誰もが一度は憧れるタイムトラベル。
遊んでばかりだった学生生活に戻りたい。若かった頃に戻りたい。
俺もぼんやりと思うことがよくある。
とはいえ、大学生活に戻ったところで、何かを頑張るかと言われたら、NO!だし、これまでのあれこれを思い出すと正直もう一回やり直すのも「めんどくさいなぁ」と思う。
というわけで最近は「日曜の夜に金曜の夜に戻りたいな」と思ったり、「平日の朝早く目覚めて「後1時間寝れる!!」というもっとも幸せな瞬間を3回くらい繰り返したい」とか小規模なタイムトラベルを求めるようになった。
(これを書いているのが9月の4連休の最終日の夜。4連休もあったのでいつも以上に心が張り裂けそうだ)
そんなある日クリストファー・ノーランの「TENET テネット」が公開された。
ノーランといえば、
親父がコピーライターで母親が客室乗務員というおそらく金持ちであろう出自。
30歳の時早くも「メメント」で当たっている。
マフラーをオシャレに巻いていて意識高そうな雰囲気
複雑に絡むストーリーとスタイリッシュな映像という点から
最初こそ好きではなかったのだが、「ダークナイトライジング」で
・8年間引きこもった上にコスプレ活動を再開してじじいに家出されるバットマン
・ゴッサムシティが危険なのに復活シーンの演出に異常に凝るバットマン
・ラストの乱闘シーンのエキストラがよく見ると超適当
と雑なところはとことん雑だったり、CGが嫌で実際ビルを爆破したり世界に4台しかなかったIMAXカメラを壊しちゃうので、
「こいつはなかなかポンコツ(褒め言葉)なんじゃないか?」と勝手に親近感を持つようになった。
その後の「インセプション」では「爆睡!!寝ぼすけアクション」を確立
夢の中でまた寝て夢に入るというアイデアに「こんなアイデアが思いつくなんて・・・何度もうっかり遅刻してしまった経験のあるポンコツじゃないと思いつかないはず」と
ノーラン=愛すべきポンコツ説は更に強まった。
そんなノーランの最新作はタイムトラベルものという事で巷では
「おもしろい」「難解」「一度見ただけではわからない」と様々な意見があった。
物語自体、超乱暴に説明するとこんな感じ。
「未来の世界では地球が滅亡寸前。そこで未来人は「危険」という理由で
過去の世界に封印したアルゴリズムという装置の起動を過去の世界の人間に依頼する。
分断されたアルゴリズムのパーツの収集の代わりに、逆流装置の利用と巨額の富を与える。
それを担う事になったのが本作の悪役のセイター。
アルゴリズムを起動すると世界は死滅してしまうのだが、末期がんを患っているセイターはノリノリ!!
その計画を阻止するために秘密組織「TENNET」に所属する主人公(ジョン・デヴッド・ワシントン)と二ール(ロバート・パティンソン)が時間通りに行動したり、時間を逆行したりと頑張る。
【観賞にあたって役立つ作品】
「TENET テネット」は極論「全裸にならずにタイムスリップできるターミネーター」
「説明が丁寧なタイムコップ」だと思っておけば怖くない。
実際この2本を見るだけでかなり理解度が深まると思う。
特にタイムコップについては一旦ヴァンダムの変な髪形やパンツ一丁開脚は忘れて見返して欲しい。「対消滅」についてわかりやすく描写されているので参考になるはず。
テネットを理解する上でカギを握る「タイムコップ!!」
【本作のタイムトラベルについて】
本作の場合、厳密にはタイムトラベルではなく、「時間を逆行する」形になる。
逆行すると世界が巻き戻しのようになる。逆行した世界だと特別な呼吸器を持たないと生きれない。
なので、5年前に戻るとなると、5年間を時間が巻き戻しになった世界で過ごさないといけない。というわけで劇中でも数日前単位で過去に行く。
時間の逆行もこれまでのように裸で時間転送装置に入ったり、タイムマシンを作成する必要はなし!!回転ドアに入るだけなので超気軽だ!!
これがあれば日曜の夜に金曜の夜に戻れるじゃないか・・・。休み足りなかったらいくらでも戻せる!!
こんなアイデアは普段からダラダラ毎日を過ごさないと思いつかないはず・・・
やっぱノーランは信頼できるぜ!!
それと、「祖父殺しのパラドックス」で考えると、「そもそもアルゴリズムを起動させたら世界は死滅するから、未来人も死ぬのでは?」という疑問が湧くが、急がないとどちらにせよ死ぬ未来人的には「そんなの考える余裕はない!!もしかしたら俺らは死なないかも!!」
という考えみたいなので、この根っこの部分が割と雑なところがノーランのキュートなところだ!!
【何故複雑に感じるのか?】
これまでタイムトラベル作品というと「歴史改変によるパラレルワールド」になるのが多いのだが、本作の時間軸はあくまで1つ。
時間通りに進む者と逆行して動く者達による高速道路の戦闘で混乱するだろう。
これに加えて、最後のスタルスク12の戦闘は起動寸前のアルゴリズムを止めるという一大事なので
・時間通りに戦う人達
・時間を逆行して戦う人達
の2チームに分かれるため、爆破したはずの建物が元に戻ったり、カギが開いたり開かなかったりと視覚的におかしな事が起こる。
これに加えて部分修正をかけるために
・時間通りチームで戦う主人公が一時的に逆行する
・時間逆行チームにいる相棒ニールが一時的に時間通りに戦う
という事が起こるので、考えすぎると追いつかなくなる。
この時はキン肉アタルの名言を思い出して欲しい
「静かに結果だけを見ておればそれでいい」
細かい事は考えず戦闘シーンを純粋に楽しもう!!
【新世代の兄貴爆誕】
高身長美女エリザベス・デビッキはもちろん、本作の主人公二人が最高に良い
まず主人公(役名も主人公)のジョン・デヴッド・ワシントン
「ブラック・クランズマン」でのアフロ刑事に続き!!
デンゼル・ワシントンの息子という事で話題になりがちだが、親の七光りサポートは皆無の俳優だ!!
本作で世界の破滅を止めるために世の中をイコライジングする姿はまさに2代目「ハリウッドの風紀委員」だった。
そして相棒のロバート・パティンソン。
いつも寝不足気味のような目つきで気だるそうな雰囲気を醸し出しているが、漢気のストップ高を記録するナイスガイっぷり。
ここぞという時に主人公を助ける彼には秘密があった!!
最後、「これが俺たちの美しい友情の終わりだな」と笑顔で去っていく姿に誰もが涙するはず
誰だ、こいつをバットマンに選んだやつは!?良い仕事しやがって!!こいつがバットマンをやるなら名作確定だ!!
あっ、主人公がジョン・コナー、ニールがカイル・リースだと思えばわかりやすいです。
【最後に】
できるだけ抵抗感をなくすためにこの記事を書きましたが、それでも
「難解そうだし・・・・」「二回見てようやくわかるみたいだし・・」
と躊躇しているそこのあなた。
どれだけシンプルな映画でも1回目には気づかなかった発見というのはあるし、見た時期によって映画の感想は変わるものなのであまり深く考えずに映画館に行ってみてください。
観終わった週の日曜日にふと思うはず。
「金曜日の夜までテネりてぇなぁ・・・」って。
きっとあなたもTENET テネットに夢中。