俺とエアロスミス

スティーヴン・タイラーの声が治らなくてツアー引退になっちゃった(泣)

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6509566

スティーヴンの事だから将来何事もなかったかのように発言撤回してくれるかもだけど彼も今年で76歳。

いくら超人でも厳しいかもしれない。

ロック好き=エアロスミスは絶対好きと言っても良いくらいのバンド。
俺も大好きだし、Monstar Of Fireのヘアスタイルはスティーヴン・タイラーの真似だ。

名曲は山ほどあるし、一度は「あの人は今」みたいな扱いになったのに80年代、メンバーが30代後半になって大復活したドラマチックなバンドでもある。

個人的にエアロスミスの好きなところは「家族のようなメンバー間のケンカ」だった。

あるメンバーが「バンドの長続きのコツは2年活動したら1年会わないようにすること。そうしたら相手を嫌いにならなくて済む。」と言っていたが、ドリフターズの長さんもびっくりなほど、「絶対的なスティーブン・タイラーと言う事を聞き続ける他4人」という図がおもしろかった。

エアロといえばスティーヴンとギターのジョー・ペリーの二人が目立つが実際はジョー本人も一時期は「実際のところ発言権がなかった。」と自伝で語っていたほどスティーブンが圧倒的な存在だった。

そこでエアロスミスの伝説について語ろうと思う。

1.メンバーしごき事件
バンド結成前、スティーヴンだけ地元で有名なバンドマンで他は音楽好きの学生。

各楽器もスティーブンの方がうまく、ギターのチューニングの仕方など基礎から教えてたらしい。

エアロ以前にスティーヴンと組んだバンドメンバーが引きこもりになるくらい何度も同じパートを練習させたりするらしく、エアロのメンバー達も鬼の指導に発狂しそうだったらしい。

特にドラムについては自身も得意なだけあって一層厳しく、ドラムのジョーイ・クレイマーは泣きながらレコーディングしてた事もあったらしい。

実際「ナインライブス(1997年)」発表前にジョーイが一時的にバンドを休養のため脱退。

表向きは身内の不幸という説明だったが、真相はスティーヴンにドラムの事でしごかれ過ぎてうつ状態になっていたらしい。

※スティーヴンは自伝で「俺はビートに厳しい。だからジョーイとはバンドを始めた時からずっとマンツーマンで指導している」と発言。
ジョーも自伝で「昔からスティーヴンには何度も「ジョーイは誰よりも頑張ってるのに何故あんなに厳しくするんだ!!」と言っている。正直見ていてつらい。あんなの虐待だ。」と発言している。

2.DVD特典事件
「ミュージック・フロム・アナザー・ディメンション(2012年)」発表時のDVD特典でスティーヴンとジョーによる曲解説の動画にて。


いつも通りゴキゲンな口調で「史上最高のアルバムさ!!」と話すスティーブンに対してジョーは終始ムスっとした表情でタバコを吸ったりうつむいている。

おかしな空気の中で解説が続く中、ジョーが消えるような声で「(曲に)チューバを入れたのは変だよ」とボヤく。

スティーヴンも最初こそ「おい、どうしたの?ジョー?」と明るく話すが、ムスっとしたままのジョーに徐々に苛立ち「おまえはこういう時しか意見を言わない!!」と怒り出すが、それでもジョーは下を向いたまま。

「だって俺の意見なんて普段聞いてくれないやん。」とでもいいたげな放送事故の特典だった。

3.メンバー収入格差事件

ベースのトム・ハミルトンが楽器屋で30万円のベースが欲しいけど高いなーと悩んでいたらサプライズでスティーヴンが会計を済ませてくれたらしい。

「高価なベース買ってくれたんだ!!いい奴だよねー嬉しかった!!」というトムの無邪気な様子から普段の収入格差が感じられるエピソードだ

4.他メンバー反抗事件1

スティーヴンがドラッグの影響でステージで転倒、ツアーが休止になった時、他メンバーが入院中に一度もお見舞いに来ないことにブチぎれてバンドミーティングを開催。

「何故お見舞いに来なかった?」と怒るスティーヴンに

「だって・・・腹が立ってたから」

と返ってきたらしい

5.他メンバー反抗事件2

スティーヴンの自己中心的な態度(偉そうだけでなく、誰にも相談せずテレビのオーディション番組の審査員を始める。内緒でレッド・ツェッペリンのオーディションに申し込む)に長年の我慢に限界が来たメンバー。

2010年頃に揃ってバンド史上初とも言える反抗期に突入。(当時平均年齢60歳)

レニー・クラヴィッツをボーカルに迎えて活動しようとしているというニュースが全世界を駆け巡ったが、当のレニー本人から「エアロスミスはスティーヴンあってのバンドだから仲直りしてください。」と断られたそう。

6.キス強要事件

ライブ中に突然ジョーに「俺にキスしろ」と絡むスティーヴン。
しつこいので演奏を止めてガチで怒るジョー。会場で観ていたファンも失笑。

ライブ終了後、スティーヴンが怒り気味に「おい、何故俺にキスしなかった!?あぁ!?」と詰め寄られて渋々ほっぺにキスするジョー

当時スティーヴン71歳、ジョー69歳の時の出来事です。

スティーヴンとジョーの自伝を両方持っているが、自分大好きなスティーヴンと「あの頃スティーヴンが・・・」と内情を暴露しまくるジョー。

どちらもおもしろいので読んでみて欲しい。

なお、スティーブンのジョーの最初の印象は「致命的に音痴」

ジョーは「完璧主義過ぎて何度も練習させられた。気が狂いそうだった。」

 

一度だけ彼らのライブを見たことがある。2011年のこと。

嫁と結婚する前、二人ともエアロスミスの熱心なファンなので、どうしても良い席で観たいと転売サイトから前から8列目の座席を手に入れた。

会場に着くと周りは自分の親より年上であろうおば様ばかり。色褪せたスティーヴンのプロマイド写真を握りしめている方もいた。

ライブはというとこの世のものとは思えないくらいカッコいいスティーヴンと完璧に演奏するおじいちゃん4人。

後ろのスクリーンに浅草観光のホームビデオを流すジョー・ペリー。
ドラムソロの後に倒れたジョーイ・クレイマー。
闘病後でがりがりのトム・ハミルトン。
最年少のはずなのにめちゃくちゃ老けていて、さりげなく難しいギターパートは自分が弾いているブラッド・ウィットフォード。

観客を掌握する大スタースティーヴンと、しっかり演奏して土台を固める他メンバーは最高のチームだった。

どれだけ愚痴っていても「俺達はスティーヴンについて行くぜ!!」という愛憎を超越した絆のようなものを感じた。

最高にカッコいいおじいちゃん達だった。

もうツアーはできないかもしれないけど、せめて地元ボストンのクラブで杖をつきながらでも腰が曲がってもあの5人でまた演奏してくれたらいいな。

記事を書くにあたってかなり参考にした二人の自伝。