拳と漢気の異文化交流「コンフィデンシャル/共助」

我々ビーパワーハードボイルドが記事を書くにあたって実は苦手とする映画がある。

ラブコメでもドキュメンタリーでもない…

「面白い映画」

「良く出来た映画」

そういう映画ほど我々はボキャブラリーを失ってしまう。

そもそも俺たちにボキャブラリーなんかあったのだろうか?という話なのだが、先日試写で「コンフィデンシャル/共助」を見せて頂いた。

まさに本作こそ、我々が二の句を継げないような良く出来た面白い映画なのだった。

とにかくよかった…

我々は初めて裏ビデオを観た男子中学生の如く小さく呟くしかなかった。

なので、今回の記事は、これにて終了だ!

いくらなんでも、そんなわけには行かないので、出来る限りの知恵を振り絞って、面白すぎて何も言えなくなった映画「コンフィデンシャル/共助」をご紹介します。

昨年だろうか。

いつも試写の案内を頂いている会社さんの意向を全く汲まずに、好き勝手に記事を書いた上に「これからは映画に出る側に回りたい」と言ったので「もう試写の案内はないだろうな!」とタカをくくっていたのだが、懲りずに試写の案内が来たのだった。

「奇特な会社さんだなあ!」と感謝する反面、「どうかしてるなあ!」などとドン引きしたもんです。

ともあれ我々のような与太者にはありがたい話である。

という訳で早速我々は試写に駆け付けた。

近接戦闘、銃撃を極めた北のリーサルウェポン刑事と韓国の下町純情派刑事が偽札を巡り犯罪組織へ挑む本作。

「殴ってよし」「撃ってよし」「顔よし」の役満な上に、影のある北朝鮮のクールな刑事を演じるヒョンビン。

近接戦闘はロシアの武術システマ、使う拳銃はCZなど徹底した共産圏スタイルで犯罪集団を追い詰める。

嶋田久作似の戦闘員と殴り合い、高速道路で箱乗り銃撃戦を披露するなど、本作での体を張る役回りを一手に担っている。

特にトイレットペーパーと紙コップで人をボコボコにするという信じられないアクションシーンは必見である。

まさに日用品の可能性の更に先を俺たちに見せてくれた。



一方の韓国の刑事を演じるのがユ・ヘジン。

ゴリラマンとヤン・スエを足したら、奇跡的に2で割れたような面白フェイスな上に、開始早々謹慎を食らうポンコツぶりだが、家族サービスは忘れない良き家庭人である。

劇中、ヒョンビンが体を張り続けるのに目が行きがちだが、このユ・ヘジンの隠された漢気も見どころ。

最初は穏便に事を進めようとするが、「これが刑事だ」を合言葉に秘められた刑事魂をヤケクソに発揮していく。

決してイケメンではない。

どこにでもいそうなおっさんだ。

しかし普通のおっさんだからこそキラリと光る漢気を見逃さないでほしい。

 

拳と漢気の異文化交流本作はまさに良く出来た「レッドブル」

否、「パーフェクト・レッドブル」である。

真っ先にレッドブルを思い出す辺り、俺たちも育ち方を間違ったとしか思えない!

普段からスタローン、ステイサム、シュワルツェネッガーの映画ばかり見るのもどうなんだ!と自らを猛省したのだった。

すぐケンカしてすぐ仲直り。

絶体絶命のピンチに駆けつける。

男同士の絆に置いてけぼりのヒロイン(ちなみに本作では少女時代のユナが出ている)

が抜群のタイミングで挟みこまれるので、我々としてもぐうの音が出ないのも無理のない話であった。

韓国映画といえばお通夜気分になるダークな展開の映画が多いが、刑事魂が国境を越える展開は10辛のキムチ鍋なみに熱い。

生きていると俺たちも韓国や北朝鮮のように分断された人間関係になってしまう時がある。

だが「ロッキー4」(言ってるそばからスタローンじゃねえか!)で「俺たちは分かり合えるはずだ!」という言葉があった。

民族の分断と個人の分断を比べるのは、どうなのよ⁉と言われるかもしれんが、あえて言おう。

同じだよ!!

本作のように、たとえ傷だらけになっても、逃げずに本音で向き合えば国境を越えて互いを分かり合えるかもしれない。

それは映画だけの夢ではなく、現実にありうる可能性でもある。

そう思わせてくれる映画でしたよ。

タイトル:コンフィデンシャル/共助
原題:공조 英題:Confidential Assignment
監督:キム・ソンフン
出演:ヒョンビン、ユ・ヘジン、キム・ジュヒョク、ユナ(少女時代)ほか
2017年/韓国/カラー/デジタル/韓国語/124分
配給:ツイン
Copyright : (C)2017 CJE&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

TOHOシネマズ 新宿ほか全国ロードショー

絶賛公開中!!