心に愛がなければスーパーヒーローじゃないのさ、
スパイダーマン史上最もみっともなくてカッコいい!!俺達のヒーロー、スパイダーマン!!
昔からポンコツが頑張る作品が大好物だ。
「ロッキー」や「キン肉マン」・・・・・
普段、誰からも期待されていないはみ出し者が男気を発揮して人々に感動を与えたり、自分自身を証明する話は胸が熱くなる。
ビーパワーの記事で「ゆでイズムが炸裂している」とか「スタローンインマイハート」とか書いている時は最大級に褒めちぎっている時だ。
同じ理由からサム・ライミ版「スパイダーマン」が好きだ。
物語冒頭からいきなりバスに乗り遅れてクラスメイトからバカにされる。
女の子が手を振っているので、反応したら後ろにいる他の子に手を振っているだけだった。
ヒロインのMJに自分の正体を隠して「スパイダーマンが君の事素敵だって言ってたよ」とまともに告白も出来ない。
バイトも失敗ばかりでまともに出来ない。
そんな陰キャラ・・・クラス会には呼ばれないような奴が街の平和のために戦い、やがて市民から
応援され、自分自身も成長していく。
公開当時、高校2年生だった俺はコンプレックスの塊だった。
身長が伸び悩み、背の順だと前から3番目以内、髪はくせ毛、スポーツは得意でない、学力も後ろの方。もちろん彼女なんていない。
「俺は将来ハードロックバンドで世界を変える」と言っていたが、バンドメンバーもまともに集まらず、家で楽譜を見ながらギターの練習をしたり、ひたすらメタル雑誌Burrn!を隅から隅まで読んでいただけだった。
ロックスターなんて程遠い、学校帰りに中古CDを買ってたまに映画館に行くの時だけが楽しみの帰宅部。
俺は悩んでいた、「俺は不幸だ。学校に行く意味なんてあるのか?ロックの神も女もそばにいない。孤独だ。」と・・・・・・・
当時を振り返ると、ただ単にこじらせていただけなので、頭が痛くなる話だが、ヒーローなのにみっともないスパイダーマンを見て 「こいつも頑張ってるのだから俺も頑張ろう」と勇気づけられたし、何よりも俺に正気を取り戻させてくれた。
というわけでギターかちんちんしか触っていない灰色の日々を変えてくれた恩人の一人がスパイダーマンと言っても過言ではない!!
こうした経緯から「アメイジング・スパイダーマン」については「なんだこのリア充スパイダーマンは!?
アンドリュー・ガーフィールドみたいな奴にポンコツの気持ちがわかるわけない!!何よりエマ・ストーンが彼女だなんて許さん!!」と 10割ひがみが理由で好きになれなかった。
そして2016年、「シビル・ウォー」にて新たなトム・ホランド版スパイダーマンが現れた。
お調子者で無駄口ばかり叩いているスパイダーマンに「こいつは・・・・・ダメそうだ!!」とアメスパの時と違って好きになった。
そして「スパイダーマン:ホームカミング」だ。
青春時代の大切な映画という自分の中で神格化されているサム・ライミ版には及ばないだろうけど・・・と思いながらも公開初日の朝1の回を観た。
単純に映画としておもしろく、特に後半は「えっー!!そうなの!?」「マジっすか!?」「うわー」っと叫び声をあげるのを必死で抑えないといけないくらいスパイダーマンファンとしては嵐のような伏線回収にお腹いっぱいになる。
MCUおなじみの次作に繋がるエンドロール後のシーンなんて「これ以上されたら過呼吸になるからいらないよ!!」と思うくらいの大ボリュームだった
ヴィランであるヴァルチャーの働いて家庭を持っている人間としては飲みに行きたくなるようなキャラ設定
トニー・スタークのピーター・パーカーへのパパのような優しさ。(父親との思い出があまりない事や「シビル・ウォー」で親友とケンカ別れした事が原因だと思うが・・・「アイアンマン」初期での金持ちのプレイボーイとは別人のような姿に「トニーも丸くなったなぁ!!」としみじみするものがあった)
アメコミ映画として最高だったのはもちろんだが、自分でも信じられなかったのがサム・ライミ版よりも好きになったことだった。
これこそスパイダーマン、愛すべき隣人だった。
まず、ピーターが破滅的にダサかった。過去のスパイダーマンはどちらかというと「大人しい陰キャラ」だったが、本作は「大人しさ」が消えた変わりに 「イタさ」が追加された頼りなさがブーストされていた。
高校生にもなってクラスメイトのネッドとレゴのデススター作り。
学校では隅っこでかわいい女の子を眺めて気持ち悪がられる。
パーティーになると全く溶け込めないと二人して悩む。
トム・ホランドの21歳とは思えない甲高い声と落着きのない演技がイケてなさに磨きをかけていた。
おまけに肝心のヒーロー活動もアベンジャーズに入りたいが故にニューヨークで活動しているが、あまり人々から頼りにされておらず、 「誰か困ってませんか!?」と自分から声をかけ続けている。なかなか大きな事件はない。「今日はお礼にチュロスをもらった」とハッピー・ホーガンに逐一電話で報告するが、もちろん相手にされていない。
若干ネタバレになるがピンチになると泣きべそをかいたのはヒーロー映画で前代未聞だろう。
「誰かー助けてくれぇー!!」と言っている姿は本当にみっともなかった。
「スパイダーマン史上最もみっともない。」この時点で「ホームカミング」に完全に取り込まれた。
そして本作の最高のポイント「一人の少年の成長物語」というところ。
過去作だと1時間くらいすればベン叔父さんが死ぬ(ここが省略されたのはよかった)ので、強制的にヒーローとして宿命を受け入れていくが、 「ホームカミング」は「アベンジャーズに入って目立ちたい」のが目的だったオタクがどんどん男になっていく。
サム・ライミ版、アメイジング・スパイダーマン共にスパイダーウェブを使ったVFXが話題になった。
どちらも映画史上に残るようなアクションシーンだったが、「ホームカミング」については控えめだ。
スパイダーマンといえばニューヨーク中を飛びまくるアクション!!と考えている人が残念に思うの理解できる。
むしろ高いビルがなくて全力疾走したり、まさかの車を運転して移動するシーンもある!!
そんなスパイダーマンなんて見たくなかっただろう。
しかし俺のような「スパイダーマン」を「ロッキー」「キン肉マン」と同じく「心が男前なヒーロー」
として位置付けている人間は男心をカツアゲされまくった。
特にラストシーンでの決断。承認欲求のためではない、ヒーローとは何か、本当に大切なのは何かを知ったピーターはひたすらカッコいい
もう32歳、こじらせたガキではない。思春期というのもとっくの昔に過ぎた。それでも「スパイダーマン:ホームカミング」 は高校生の時に観た「スパイダーマン」以上に熱くさせられた。おっさんになった今の俺にもスパイダーマンは最高にみっともなくてカッコよかった。
自分に自信がない人はたくさんいるだろう、コミュ症、背が低い、太っている、くせ毛、異性と付き合った事がない、運動音痴、勉強が出来ない・・・自分に自信がない人に一歩踏み出す勇気を与える、場合によっては人生を変えるだけのパワーがある。
これからは是非とも自分を見失いそうになった時、男気が足りなくなった時に「ホームカミング」を注入していきたい。
新しい「心の一本」が出来てよかった。
最後に・・・テーマ曲はスパイダーマンのテーマではなくラモーンズの「電撃バップ」だった所が最高だった。
https://youtu.be/TYh1lRR1m6Y
スパイダーマンと同じニューヨーク出身、「スパイダーマンのテーマ」もカバーしているのでこの組合せは続けていって欲しい
東映版スパイダーマンの記事。これはこれで元気になる。