組長は誰だ!?今始まる怪獣ヤクザウォーズ!『ゴジラ・キングオブモンスターズ』※ネタバレあり

ゴジラが目醒める!
俺は寝ている!
家で!

という訳で、逆輸入ゴジラの第2作ゴジラ・キングオブモンスターズが遂に公開された。

前作にて「公衆の面前でイチャこいてんじゃねえ!」と怪獣カップルをシバキ倒したゴジラ。

ほとんどノリが町内のヤクザであったが、愛を暴力で捩じ伏せる硬派ぶりを俺たちに見せてくれた。

あれから5年。
シンゴジラやアニメ版ゴジラ…ここ日本でも国産のゴジラが作られてきた。

果たして第2作はどうなるもんか…とボンヤリ過ごしていたのだが、いざ蓋を開けるとステロイドをビシバシ打ったゴジラ映画になっていたのだった。

デビュー戦にして無制限一本勝負のハンデキャップマッチに勝利したゴジラが行方をくらまして数年。

世界中では続々と眠る怪獣が発見され、秘密組織モナークは生かさず殺さずの封印&監視の日々を人々に黙りつつ送っていた。
今日も議会に出席し、なんとか共存の道を模索するモナークのケンワタナベであったが、国から「さすがに怪獣多いだろ!目覚めたらどうすんのよ!」と詰められてしまうのだった。


とりあえず、いつものドヤ顔で完全に開き直るケンちゃんだったが、そんな彼氏に寝耳に水のニュースが耳に飛び込んでくる。
なんと間の悪いことに、中国で封印していたモスラが脱走したらしい。

どうやら意識の高さをこじらせた過激派テロリストが「地球を怪獣に戻そう」という、どうかと思う思想の元、怪獣と交信が出来るバウリンガル的な機械を強奪、もののついでに開発者のエマと娘を誘拐。
世界中の封印していた怪獣を叩き起こす暴挙に打って出たのだ。
モスラの次に連中が狙うはモンスターゼロことギドラ。

ヤバすぎて資料すらない厄ネタとしてモナークでも評判の怪獣であった。
この緊急事態に怪獣バウリンガルを知るエマの元旦那にして元モナークのマークを同伴して事態の収拾にギドラの眠る南極に赴くケンちゃん一行。

だが研究ばっかしてたせいか分からんが、ケンちゃん達の奮闘虚しく環境テロリストにギドラの封印を解かれてしまうのだった。
瞬く間に南極基地は上へ下への大騒ぎ

しかし、この大騒ぎに奴が黙っていなかった。
俺に挨拶はないんか!とばかりに、いきなりゴジラが乱入!
人間を巻き込んだ場外乱闘がゴングなしでスタート!
それだけならいざ知らず、世界中の怪獣もバウリンガルなしで一気に叩き起こされる事態に至ってしまう。
なんとギドラはSNSの炎上インフルエンサーばりの影響力を持っていたのだ。

完全に想定外の現象に呆然とする人類。
そんな人類を尻目に一斉リリースされ元気に街を破壊するワンパクな怪獣達。
こうして、人類ガン無視怪獣ヤクザウォーズの幕が切って落とされたのだった。

 

今回も舐められたら終わりの男稼業に精を出す怪獣極道ゴジラ。
パッと出のギドラにデカイ顔をさせるかと速攻で喧嘩を売りにいく姿は、もはや地回りのヤクザを彷彿とさせる。

おかげさまで人類側もゴジラが来たら道を譲って黙って挨拶するしかなのだった。

前作に引き続き、人間に対して物分かりが良すぎる感があるが、最後は爆裂ケンちゃん闘魂注入によりバーニング覚醒。

人類へ思いっきりガンを飛ばす姿は、休日出勤の怒りに満ちていた。
まあ確かに疲れて休んでたら、家を爆破された上にレッドブルとモンスターエナジーを注入され出勤するようなもんなので無理はない。
劇中「ケンちゃんが気合いを入れすぎた!」というセリフがあったが、ラストバトルは有り余る怒りをサウナの熱波のようにギドラへ放ち圧倒!
俺だけかもしれんが、何だか休日出勤したゴジラからギドラへの八つ当たりに見えなくもないのだった。

思えば前作では何もしてないけど何かやった感のあったケンワタナベ。
今回は本人が良かれと思って闘魂注入したのかもしれんが、あれ多分ゴジラ怒ってるぞ、ケンちゃん! 


最後はギドラをキャンと言わせ立ちションを終えたようにスッキリするゴジラだったが、結果、ラドン、ムートー、クモンガ、マンモスゴリラ(誰⁉︎)という馴染みのないメンツに頭を下げられ「よし!ここは一丁吠えとくか!」『とりあえず精神』広域指定怪獣団ゴジラ組を結成するのだった。

一方、人間ドラマが薄いと言われている本作。
なかなかどうしてエクストリームな人間ドラマを展開している。

怪獣が主役…というか製作側が怪獣好き過ぎなので詮無い話ではあるが、なにせ人類側が良かれと思って始めたもんが全て裏目に出てしまうのだ。
おかげさまで、怪獣以上に暴走する人類も本作の見所だ。
後先考えない怪獣解放から始まり、カジュアルに核爆弾使用を即決、ひと山いくらで死ぬモナークおよび米軍、秘密主義が災いして市民への被害が拡大…

さっきのアレは何だったんだよ!」「え⁉︎今それ言う⁉︎」あれはウソだと倫理観をかなぐり捨てたヤケクソなコマンドー展開は、思わずコチラも二度見したくなってしまう。

シンゴジラにて「一番怖いのは人間」というセリフがあったが、こちらは言葉じゃなく行動で見せてくれるのだった。

だがまあ、世界中が怪獣だらけで破壊されまくるのだ。
そりゃ、おかしくもなるだろう!

 そんな大混乱の中、人の命もデフレ状態だ

勿論、あのアカデミー作品シェイプオブウォーターに主演したサリー・ホーキンスですら例外ではない。

同じ怪獣特撮でも、ゴジラの前ではアカデミー女優の命すら紙切れ同然!と言わんばかりの死に様を見せてくれる。

思えば、シンゴジラは少数の有能な人達がゴジラ打倒の大事を成す映画だったが、本作は圧倒的な怪獣を前にして無能にならざるおえない人達マンパワーヤケクソさで大事を成す。
被害は甚大だとしてもだ!

 

どっちがいいかは人それぞれかもしれんが、日々モナークばりに人権が紙より薄いヤケクソな日々を送る俺としては本作がドラマチックに思えたのだった。

良い意味でも悪い意味でも暴力のような展開が続く本作。
怪獣極道・ゴジラ、極妻怪獣・モスラ、怪獣課長・ラドン、怪獣インフルエンサー・ギドラなど右を向いても左を向いても怪獣だらけ。
そんな彼らのシマ争いに巻き込まれ人が死にまくる。

まるでヤクザ映画だ。

実に景気が良い。

ともあれ、前作がチラ見せのグラビアページだとしたら、本作はゴリゴリのAV

製作側のゴジラへの思い入れに胸焼け必須の映画ですよ。