSASUKEのようなワンダー運動会

ルールはさっぱりわからないが、壮大な光景にいきなりカウンターパンチを食らわされる。

「なんだかわからんがとにかくスゴイ」は名作の条件だ。

なお、このワンダー運動会はストーリーには一切絡まない。

時は変わって1984年。

ワンダーウーマンことダイアナ・プリンスは表向きはスミソニアン博物館で考古学者として働き、裏では犯罪を取り締まるワンダーパトロールをしていた。

今日もショッピングモールで悪党たちを腕力でねじ伏せる。

ただし、暴れているのは筋肉モリモリマッチョマンの変態ではない。ガル・ガドットだ

※このシーン「「コマンドー」そのまんまだな。」と思っていたら実際かなり意識して作ったらしい。

ある日、謎の石が博物館に運び込まれる。石に向かって願えば望みが叶うという。

同僚のバーバラは残業中にふと思った。「私はイケてない。ダイアナみたいにイケてる女になりたい・・・」

翌朝、事務所で目が覚めたバーバラは誰もが振り返るセクシー美女になっていた。

博物館に実業家のマックスが現れる。
演じているのは「マンダロリアン」で世界中のスターウォーザーを熱狂させているペドロ・パスカルだが本作のマックスはとにかく胡散臭い。

オンラインサロンを開いたり、真顔で「死ぬこと以外はかすり傷」と言い出しそうな類といえばなんとなくわかるだろうか。

危険を察知し「こいつとはそれなりの距離感で付き合おう」と即座に判断したワンダーウーマンはマックスと適当に話をあわせてその場を去ることにした。

後日、参加者の6割は何の仕事をしているのかわからない異業種交流パーティーで押しに弱いバーバラはマックスにそそのかされて石を渡してしまう。

マックスは案の定、事業がうまくいっておらず借金まみれ。事務所はボロボロ。自分の子供の前で出資者からは「負け犬」と怒鳴られるほど困窮していた。

欲張りなマックスは「俺は勝ち組になりたい・・・いや、むしろ石そのものになりたい!!」と願い石の力を手にする。

翌朝からマックスが念じれば石油はバンバン掘り起こされ、一躍時の人となるマックス。

調子に乗ったマックスは滅びた文明を復活させるといった壮大な願いを叶えたと思えば、運転中に渋滞を解消させるなど日常的な事にも使いはじめる。

会うたびに港区女子度がアップするバーバラや突然大成功するマックスにきな臭さを感じていたワンダーウーマンの元に現れたのはなんと前作で世界の平和のために犠牲となったスティーブ・トレヴァー!!

そう、ワンダーウーマンも石を見た時にどさくさに紛れて「彼氏が生き返りますように」とお願いしていたのだ!!

数十年ぶりの再会に大喜びするワンダーウーマン。

スティーブも「死んだはずなんだけど何故か生き返った。よくわからんがめでたい!!」と地下鉄やエスカレーター、80年代のファッションに興奮する。

何故かウエストポーチに異常な興味を示すスティーブと共にしばらく幸せな日々を送っていたが、突然冷静になる。

スティーブ「俺が生き返ってるってやっぱおかしない?」

ワンダーウーマン「そうやねん、やっぱおかしいよな。」

調べた結果、あの石は思いっきりアウトでこれまで石を使ってきた文明は欲望にまみれたあげく滅んだという。

これはヤバい!!という事でマックスを追うために空軍基地に忍び込み戦闘機に乗り込む二人

どうやって潜入したかは置いといて案の定、警備に見つかる!!

「さっさと飛んで逃げきろう」と提案するスティーブに「ごめん、今はレーダーっていうのがあるわけでな、見えなくても探せたりするんだな!!」と戦闘機に乗ってから謝るワンダーウーマン。

大雑把過ぎるワンダーウーマンに対して「どうすんねん!!」とさすがに軽く切れるスティーブに対してワンダーウーマンは冷静に

ちょっと待ってな、戦闘機消すわ」と返事する。

ワンダーウーマンが呪文を唱えると消える戦闘機!!

飛行機に乗ったら言いたいセリフ暫定1位だった「だったら漕げばいいだろ!!」の上を行く「だったら消せばいいだろ!!」が誕生した瞬間だ。

マックス一味との戦闘時に弱体化していく、ワンダーウーマン。

銃弾を受けたら血が出るなどきちんとダメージを受ける。

今までがあまりにも強過ぎたので、ゲームではよくある事だが、まさか映画で劇中に調整が入ったのか?と思いきや原因は石で、願いを叶える代償にその人の大切なものを失う効果付きだった。

もちろん、欲張りまくっているマックスも体調絶不良なのだが

「みんなの願いを叶えまくってその代わりみんなの健康を奪ったら余裕なんですぅー!!」

という小学生ばりのアイデアで他人の願いも叶える受付もはじめる。

その結果、「いつか牧場を開きたい」と思っていたじいさんの家に突然牛がやって来たり、有名になりたいと思ったアルバイトが意味もなくメディアに付け回される。

やがて国家レベルのお願い事で核爆弾を大増量させるアメリカとソ連。

人類の夢の数だけ崩壊する地球。果たしてワンダーウーマンは世界を救えるのか!?

前作は都会にやってきた超能力少女や飛行機好きのボーイフレンドなど魔女の宅急便要素が多数あった。

「落ち込んだりもしたけれど、私は最強です」とスクリーンで暴れるワンダーウーマンが素敵だったが、本作は「帰ってきたコマンドー」だ。

試しにコマンドーのキャッチコピーを羅列してみると
「許せない!!奴らはただでは済まさぬ!!」
「これぞビッグ1」
「派手にやろうぜ!!」
「怪力!!強烈パワー」
「ノンストップアクション」
「圧倒的スケールの面白さ」

と全て「ワンダーウーマン1984」にも当てはまる。

実際、「コマンドー」「ワンダーウーマン1984」ともにふりかかる困難及びストーリーの進行を気合で解決していく。

アーノルド・シュワルツェネッガーとガル・ガドットも全く違うようでいて「人類とかけ離れている」という点で同じだ。

ただし「コマンドー」は予算を使い果たしてクライマックスは地下室で殴り合うというそれまでと比較すると地味な展開だが、ワンダーウーマン1984の予算はたっぷり残っていたのだろう。

比較すると上映時間も1時間長いし、最後の最後までワンダー祭りは終わらない!!

かつてリーアム・ニーソン主演の「96時間」が成し遂げれなかった「コマンドーを超えたコマンドー」の域に達している。

個人的に最高に笑ったのは

・イケてる女になった分、元の優しい性格が消えた同僚のバーバラが最終的に「生態系の頂点になりたい」と言い出した事
・予告でも話題になったゴールデンアーマーについては説明はほどほどに「ちょっと前に見つけた」とワンダーウーマンの部屋に飾られていた事だ!!

なぜイケている女を超えて「生態系の頂点」になりたいに変わるのか?

どうやってアーマーを手に入れるのかという我々の妄想を覆し、家にあるんかい!!着る気満々じゃねーか!!といったクレームは野暮だ。

「コマンドー」で工場には潜入したのに武器屋にはブルドーザーで突っ込む事に対して怒るのは間違っている。

頭ではなく体で感じよう。興奮に身を委ねよう。そうすれば終盤で悠々と空を飛んでいるワンダーウーマンも心地よく感じるはずだ。

「ジョーカー」「バーズ・オブ・プレイ」で見せた繊細さは「あれは嘘だ」と言わんばかりに強引に進むストーリーに初見こそ思考回路は無効化するだろうが、とにかく突っ込みポイントを見つけて笑って欲しい。

それこそ「コマンドー」のようにこれから何十年もかけて愛して欲しい。

2050年くらいに「ワンダーウーマン1984」爆音上映や吹替の帝王が発売されるのを楽しみにしている。

キン肉マン要素は!?というそこのあなた。

俺も「今回はゼロか」と思っていたが、クライマックスで人々の欲望によりコントロールが効かなくなった世界で「みんな、落ち着け!!謙虚になろう!!」とワンダーウーマンが全人類に呼びかけるシーン。

あれは間違いなく「キン肉星王位争奪戦編」でのネプチューンメッセージだった!!

安心してくれ、ゆでたまご先生の想いは消えていない!!

人によっては好き嫌いが大幅に分かれるだろうが、観終わった後、明日への元気が湧いてくるのは間違いない。

コロナにより人類史上最悪の一つともいえる2020年を締めくくるに相応しい一作。

ワンダーウーマンは今年を生き抜いた全ての人類に送る忘年会なのだ。

映画館に行き、ポップコーンもドリンクもたっぷり買って最高の2時間半を過ごそう!!

https://wwws.warnerbros.co.jp/wonderwoman/comment_cp/

公式サイトにてコメント書かせて頂いております!!

派手にやろうぜ、Let’s Party!!