「MASTER マスター」公開前!!マルチ商法撲滅男まつり。

マルチ商法の誘いをいかにおもしろく断れるかが男の価値を示す。

統計学的に見て、Facebookで「お金にとらわれない生き方」「自由を手にする」とやたらとポイジティブな投稿が目立ち始めた場合は60%、疎遠だった友人から「話したい事があるから久しぶりに飯でも行こう。」と言われたら80%、突然女の方から「会いたい」と言われたら100%勧誘だ。

俺自身、実体験がある。



ある日、昔何度か飲みに行ったくらいの女から「またご飯に行きたい。」と連絡があった。

LINEや電話ではなく「会いたい」との事。しかも二人きりで会いたいときた。

そう言われたら10代であれば勃起の1つや2つするものだ。

しかし、俺は画期的にモテない。 過去の人生で立証済だ。

割と俺は冷静というかおいしい話は全て疑うところがあるので、最近のFacebookの投稿をチェックするとやたら友達が増えている。

謎めいたパーティーにやたら通っているし、「夢に向かって前進」やら「つながりを大切」とか意識の高い言葉が投げ売り状態。

これは間違いない・・・しかし「もしかしたら本当に俺に抱かれたいんじゃないか?」というわずかな可能性に賭けてみたかった自分がいた。

俺「最近、活動的やなー!!楽しそうやん!!」

女「はい、素敵な皆さんとたくさんあっています!!」

俺「へぇーそうなんや。俺は最近仕事バタバタしてて家帰って寝るだけやわ」

女「お仕事大変そうですもんね。私は最近毎日を楽しめるようになりました!!」

俺「マジかー楽しめるかー働かなくてもいい生活したいわ(笑)」

女「私もそれを考えています。わら ●●さん(俺の名前)と会って話がしたいです!!」

俺「そうやね!!ちなみに話ってどんなん?」

女「二人とも幸せになれる話があって・・・電話より会った方がいいなって」

「二人で幸せか・・・シックスナインするの?」

結果として、これが彼女との最後のやり取りになったが後悔はしていない。

俺の友達はさらにその上を突き進んでいた。

あえてマルチ商法のセミナーに参加。そこで隣の席に座っていた奴と仲良くなり、引き続き話がしたいという事で飯に連れていってもらったらしい。

案の定、製品を買ってくれと持ちかけられたらしく友達はここでぶっこんだ。

「結局そういう事かよ!!俺は単純に友達になりたかっただけなのに!!ほんまショックですわ。気分悪いんで帰ります!!」と言って金も払わず店を飛び出したとの事だ。

「食い逃げじゃねーか!!おまえの方が悪い!!」

とその場にいた全員からツッコミが入っていたが、当の本人は「あの日食ったラーメンの味は忘れられない」と全く反省していなかった。

というわけで今回紹介する「MASTER マスター」は韓国にて実際にあったマルチ商法事件の映画化だ。

被害総額は3兆ウォン(約3000億円)という事で国家レベルの詐欺だったらしい。

そのマルチ商法組織のトップ、チン・ヒョンピル会長がイ・ビョンホンだ。

イ・ビョンホンといえば、最近はハリウッドに進出、「G.Iジョー」で真夏の果実のようなボディを披露したかと思えば「ターミネーター新起動」でT-1000役に抜擢。

最近では「マグニフィセント・セブン」で腐女子の心をカツアゲし、確かな爪痕をハリウッドに残し続けている。

そんな彼氏が久々に韓国映画に戻ってきた!!

過去にも「グッド・バッド・ウィアード」など悪役を演じた事はあったが、これまではスタイリッシュな悪役だった。

しかし、本作では表向きは白髪交じりの紳士、裏の顔は人間をATMとしか思っていないクズ。チェ・ミンシクかファン・ジョンミンが演じてもおかしくない仕上がりだ。

冒頭から武道館ばりのホールで「夢」「幸せ」「飛躍」とNGワードコンプリートのマイクパフォーマンスで湧かせるが、目が全く笑っていない。

会場から出て行く時の表情の変わりよう。
自宅では「貧乏な奴に甘い夢を見せてやるのが俺の仕事」と吐き捨てる。
地下室でピーナッツを食べる時の品の無さ。

中盤で海外に高飛びするわけだが、海外ではそれまでのスーツ姿から一転、
サングラス、柄物のシャツを装備、無精ひげで裏通りを闊歩する姿はまさにゲスの極み。

下品過ぎるアティチュード。嫌いな奴の結婚式、意識高い系の飲み会、イキリオタク主催のオフ会には是非ともチン会長スタイルで出席したい。

イ・ビョンホンのやさぐれっぷりを拝みに行くだけでも観る価値があるが、これ以外にも「MASTER マスター」はビーパワー調べで傑作の条件が揃っている。

①男のプライド祭
タイトル通りその道のマスターが登場する。

イ・ビョンホン演じるマルチ商法組織の会長だけでなく
カン・ドンウォン演じる犯罪捜査官、キム・ウビン演じる天才ハッカー。

男たちのプライドがぶつかりあう頭脳戦。
頭の悪い俺たちも「とにかくすごいぞ!!、うん」と2時間半の上映時間を忘れる程のめり込んだ。

男なら死ぬまでに一度は仕事で使ってみたい単語。

②携帯電話は使い捨て

名作・傑作と呼ばれる映画の重要な要素として「携帯電話・スマホは使い捨て」というものが以前より立証されている。

我々庶民のように利用プランとか手続きの面倒さなんて気にしちゃいけない!!
逆探知されてたまるか!!一回電話したらすぐに捨てる!!

マスターになるためにはスマホはぞんざいに扱わなければならない。

ちなみにイ・ビョンホンはパスポートも遊戯王カードばりに持っている。

③最後は乱闘締め!!

男たちのプライドのぶつかりあい、緊張感あふれる頭脳戦が続き高偏差値をキープするが、 そこは気遣いに溢れた本作。

「このままじゃ物足りないだろ?」と言わんばかりに終盤で
「ヒート」ばりの銃撃戦及びカーチェイスが展開される。
あっという間に人命の為替レートがデフレ状態に!!

ややネタバレになるが、絶体絶命の中のどんでん返しでのあの「ざま―みやがれ」感・・・。

嫌な奴程、嫌な目にあって欲しいものだが、その人間心理をわかっているかの如く
ブチかましてくれる。

「いいぞ、もっとやれ!!」と心の中で絶叫していたら、試写会でもらったフライヤーが手汗でしわしわになった。

やっぱり、元気な暴力は明日への活力を与えてくれるもんですね☆

 

また最後に個人的な話になるが「MASTER マスター」で救われる事があった。

最近、白髪が増えてきたのに悩んでおりちまちま抜いているのだが、白髪たっぷりのイ・ビョンホンを見てもう抜くのはやめた。白髪を抜かずにいれば俺もカッコ良くなれると信じている。

また、世間でよく耳にする「人脈」について答えを出してくれている。

社長が友達、モデルと友達・・・違う!!

本当の人脈とは

ややこしい事をもみ消してくれる殺し屋がいる事だ。

ありがとう、イ・ビョンホン。

「MASTER マスター」公式サイト
http://master-movie.jp/

2016年/韓国/カラー/143分原題:『MASTER』配給:ツイン
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