給料アップのために会社を放火。スタローンの働き方改革「フィスト F.I.S.T」

ちょっとビーパワーの更新が空いてしまった。

みんなほんまごめんな。

ほら、コロナで大変やん。みんな疲れてるやん。
俺もさ、いつもより記事多く書いてちょっとでもみんなを笑わせたいとか一瞬は思ったりしてんや。

やけど、そういうの寒いやん

そしたら記事を書かないどころか、映画も観る本数減ってもてたわ(笑)

堪忍やで!!

ほな、久しぶりのビーパワーハードボイルドきばっていくで~!!よろしゅう!!

と、「関西の人が一番ムカつく関西人」風に初めてみました。

もういくつ寝ると「ランボー ラストブラッド」がいよいよ公開!!
という事でランボー前夜祭として「FIST フィスト」を紹介します。

スタローンとしては「ロッキー」直後の主演作。

1930年代、労働者の待遇改善のため労働組合のリーダーとなった若者の栄光と転落を描いた、ガチな社会派ドラマ。

昨年大ヒットした「アイリッシュマン」でアル・パチーノが演じたジミー・ホッファがモデルの主人公をスタローンが熱演する。

スタローンのアイリッシュマン!?コントやん!!」と舐めてかかる人もいるだろうがそもそもスタローンはアカデミー賞も、ゴールデングローブ賞も受賞している演技派俳優だ。

筋肉、マシンガンと添加物一切なしの素タローンを味わって欲しい。

1937年のアメリカ。

スタローン演じるジョニー・コバックが務める運送会社は

薄給 残業代なし、保険なし、ミスれば給料から天引き、上司に怒られたら即クビ

という最強にブラックな環境だった。

上司の話が、本当に聞こえていなくて返事が遅れただけでもクビという超理不尽な環境。

次々と職を失う同僚たち。怒りに震えるコバックは「いくらでも給料から天引きしやがれ!!」とその場の荷物をぶちまけるという荒業に出て社長と直談判。

待遇の改善を検討するとその場では言われたが、翌日クビになっていた

その時旧友のマイクから全米長距離トラック輸送組合(F.I.S.T.)へ誘われる。

なかなか人が集まらない。良く思っていない会社の手先からコバック自身も暴行されるなど苦難もあったFISTだったが、コバックの人望から少しづつ組合員も増えていく。

スタローンの働き方改革にトラック野郎達の心は一つに!!

「給料アップ」
「保険の補償」
「残業代を出す事!!」
を声高にストライキを決行するFISTだったが、会社とグルになった警察により暴動扱いされ粛清。マイクが命を落とす。

まじめに戦っても権力に潰される。力が欲しい

マイクの墓前で涙するコバックの中で何かが変わりつつあった。

これまた旧友でマフィアとして活動していたヴィンスと手を組むコバック。

地元の裏の顔として力のあるヴィンスのバックアップによりストライキ活動はトラックを火炎瓶で爆破、川に沈める、役員を暗殺など血の気の多い方向性に劇的チェンジ

やがて本社に木製バット装備でトラックで突撃、会社を放火する事でようやくまともな労働条件を勝ち取ったコバック達だった。(スタローン初期作にして暴力に勝つのは暴力というテーマが確立している)

「ダークナイトライジング」のクライマックスよりライジングしている本社カチ込みシーン!!「F.I.S.T」の場合前半で起こる!!さすがスタローン!!

誰もが働きやすい職場に!!全米でF.I.S.Tを盛り上げようと鼻息を荒くするコバックだが、ある経営者のバスコ(なんと「ランボー」でクズ保安官を演じたブライアン・デネヒー)が加入しようとしない。

悩むコバックに手を差し伸べたのがヴィンスのボスであるミラノ。

加入しない問題をさくっと暴力で解決したミラノから見返りを求められる

「俺のジュークボックスが置いていない店には酒を運ぶな」

不本意にもマフィアとの関係を深めることになってしまった。

ワイロを受け取っている事がバレて弟分のエイブとも距離を置かれるようになる。

やがて10数年の時が経ち(特に説明もなくいきなりスタローンが中年になるので最初に観た時は腰を抜かした。是非とも見て欲しい)
F.I.S.Tのトップとなりアメリカを代表する人物となったコバック。

まだ続くマフィアとの関係、裏側を調査する上院議員、過去の友情。

コバックの人生は徐々に崩壊していく。

ジミー・ホッファをモデルとするジョニー・コバックだが、スタローンが演じている事もあり「アイリッシュマン」のような裏の世界も知り尽くした近寄りがたい男ではなく、皆が働きやすい環境作りのために奔走するナイスガイとして描かれている。

「残業代も出て保険もあるちゃんとした会社で働きたい」という純粋な思いから
荷物の破壊に始まり、バットで撲殺したり、トラックを爆破する。

企業が求める「自発的な人材」を遥かにフライングした行動力は、まさにスタローン・インマイハート。

図らずもマフィアと癒着するという、スタローン・アウトマイハートな姿や
微妙な関係となった親友との距離感などやっぱりスタローンは演技がうまいというか
観る者の心に入ってくる。

心に沁みる演技という点で「ロッキー」や「ランボー」も同じだが、本作はよりピュアにスタローンの演技力を楽しめる。塩だけで食べるステーキみたいな感じ。

当時32歳。フィストがもしヒットすればスタローンもマーティン・スコセッシ組に入っていたのではないかと妄想してしまう。

この映画を見終えて「働く」とは何かを改めて考えた。

会社を変えていきたいというより「ここはダメだ」と思えば転職していたし、一時期はキャリアアップの事ばかり考えていた。

現在はそれなりに納得してるけど、どこにいてもチャットや電話で連絡が入り「やる事」に追われる日々。

一軒家や自家用車を持つ事が幸せのステータスなのだろうか?

「F.I.S.T」でスタローンは暴力的にもなったしヤクザとも癒着してしまった。
ただ、労働の改善を訴え続けて仲間達や家族の生活は確実に良くなった。

自分の昇進や利益ではなく、周りの幸せのために動いた半生。

公聴会で過去の汚職を散々詰められて「おまえに組合の何がわかる!!選挙の票稼ぎのおまえも、マフィアも俺も皆虫けらだ!!」と冷静さを失って法廷を飛び出したスタローンにトラック野郎達から送られた拍手は間違いなく賞賛の拍手だった。

俺も中年。職場でも年下の方が増えた。
業務能力は低いがおっさんなりに頑張りたい。「若い子が働く事がつらくなって仕事を辞める」という事は減らしていきたい。

週休3日、昼寝OK、事務所の机を全てマッサージチェアにする。
実現のために俺は軽トラで事務所に突撃しようと思う。

※会社で「10年後俺みたいになりたい?」って後輩に聞いたらうつむいて喋らなくなった