仮装殺人パリピVSブラックパワー!パージ・エクスペリメント

グリーンブック、ブラッククランズマンと黒人映画の活躍が目覚ましい昨今。

社会的なメッセージも確かに大事ではあるが、やはり純粋にサグい黒人映画を見たくなるもんです。

そんな映画ファンの要望に応えたヒップホップ精神を刺激する映画が公開される。

それがパージ:エクスペリメントだ!

12時間法律ガン無視な殺フェスことパージシリーズのエピソード1を描く本作。

密室スリラーから始まったシリーズだが、気が付けば愉快なキチガイが面白い格好で人を襲い、それらを総合格闘俳優フランク・グリロがシバキ倒す世紀末サバイバルアクションへと進化!

続編としては非常に正しい姿勢だ。

そこへきて、今回のエピソード1=エクスペリメントである。

打撃・関節・演技と三拍子揃ったグリロがいないとなるとシリーズのファン的には物足りなさを感じるかもしれんが、安心してほしい。

本作は生きるか死ぬかのディストピア的未来ヒップホップ精神で突破する、別ベクトルで楽しい方向に舵を切っている。

 

 

というわけで、あらあすじ。

近未来のアメリカ。

貧富の差が拡大し、必要なのは憂さ晴らしだ!とヤケクソにもほどがある政策=パージがブチ上げられる。

だが一発目から全国で導入するのもアレなので、実験と称して町内会の盆踊りレベルでの導入を政府は検討。

その結果、特に貧乏人や有色人種の多いスタテン島を開催地に決定するのだった。

このノールール殺フェスを無事に生き残れば5000ドルが手に入る。

言うなれば完全に貧乏人を舐めた提案であった。

ノリノリで参加を希望するもの、島を出るもの、そもそもおかしいだろ!この法律!と反対するもの・・・

色めく住民たちを尻目にパージ開始の日がジワジワと迫る。

『悪い奴は大体友だち』ストリート育ちのイケイケヤクザ ディミトリakaDも例外ではなかった。

この事態にDは仲間のギャングを集め、それぞれパージには参加せず縄張りを守るよう指示。

法律なんか知るか!国から地元を守るのは俺たちだ!と鼓舞するものの、どうも元カノのナイアの所在が気になってしまうのだった。

一方、ゴリゴリのパージ反対派ナイアも教会に集まり何とかやり過ごそうとするものの、弟アイザイアがパージへ参加した事実を知ってしまう。

というのもアイザイアは姉を狙う変態ストーカーをパージに乗じて殺害しようと決意していたのだ。

よせばいいのに弟を追い街へ出るナイアであったが、無情にもパージ開始を告げるサイレンがスタテン島に鳴り響く。

果たして誰が生き残るのか?

発案者のアップデール博士(美しすぎる熟女マリサト・メイ)がモニタリングする中、今、第一回殺フェスの幕が上がるのであった。

 

 

バーサーカーハゲから始まり、バトルデリヘル嬢、爆弾ババアコンビ、美しすぎる熟女博士など、エクストリームなキャラが今回も目白押し。

更に数字合わせのテコ入れで放たれる特殊部隊もノリノリで仮装しているなど、映画のファイナルファイトぶりに拍車がかかっている。

なにせ狂ったパリピが挨拶代わりに刃物や銃で襲ってくるのだから、ハロウィンの渋谷以上にタチが悪い。

俺なら死ぬな!二秒で!と思わずにはいられないのだった。

続編ではあるものの、絶対放り込まれたくない地獄の状況は今回も健在である。

 

だが、濃いキャラクター達の中で何といっても気を吐いているのが、ブラザー精神でパージに立ち向かうディミトリakaDだ。

演じるは新人俳優のイラン・ノエル。

タフな不良ぶり、オーバーザヤクザな戦闘力立派な角刈り・・・どことなく初期のウェズリー・スナイプスを彷彿とさせる俳優であるが今まで何処に隠していたんだ!この俳優を!おい!おかみを呼べ!海原雄山ばりに思わずにはいられない。

新人ながらキラリと光るブラックダイアモンドぶりは必見だ。

やってることは間違いなくギャングスタだが、 たとえ国であろうが地元を舐めた奴はブン殴る精神は見習いたい。

おかげさまでDのギャング仲間達も、彼の元カノへの思いをブラザー精神を発揮して応援するのだった(主に暴力で)。

音楽ではなく、映画という手段を使って国相手のギャングスタラップを俺たちに叩き付けてくれる。

 

 

最終的には国家権力VSストリートの様相を呈する本作。

アメリカの格差社会を風刺しつつ国に舐められたらストリートの流儀で殴れ!というメッセージをビシバシ感じられる。

ともあれ、俺も職場をパージしてえなあ、と思う日々を送っているが、足元を見られていると感じる人にこそ見てほしい、ブラックパワーみなぎる映画ですよ。

やはり角刈りの黒人が出る映画にハズレはない。

 

↓シレっと映画の公式ホームページにコメントさせて頂きました。見てね!

http://purge-exp.jp/