死んだ目をした奴だけが生き残る!再び始まる狼達の戦争!ボーダーライン:ソルジャーズデイ※若干ネタバレ

ここ最近、どんな生活をしていたのよ?
と聞かれれば、CIAの汚れ仕事をこなすような生活をしていたと言えば、俺の状況が分かって頂けるだろうか?
たまに鏡で自分を見ていると、ふと死んだ目になっているのに気づく時が往々にしてある。
仕事で生き残るには己の精神を殺さなければいけないのか…と思っていた俺にピッタリの映画が公開された。
それがボーダーライン:ソルジャーズデイである。
キャッチコピーは「そのルールなき戦いに終わりはあるのか?」
この戦いという言葉を仕事に変えてみて欲しい。
身に詰まされるぜ!
 
という訳で、あらすじ。
 
ひとまず前作にてメキシコとの麻薬戦争も落ち着いたアメリカ。
今ではメキシコの不法移民が悩みの種になっていた。
今日も不法移民を取り締まるアメリカであったが、ある日一人の不法移民が爆発!
更に国内のトイザらスっぽい所でも爆発!
どうやら不法入国を利用した自爆テロらしく、メキシコの麻薬カルテルも一枚噛んでる!らしい!とアメリカ当局はアバウトに判断。
この事態にCIAの戦争請負人マットを呼び出す。

お偉方から直々に「ノールール・時間無制限でメキシコマフィアを殲滅せよ」との命を受けるマットなのだった。
早速、『メキシコマフィア絶対殺すマン』ことアレハンドロを再び招集、非合法でチームを結成!
手っ取り早く潰すには内輪揉めだ!という訳で、カルテル関係の弁護士を白昼堂々殺害、アメリカにいる麻薬王の娘イザベルの拉致を自作自演するなど、のっけからモラルゼロの外道という他ない作戦をこなしていく。
 
 
ジワジワとカルテル内戦の火種を起こすマット一行であったが、イザベルを護送途中にメキシコ警察から襲撃を受け、もれなく全員射殺。
この混乱に乗じイザベルが逃げ出し、アレハンドロは単独で彼女を探す為にチームを離れるのだった。
しかし、これがケチのつき始めであった。
「オマエ…いくらなんでも警官殺しちゃダメだよ!ニュースになってるじゃねえか!」とお叱りを受け、どうやらメキシコマフィア全然関係ないっぽい…という事実が完全な後出しで明らかになる。
メキシコマフィアからしたら、いい迷惑であるが、それはそれとして、「色々考えたけども、メキシコマフィア殲滅作戦、あれはなし!つきましては作戦の証拠を残さんようにイザベルも消してね!」という決断を下される。
「そりゃあんまりだろ!」と、あまりの手のひら返しにブチキレるマットなのであった。
もうですね、良い感じに飲んでたのに散々奢らされてキッチリ終電で帰ると言われたようなもんですよ。
だが、お上の命令に逆らえるはずもない。

一方のアレハンドロも何とかイザベルを確保しマットに連絡するものの、「すまん、色々あって作戦はナシになった。つきましてはイザベルも消してくれ」と返される。

 

しかしメキシコマフィアを殺すという利害関係は一致するものの、上の都合は知ったこっちゃないアレハンドロは「断る」と即答!
こうしてイザベル共々アレハンドロも抹殺対象となってしまう。
今までの付き合いもあり複雑な思いを抱えつつ2人の抹殺に乗り出すマット。
気がついたら子連れ狼と化したアレハンドロ。

追い詰められた狼達の己のケジメをつける戦いが始まるのだった。

 
いよいよ女っ気のなくなった新橋のサウナの様相を呈する本作。
前作は地獄の新人OJTを描いていたが、今回は血まみれの働くオッサン劇場である。
おかげさまで前作のエミリーブラント同様、修羅場に付き合わされる他のキャラクターも話が進むにつれ目が死んでいく。
 
 
 
前作と違うのが、これまで情け無用の仕事人として淡々と戦争を仕掛けたマットとアレハンドロだが、今回は思わぬ番狂わせもあり、若干人間らしさが滲む模写ですよ。 
 
登場して速攻短パンおよびクロックスで尋問対象の実家を爆破する生中継を敢行する、仕事の鬼マット。
前回は暗躍していたが、今回はバリバリの現場の人間として前線に躍り出る。
超必殺!マットのドローン大爆破交戦規定=知るかクソッタレ!など実に景気がよい
だが上からのアクロバットな手のひら返しに猛烈にブチギレながらも、アレハンドロを抹殺しなければいけなくなり微かに感情の揺れが伺える。
 
 
 
そして前作にて女子供も関係ない、地獄の突撃!隣の晩ごはんを敢行した狼、アレハンドロ。
弁護士を蜂の巣にするシーンでは修羅の表情を見せるが、上に逆らいイザベルの為に危険な橋を敢えて渡る決断を下す。
何かしら人間らしい物が芽生えたのかと思いたいが、終始、徹夜明けのような死んだ目なので感情が伺い知れず、いつ何時牙を剥くのか分からん緊張感が絶えない。
 
 
 
そんな「どうかしているプロ根性」という点で繋がった仕事の鬼仕事の狼。
2人のすれ違いが何とも切ない本作。
ベタベタせず、大した言葉を交わさないが友情めいた乾いた繋がりを秘めた2人の関係はハードボイルドとしか言いようがない。

 

 

 
八つ当たり気味に作戦対象にされるメキシコ。
上の都合で左右される現場
間違ってるとは分かっていても、渋々こなさなければいけない仕事。
そんな上の意向に逆らい、孤立。
いつ誰がいなくなるか分からん緊張感。
それがボーダーライン:ソルジャーズデイにはある。
前作より渋い仕事ムービーとしての側面が強くなっていると思わずにはいられない。
 
ここ最近、仕事をしていて「いや、最初は、こう言ってたじゃねえか!」とか「後出しの条件ですよね?それ?」とか、いわゆる「ふざけんな!舐めんじゃねえ!」案件が続いてたので、「やはり俺の仕事はCIAだな!」と改めて思うのだった。
これからは何の仕事しているの?と言われたらCIA工作員と答えよう
そうしよう。
 
で、今の仕事もそれなりにやっているが、やはり仕事で生き残るもんほど死んだ目にならざるおえない。
俺も新橋のガード下で、よく見かける目です。
思わず、見た後、メキシコのだだっ広い平野のように荒涼とした気分になれる。
 
全ての社会のソルジャーには染みる映画ですよ。