キメろ!魂のヴァリアブルコンビネーション!『デッドプール&ウルヴァリン』

破天荒と掟破りに定評のあるヒーロー、デッドプール。

そんな彼氏のシリーズ第三弾が遂に公開された!!

それが『デッドプール&ウルヴァリン』だ!!!

シリーズ劇中でも度々ヒュー・ジャックマンをイジっていたデッドプールだが、今回は満を持して彼が演じるウルヴァリンが登場!

『LOGAN』で渋く引退したのに復活すんの!?と二度見した人もいるのではなかろうか。

ともあれ、かつて長州力が引退したものの、大仁田の挑発を受けて速攻リングに復帰、電流爆破デスマッチに参戦した復活劇を思わせた。

(大仁田も保守本流である新日本に単身殴り込み、結果的に大仁田劇場を繰り広げ長州をリングに上げたムーブは、デッドプールに通ずるものがある)

まあ、ウルヴァリンも死んでも死なないド根性に定評のある男なんで、そこはイーブンにしようや!

という訳で、以下あらすじ。

前作のヒーロー活動に勢いづき、押しかけ同様の状態でアベンジャーズの面接を受けるものの、丁重にお断りされたデッドプールことウェイド・ウィルソン。

いつしかヒーロー活動に見切りをつけ、気が付いたらカタギになっていた。

とはいえ得意のマシンガントークも、あくまで人殺しの場でしか活きない代物。

なんとも冴えない日々を送る彼氏であったが、誕生日パーティにてドラえもんでいうとこのタイムパトロール=TVAに連行されてしまう。

前作で時間軸を変えまくった責を負うかに思えたが、どうやら活躍を認められ悲願のMCU入りを果たす。

誕生日プレゼントとしては、この上ないお知らせである。

保守本流への合流に喜ぶデッドプールであったが、自分がいた世界線はどうやら崩壊する運命にあるのをT.P.ぼん的ポジションのパラドックスから知らされる。

聞けばどうやら漢一匹ミュータント=ウルヴァリンが人生の終止符を打った『LOGAN』が世界崩壊の原因らしい。

何故かはサッパリ分からねえ上に、崩壊は何千年後ということで、柴田恭兵ばりの『関係ないね』精神でいたデッドプールだが、パラドックスは違った。

どうせならすぐやっちまおう!とアマプラお急ぎ便をクリックする感覚で世界線を丸ごと破壊するのを決断!

いくら不謹慎なデッドプールでも、これを見過ごすわけにはいかなかった。

とりあえず何かしらのウルヴァリンがいれば世界の崩壊を止められるというアバウトな救済策を思いついたデッドプールはパラドックスに頭突きを見舞い、時空転移装置をカツアゲ‼︎

返す刀で抜き打ちマルチバース面接を始める。

しかしオファーする度に色んなウルヴァリンから「またぐなよ」暴力による内定辞退を食らい続けるのであった。

なんやかんや、あるバースで丁度良いウルヴァリンを見つけたデッドプール。

だが拾ったウルヴァリンは案の定、やさぐれウルヴァリンであった。

なんならヤサグレ具合では、いまどきのZ世代以上

おかげさまでシレっとTVAに連行するものの、思いのほかウルヴァリンガチ勢だったパラドックスに週マガと月マガを間違って買ったくらいの勢いで拒否られてしまう。

結果、デッドプールとウルヴァリンは、陽の目を見ないマーベルキャラたちが送り込まれる虚無空間送りとなってしまうのであった。

しかもダメ押しのように傍若無人なマルコメ・エスパー姉ちゃん=カサンドラ・ノヴァが虚無空間を支配、思った以上に治安の悪い空間に仕上がっているじゃないのよ!

果たしてデッドプールとウルヴァリンは、元の世界線に戻れるのか?

何より間近に迫った世界の崩壊を回避できるのか?

今、世界の運命は水と油、ギャラガー兄弟以上に相性の悪いコンビに託されたのであった。

MCU保守本流になれなかった、あるいは大人の事情でなかったことにされていた奴ら。

でも、そいつらがいたからこそ、今がある!

そんなイズムを感じさせてくれる本作。

なかったことになんてしねえよ!という作中の模写に90年代後半、あるいは2000年代のメジャーコンテンツになる前の実写アメコミ時代を駆け抜けたファンはグッとくるだろう。

シリーズ史上一番『できっこないをやらなくちゃ』精神がスパーキングした結果、同人誌もかくやという掟破りのサプライズを矢継ぎ早に繰り出してくる。

もちろん本筋もサプライズに負けていない。

パッと見ると正反対に見えるが、根っこの部分では不死身のアウトサイダーとして共通点のあるデッドプールとウルヴァリン。

性格やノリは違えど、不死身ながら思い通りにいかない現実を抱えた二人が、生きる道を見つけるのがグッと来てしまう。

とはいえ、本気か冗談か分からない温度でデッドプールが全方位コケにしまくる姿勢は健在。

良く通ったな!このセリフ!!と勝手に観客ながら心配になってしまう。

おかげさまで無責任ヒーローとして宣伝されているデッドプールだが、念願のMCU入りを捨てるのをいとわず、身近にいる仲間たちを守るのを選択しているのを見ると、決して無責任ではない。

むしろサラリーマンをしている俺なんかより、断然責任感がある。

また、ネタにしつつ劇中でもX-MENやアベンジャーズに入るのを熱望していたデッドプール。

だが、いつしか俺には俺のX-MENやアベンジャーズがある!と気づいていく。

ノーウェイホームならぬ、イエスマイホーム!的な内容に仕上がっている。

他人が用意した型に囚われない、この姿勢。

実生活で学んでいきたいものだ。

そんな彼の相棒になるのは『LOGAN』にてシリーズを葬式のように粛々と〆たウルヴァリン。

だが、今回はうっぷんを晴らすが如く元気ハツラツ!

また往年のたけし軍団のように裸になって無茶をするウルヴァリンを再び見れるとは夢にも思わなかった。

もう荒れた葬式の二次会の様相を呈している。

更にデッドプールに対してはツンツンドライなツンドラ状態。

取りつく島がない彼氏だったが、最新作が公開される度、着る着る詐欺になりつつあった原作準拠のスーツを遂に着用!!

思えば今までのシリーズでは意地でも私服で通したウルヴァリンだったが、ここぞというタイミングでマスク・オン!!

何もかも失った男が名実共にX-MENのウルヴァリンを再び襲名する

まさに20年以上かけたファンへのツンデレも見どころだ。

 

アメコミ映画ジャンルでも、いわば鬼子的ポジションだったデッドプール。

正直、ハロウィンなんかでデッドプールの安易なコスプレを街中で目にすると俺も舌打ちしていたのだが、そんな彼に『無駄だった作品なんて無い』至極マトモなリスペクトを教えてもらえるとは思わなかった。

縦横無尽に作品、配給会社、コンプライアンスの壁を超えるデッドプールが繰り出す、いわば一回こっきりの超必殺技が本作だ。

マーヴルvsカプコン流に言えば、2人が繰り出す魂のヴァリアブルコンビネーションを是非劇場で受け止めて欲しい。

※以下、猛烈にネタバレ。

 見てない奴はまたぐな!またぐなよ!!

じゃりんこミュータントなX23ことローラ、二の腕の逞しさとボブ・サップとの対戦で印象付けた元祖エレクトラ、みんな忘れていたガンビット、ファンタスティックフォーなクリエヴァと、それはそれでビックリであったが、個人的な瞬間最大風速を記録したのは、やはりウェズリー・スナイプス扮するブレイド。

ブレイドがヌッと現れた時は心底腰を抜かしそうになった。

キャップがファーストアベンジャーなら、ブレイドはゼロアベンジャー。

激戦の歴史を思わせる折れた刀、ネイルガンを発射する画角、ブーメラン、そして体重の乗った重めの蹴り。

ブレイド健在なり!!と心の中で叫んでしまった。

マハーシャ・ラ・アリには気の毒だが、もうウェズで作ってくれよ!もう一本!!!

まだまだやれるよ!ウェズは!

えーなんだ、ブレイド&エレクトラとか、ブレイド&ガンビットとか!

作ってくれ!頼む!

それはそれとして、長生きはするもんですね!