友情と友情の熱血ドッジボール!!ゆでたまごイズムの真骨頂、
アメコミ悪魔超人、それがスーサイド・スクワッド!!
※キン肉マンのネタバレが大幅に含まれます。
あれは8月にあった花火大会の事だった。俺と”DIE”sukeさんはどういうわけか二人で神戸の花火大会を観に行っていた。目の前には付き合いたてであろう初々しさの残るカップル。
花火で彩られた夜空を眺め、二人だけの一瞬、一瞬の時間を共有していた。
しかし俺の隣にいるのは仕事の都合で関西に来ていた31歳の死んだ目をしたおっさん。
「デップーさん、コーラ買ってきましたよ!!」とすっかり生ぬるくなったコーラを渡してくれる。
写真を撮っている俺の隣で花火には速攻飽きてポケモンGOばかりしている。
30分もしないうちにその場の幸せオーラに耐え切れず、安いイタ飯屋に入った。
店内で男二人は俺たちだけだった。周りはこの後、終電を逃すか否かを駆け引きしているカップル、もしくは女の子のグループ。しかし俺の隣には「デップーさん、二人で向かいあってコーヒー飲んでるなんて「ヒート」のパチーノとデ・ニーロみたいですよね!!ハードボイルドですよ!!」とほざく共通点はメガネ以外何もない汚いハリー・ポッターがいる。
食後のコーヒーを飲み終えて会計に向かった時だった。目の前のテーブルには先に来た客が残したであろう残飯と絞った後のレモン。俺は「”DIE”sukeさん、あんなところにデザートがありますよ」と振ってみた。俺が期待していた回答は「何いってんすか!?」と突っ込まれる事だった。
しかし、次の瞬間、俺の隣にいたバカは「本当だ!!」と言って絞り終えたレモンを食い始めた。
31歳になって誰が食べたかわからない残飯のレモンを食うパートナーの隣で俺はカメラのケースから買ったばかりのバットマンのフィギュアが顔を出している事に気づいた。
思わず、お互いに自殺したくなるような状況だ。
この日、俺たちは改めて思った。
そうだった、俺たちはスーサイド・スクワッド(自殺部隊)なんだ、と。
というわけで「スーサイド・スクワッド」を観てきました。
キャストも来日した豪華なプレミア試写会に参加された方の感想が賛否両論だったのでバイオレンスに定評のあるデヴィッド・エアーが監督だけに今のDCのお祭りノリとうまくマッチしない中途半端な作品なのかと考えた。
「まぁ、ウィル・スミスが悪党とはいえそこまでバッド・ボーイではないだろう」とにわかアメコミファンらしく公開初日に鑑賞。(お金がないのでレーザーIMAXではない近所の映画館)
確かにウィル・スミスはバッドボーイではなくツーバッドでもなかった。
しかし想像のはるか先だった。
ハリウッド製キン肉マンだった!!
そう、DCのようでDCじゃない、ゆでコミック(ゆでたまご原作コミック)だ!!
※私たちはシラフです。
以前「バットマンVSスーパーマン」もゆで路線になっていたことをビーパワーで指摘していたが、今回は更に拍車がかかっている。
もう「7人の悪魔超人編」といわんばかりに。
確かにDCコミックとジャンプコミックスは違う、しかし国境や言葉を超えてゆでたまご先生のゆでイズムが見事に継承されていた最高の友情パワームービーだった。
まさにアメコミとリアルな銃撃戦のマッスルドッキング!!
ロジックを漢気と不良精神でねじ伏せる展開!!
奇しくも誰が食べたかわからない残飯のレモンを勢いで食うような内容なのだった。
よくアメコミ映画が劇場で終わると、得意気にうんちくを披露する奴がいるものだが今回は違った。
誰もが黙っていた。
確かに真面目な映画ファン、アメコミ原作ファンは怒る内容だったのかもしれん。
「映画じゃない何か」になっていたかもしれん。
そんなこと知るか!!
映画クラスタでもシネフィルでもない、
俺たちはビーパワーハードボイルドだ!!
映画としてダメかもしれんがビーパワー的にはオールオーケーだ!
「お前はソコに座ってキン肉マンの7人の悪魔超人編でも読んでろ!」といわんばかりの内容に我々は痺れました。
「おめえらさっきからキン肉マンの話しかしてねーじゃねえか!?」という意見を無視して、今回は何処ら辺がキン肉マンだったのかを勝手に御紹介していこうと思います。
※以下ネタバレアリ※
舞台は「バットマンVSスーパーマン」後の世界、人類は考えた。
「結果的にスーパーマンっていい奴だったけど・・・あんな奴これからも出てきたらヤバくね!?」というわけでバットマンの夜の部活動(悪人退治)で大量収穫した凶悪犯を中心に悪人だけのエクスペンダブルズ作りを約5分の全体会議で決定したのだった。
メンバーは
銃の扱いは確かだがiphoneでの通話の仕方に問題があるデッドショット
知能、戦闘力、ケツ全てにおいてハイスペックなメンヘラ女王ハーレークイン
燃える関東連合ディアブロ
裏表かつ露出の激しいブラックマジシャンババア、エンシャントレス(略称エンちゃん)
ムショでテレビが見たいワニ男、キラークロック
リーダーシップのないキャプテンことブーメラン
次鋒!レオパルドン!!なスリップノットに加えて
「戦う中間管理職」リック・フラッグと「プリティー右翼」カタナを引率の先生としてスーサイド・スクワッドは結成された。
(登場人物の紹介について割と雑に済ませるデヴィッド・エアー作品ではあるが本作はかなり丁寧に紹介している。そりゃあ「サボタージュ」でいう全員がシュワルツェネッガーのような濃さだ!!自己紹介にも熱が入る!!)
しかし、そんな矢先、今年で6373歳のエンちゃんが「人類は愚かなり・・・よし!!滅ぼそう!!」と突然日記を書き始める高校生のようなノリで人類滅亡をプランニングしたためややこしくなる。
「エンチャントレスに取りつかれてる女って俺の彼女なんすよ・・・なんつーかその・・・・・すんません。」というフラッグの心は知る由もなく、「シャバに出れる!!」という夢のために悪党達は立ち上がる!!
というあらすじ。
当初はバイオハザード4のアシュリーばりに戦力外なフラッグ隊長に困りながら順調に任務をこなす連中だったが、話がややこしくなり過ぎて急きょ、休憩という名の飲み会をスタート!!
(任務途中に飲み会を始めるのはさすがヴィランだ)
命がけのデカいことをする時は一杯飲んでからにしたいもんですよ。
もともといい奴だったのか酔っぱらったのかはわからないが、お互いの身の上話をするうちに熱くなる悪党達!!
ここから
DC→ゆでコミック
へのクロノスチェンジがはじまる。
新シリーズにて最も株を上げた超人、ブラックホール。
フラッグ隊長が「あのエンチャントレスって子、話すと長くなるんだけど俺の彼女なんすよ・・・。こないだなんて泥水につかってるわ寝言はひどいわで・・・仕事もきついし、もう限界っすわ」と半泣きでぼやくと「男なら助けろや!!」と立ち上がるウィル・スミスがいるかと思えば唐突に熱くなるハーレークインとディアブロ。
それまでヤル気のなかったキャプテンも「女は少しイカレてる方がいい」とハッパをかける。
男気発揮すんのソコ!?
とにかく悪人でも人の恋路を応援せずにはいられないだろう!と。
例え彼女が災害レベルの女だとしてもだ!!
ともあれ悪魔超人編の「おまえだけにいいカッコウはさせないぜ」を彷彿とさせる友情に友情を被せる心のドッジボールが開幕する。
頼もしすぎる友情、しかし結果は1勝3敗。
善か悪かは生まれ持ってではない、生き方で変わるんだ!!
ゆでたまご先生が地球のために戦う悪魔超人を描いたように悪党は悪党なりのポリシーで地球のために戦う。
ザ・ニンジャが男を上げた名シーン。全俺が泣いた!!
編集でカットされたのだと思うが、きっと飲み会中に全員がアトランティスVSマーリンマン戦もしくはスプリングマン決死のロングホーントレインを読んで涙したに違いない。
宿敵ロビン・マスクの技でマーリンマンを撃破するアトランティス、この直後に彼も・・・これには泣かされた。
満身創痍の肉体で亡きステカセキングの無念を晴らすため立ち上がる・・・家で読んで一人で号泣した。
そんな風にスクラムを組む面々を尻目に、災害を巻き起こす小林幸子に変貌したエンチャントレス。
一人紅白歌合戦は佳境を迎えていた。
もうワンダーウーマンでも見なかった事にする事故案件である。
どうやって倒すんだろう・・・
と思いきや真正面から肉弾戦を挑む悪党連中!
思い思いに撃ったり斬ったり殴ったりを繰り広げるのだった。
これこそテリーマンのテキサス・ブロンコそのものではないだろうか?(多分違う)
宇宙人を素手で殴っていたウィル・スミスが、久しぶりにワイルド・ワイルド・ウェストしていた点でも見逃せない。
そんなゴリ押しの結果、ハーレクインが魂の叫びと共に一撃を決める!!
メンヘラだって変われる、ラスト5秒の逆転ファイターキン肉マンになった瞬間だ。
ポエムをツイートしている場合じゃない!!へのつっぱりはいらんですよ!精神!!
これだ!!
「仲間っていいな」陳腐だが普遍的なメッセージ。ゆでたまご先生が唱えてきた「友情パワー」が本作にはあった。
補足:ジョーカーについて
往年のマリリン・マンソンみたいなルックスで自分の彼女を追いかけるのだが、恐らく「君の名は。」のテーマ曲、「前前前世」が流れていたに違いない。
彼は彼で応援されなくても恋の為に突っ走れ!というメッセージを俺たちに見せてくれる。
以前のジョーカーに比べてカリスマ性がない、子悪党だの否定的な意見もあるが、本作のジョーカーはキン骨マンである。
キン骨マンのいない「キン肉マン」は「キン肉マン」じゃない。そう考えると納得がいくのではないだろうか?
まあいかねえだろうな!!どう考えても!!