スコット・アドキンスという男を皆さんはご存じだろうか?
そうか!知らないか!
じゃあ、この話はなしだ!
・・・という訳にもいかないので話を続けます。
恐らく、この名前を知っているというアナタ!
ヒマだったんだろうなあ!
俺と同じように!
えー知らない人の為に簡単に説明すると業界では(どんな業界だよ)次世代ヴァンダムと呼ばれている、この男。
次世代ヴァンダムなんて言われたら俺も色々心配になってしまうが、双子ネタを連発したり尻を出していない時点でセーフといえよう。
最近ではメジャーな作品でも、
ヴァンダムと違い地道かつ謙虚な人柄なのがうかがい知れる。
順調にアクション映画コーナーの棚(準新作)を主演作で埋めてくれる、土日ヒマな俺からすれば、ルーク・ゴスと並んで信頼できる男である。
で、肝心の主演作だが、シナリオが壊滅的にヒドい場合が多いのだが、毎回人間離れした技を見せてくれるので何となく損した気分にはならない。
ビジュアルはアレだがテクは凄いピンサロとでも言おうか。
永らく香港やハリウッドでスタントマンを務め、あらゆる格闘技経験があるので、その肉体言語は多国籍。
嵐のようなパンチを繰り出したかと思えば、鞭のようにしなる蹴りを放ち、あるいは駒のようにクルクル回って二度蹴り、三度蹴りを当たり前に繰り出す。
まさに全身にバネが入っているようなアクションを毎度披露してくれる。
しかし役柄としては、アクションありきなおかげなのか、判でついたかのように真面目なナイスガイが多く、不良好きの俺としては何となく「物足りないなあ!」などと個人的に思っていた。
だが、そこはアドキンスも同じだったのかもしれない。
同じような正義漢という役柄に思う所があったのだろう。
デッドロック2にてモヒカン、ヒゲ、全身に雑に入ったタトゥーという極悪なビジュアルを披露!!
三度の飯より地下格闘技が好きという、敵役の狂犬刑務所ファイター=ユーリ・ボイカを演じた。
まさに高校デビューならぬ刑務所デビューを果たしたのだった。
「あの真面目一辺倒だったアドキンスが・・・」と一部ファンに、かつてのフォーク路線からロック路線にシフトした長渕剛のようなインパクトを残した。
しかし、そのインパクトは強烈であった。
デッドロック2を見た後、誰もが作中のジジイのように「ボイカ~ボイカ~」と彼の名を呼んだとか(多分)。
ともあれ板垣恵介のグラップラー刃牙のような世界観及び濃すぎるキャラ摸写は全世界の一部の格闘技馬鹿(俺を含め)を熱狂させた。
このボイカのキャラを一本で済ますのは勿体ない!というデッドロックファンの願いが通じたのか、同じ監督のデッドロック3では敵役から主人公へ昇格!
2にて破壊された膝のおかげで、ムショで便所掃除していたボイカが再び地下格闘のリングへ向かう姿を描いた。
ですがねえ、この作品が、まさかの日本で未配給!
こうなったら俺が配給する!とブタさんの貯金箱に小銭を入れている間にNETFLIXで、まさかのデッドロック4が先に配信!
しかも邦題は絶対王者ボイカ!!
何でだ!?
だがまあ配信されただけ良しとしよう!と電光石火の勢いでNETFLIXへ電撃加入!
さっそくデッドロッ・・・もとい絶対王者ボイカを鑑賞したのだった。
というわけで、3をブッ飛ばして、4の気になるあらすじ。
かつて刑務所内の地下格闘技界にてブイブイ言わせていた男、ユーリ・ボイカ。
刑務所ファイトも今は昔。
今ではシャバの正当な総合格闘技で汗を流していた。
トレーニングが終われば、教会に通いお布施を収める日々。
ある日、神父様から「神様を信じるのは良いとして、ド突き合いの暴力はあかんで」。」と至極まっとうに諭されるものの、『格闘技は神が俺に与えた唯一の才能』と信じて疑わないボイカなのだった。
そんなボイカへブダペストで行われる総合格闘技トーナメント参戦のチャンスが舞い込む。
ようやく正当な格闘技の選手として日の目を見るチャンスだ。
スカウトマンが来る試合で、いつもより気合の入るボイカ。
結果、圧倒的な攻撃で相手を打ち倒し、総合格闘技トーナメントへの参戦権を得るのだった。
しかしボイカが頑張りすぎたおかげで、良い一発が入った試合相手はリング禍で死亡してしまう。
遺品を見ると、試合相手は既婚だったようだ。
どうやらロシアに嫁さんがいるらしい。
ボイカだって人の子である。
いくら試合とはいえど、相手を殺してしまい思う所があったのだろう。
トーナメントまで一週間を切っている。
何よりロシアでは指名手配を食らっている(どうやら前作で脱獄したらしい)。
マネージャーはボイカを止めるがガン無視!
遺された未亡人へ謝りに行こう!ロシアに!と決意したボイカなのだった。
パクられる危険はあったものの、早速、高速バス(飛行機じゃないのが実に良い)で母国ロシアに戻ってきたボイカ。
未亡人を遠くから見つめるボイカであったが、どうやら彼女は地元のみなしごハウスを経営しているらしい。
だが、これが原因でヤクザから大層な借金をしたらしく、旦那がドサ回りをしていたのも返済が理由なのだった。
かなり気まずいものの、入り口にいた門番のヤクザを当たり前のように殴って失神させ、愚直に奥さんへ謝罪するボイカ。
当たり前の話だが、その場で許されるはずもなく門前払いを受けてしまうのだった。
一方の奥さんも、ビジュアルが美人なのも手伝い、ヤクザのボスから借金の返済をしろ!体で!と迫られるハードな状況であった。
脚本・野島伸司といわんばかりである。
ボイカは考えた。
あの奥さんの為に自分に出来るのは何か・・・・
そうだ!試合だ!
漢気を発揮したボイカは、早速ヤクザの家へ出っ発(でっぱつ)!
ヤクザ数人を挨拶代わりに素手でボコボコにし、『未亡人に危険なバイトはさせるな!代わりに俺がやる!!』と直訴!
「ほうでっかほうでっか」とヤクザは、自宅で開催する地下格闘技の興行でベスト3を1週間で全員倒せば自由にしてやる!と足元を見た条件をボイカへ叩き付ける。
この無茶ぶりをボイカは了承するのだった。
果たしてボイカは念願の総合格闘技トーナメントへ出場できるのか?
『神が与えた唯一の才能』の真の意味を自ら掴めるのか?
こうして未亡人への贖罪、そして己の救済を賭け、ボイカは地獄の地下格闘技三番勝負へ挑むのだった!
以前のシリーズに比べると今回は速攻で未亡人に素直に謝るなど、丸くなったと思わせるボイカだが、戦いにおけるハングリー精神は健在。
無骨かつ、ぶっきら棒な孤高のファイターぶりを今回も充分発揮している。
そんなボイカに対峙するのが噛ませ犬から始まり、二人で一人の選手、やたらイキリたがる選手、明らかに人間を辞めた肉弾兵器と、相手としては不足はない。
見渡す限りトランクスの屈強な男、男、男、たまに未亡人な、この映画。
何が良いって、自ら過ちを招いた格闘スキルで、あえて、その過ちを償おうとする所ですよ。
普通であれば一度過ちを犯せば引きこもるか引退しそうになりそうなもんだが、返す刀で速攻謝罪&地下格闘技へ参戦を決意するボイカ。
かの矢吹ジョーだって力石が死んだときはボクシングから一時的に離れましたが、ボイカはあくまで信じる物は格闘技というスタンスを崩さない、格闘バカなのがたまらない。
このブレなさ。
見方によっては脳みそ筋肉とかバカとか思われるかもしれないが、バカじゃなきゃ出来ないことだってあるんですよ!クソー!!
えーと何の話だっけ。
そう!濃いキャラが飛んだり跳ねたり関節極めたり、面白いように大技を繰り出す本作。
最終的には、もう総合格闘技すら知ったこっちゃねえ展開になるのも素晴らしい。
ともあれ俺も身近に困っているみなしごハウスを経営している未亡人がいたら助けたいと思いました。
・・・・という訳で、ヒマならアドキンスばりの回転蹴りを放つ位にある人は是非NETFLIXでチェックしてみてください。
あと、どんな形でもいいから、デッドロック3も出せ!3も!!