お盆に奴が帰ってきた!「ターミネーター2-3D」

~この夏、奴が帰ってきた!!お帰りなさい!ご存知シュワルツェネッガーの超大型打ち上げ花火!母さん、今年のお盆はいつもより暑いです~

いくら言葉を尽くしても語り切れない映画。

あるいは理屈は分からんが何度も観てしまう映画。

『心の一本』と言える映画が誰しもあるのではないだろうか?

俺にとってのソレが「ターミネーター2」である。

とにかく、この作品になると俺は冷静さを失ってしまう。

「いつもだろ!!」という言葉は、この際無視して話を続けます。



かつて、今では考えられないが「ターミネーター2特別編」が年一回ペースで放送されていた。

めちゃイケのない日は、3時間位ブチ抜きで「ターミネーター2特別篇(以下「T2」)」と相場が決まっていた時代があったのだ。

その頃、下の毛も生え揃っていない時分の俺は、「T2」のシュワルツェネッガーに圧倒されたのだった。

精悍な表情。

屈強なガタイ。

無愛想な態度。

カミソリのような鋭さの角刈り。

真っ黒な皮ジャン。

これまた真っ黒なグラサン。

くるくる回すショットガン。

アホみたいにタイヤが太いアメリカンなバイク。

「死んでも死なない殺人マシーン」という設定に対しての説得力がその男には確かにあった。

この現実離れした男を追いかけたい。

どうやら、この俳優はアーノルド・シュワルツェネッガーというらしい。

長い名前だなぁ!と思いつつ、それから俺はレンタルビデオ屋に行ってはシュワルツェネッガー作品を借り、TVで放送されるシュワルツェネッガー作品を録画し続けた。

「コナン・ザ・グレート」「レッドブル」「プレデター」「トータルリコール」「ゴリラ」「コマンドー」「イレイザー」「トゥルーライズ」・・・

T2がシュワルツェネッガーを追う日々を決定づけたのは間違いない。

だが正直、シュワルツェネッガーの映画に気の利いたもんはなかった。

腰だめに構えた銃を無表情で無制限にぶっ放す。
人を射殺した後、面白い一言を放つ。
冗談のように人を殺す。

えー、以上!!

言ってしまえばそれだけの映画だ。

何ならT2よりも人間離れしている作品がいくつかあった。

それでも俺は何が面白いのか、あるいは馬鹿だったせいか、彼氏の作品を狂ったように見続けたのだった。

どれだけ馬鹿だったかというと、当時、モー娘。なんかのアイドルも流行りはじめ、恋に目覚める同級生もいる中、「好きな人は誰?」と聞かれたら「アーノルド・シュワルツェネッガー」と即答する有様であった。

今考えてみると、どうかしているとしかいえない。

しかし、ガキをどうかさせる程の、「理屈じゃない何か」が当時のシュワルツェネッガーにはあった。

という訳で、俺はシュワルツェネッガーの最新作が公開される度に足しげく劇場へ通った。

「理屈じゃない何か」の答えを見つけるために。

だが、俺の答えが出る前に・・・あるいは、そもそも答えなんてなかったのかもしれないが、シュワルツェネッガーは「ターミネーター3」を最後に政界へ進出。

あの「アイル・ビー・バック」が口癖の男も、今回ばかりは帰ってこないだろう。

俺の青春は終わった・・・。

「理屈じゃない何か」に対して出ていない答えは、そのままに・・・と勝手に思っていたら、何とシュワルツェネッガーは割としょうもない理由で銀幕に帰ってきた!

理由はどうあれ、帰ってきたからには祝わなければいけまい!全力で!!

2013年の復帰作「ラスト・スタンド」を皮切りに再びシュワルツェネッガーを追いかける日々がスタートしたのだった。

そして今年の夏—-お盆真っただ中の、ここ日本にてターミネーター2-3Dが最速公開された。

「何故、今⁉︎」と公開されたタイミングに違和感を感じつつも「奴が帰ってきた」と言われれば、こちらも頷くしかない!

何より(俺にとって)推定一億回は観た作品である。

正気の人からは、「今更、26年前の作品を劇場で見る必要があるのか?」と思われるかもしれないが、敢えて言わせて頂きたい。

そんなもん知るか、バカ‼︎

理屈じゃねえんだよ‼︎

という訳で、邦画では『君の膵臓が食べたい』が公開されている中、ガン無視して俺は

「膵臓より、君の靴と服とバイクが欲しい」

とT2を観てきたのだった。

結論を先に言うと、T2は、やはりT2であった。

つまり何度見ても「理屈じゃない何か」を感じさせる映画なのだった。

今は亡きカロルコ・プロのロゴ。

今は何してんだろう・・・と思わず遠い目になる、製作・マリオカサール。

オープニングからバーンと飛び出すクレジットされる「Arnold Schwarzenegger」の文字。

世が世なら腐女子を窒息死させたであろう美少年のジョン・コナー。

ほうれい線がクッキリ映るが、その分タフなサラ・コナー。

ジャンボ尾崎ばりのマレットヘアのジョンの友達。

ソリッドかつリキッドなT1000。

やたら埃っぽい所に住んでるエンリケ。

さらに汗まみれになったダイソン。

さらに過呼吸になったダイソン。

いつもより約30倍爆発していたダイソン。

ラストのカーチェイスで乗り込む焼き芋屋らしき車…

書き始めたらキリがないんで、ここら辺にしとこう。

俺には4KだとかIMAXだとか難しい事は分からん。

だが、オープニングでARNOLD SCHWARZENEGGERの文字が3Dでバーンと、視界に広がった瞬間。

反射的に目頭が熱くなったのだった。

人が何故シュワルツェネッガーで泣くか、改めて分かった気がする。

一時期は〇曜〇ードショーのバカの一つ覚えのジブリ作品ばりに、地上波で放映された作品だ。

何ならオチまでバッチリ知っている。

しかし、3Dとは言え、何度見ても面白いと思わせる映画は中々ないんじゃなかろうか?

実際、シュワルツェネッガーがガトリングガンやグレネードランチャーで作る爆炎と人々の悲鳴は、どんな打ち上げる花火よりも俺に夏を感じさせるのだった

あの時T2に感じた「理屈じゃない何か」は確かだったと改めて思ったのだった。

殊の外、SF映画なんかで通ぶりたいのか賢く見られたいのかわからんが、映画の設定がどうとかキャラ造形やらロジックが何やらと語る人を見かける。

それはそれで楽しいのかもしれない(本人は)

T2にも、そうした語るべき要素があるかもしれない。

何というか、SF要素っていうんですかね?

そういうの。

だが、ちょっと待て、と。

それより、大事なのは、シュワルツェネッガーなんじゃないの!?と。

ほとんど演技してないじゃない、と言われればそれまでだが、彼氏が無表情及び棒読みで繰り広げる大激闘、大破壊。

しゃらくさい理屈を超えた存在感。

これこそがT2の肝、ていうか語るべき要素なんじゃなかろうか!?

ねえ!奥さん!

この御時世に全盛期のシュワルツェネッガーをスクリーンで、しかも3Dでお目にかかる機会もそうない。

だが、俺が観た劇場は1日2回の上映しかなかった。

ましてやグッズどころかパンフレットすらなく、ポスターも貼られていない有様であった。

これではスカイネットが暴走しても不思議ではない。

公開初日にして、いきなり辛い状況ではある。

だが、もし本作が世界的にヒットすれば、これから3Dのシュワルツェネッガー作品が矢継早に公開されるかもしれん。

えー何だ、「レッド・ブル」とか「プレデター」とか。

世の中的には確実にどうかしている

としかいえないが、シュワルツェネッガーを支えると勝手に決めた

我々ビーパワーとしては非情に嬉しい。

いつになく取り留めのない文章になってしまったのは否めないが、暇なら審判の日を止める位にある人は劇場に駆け付けて欲しいもんです。