イキリオタクはちん毛を剃ってから観ろ。パシフィック・リム アップライジング

「アップライジング(暴動)」の言葉は伊達じゃない!!
人類VS怪獣のハードコアデスマッチ 第2ラウンド

 

「パシフィック・リム」はめんどくさい。

 

いきなりややこしい事を書いたが俺は大好きだ。

 

5年前、最初に観た時にあまりの正気ではない内容に放心状態になった。

この現代においてロボット対怪獣の殴り合いがハリウッドで作られるとは思いもしなかった。

しかもハリウッドだ。自分が子供の頃に慣れ親しんだ特撮やアニメのように戦いになると舞台が急に森か岩山になるのではなく、何万倍の予算をかけて全力かつ大迫力のフルCGで迫ってきた。

戦闘シーンと同じくらい派手な出撃シーン(これ大切)、闘志に満ち溢れたテーマ曲、 イェーガーと怪獣との殴り合い。倒壊しまくるビル。

ジプシーデンジャーが「エルボーロケット」、「チェーンソード」と必殺技を叫んで放ったと思えば、 怪獣の脇腹に至近距離でプラズマ砲を撃ち込む、その辺のコンテナやタンカーで殴るといった ハードコアな喧嘩も見せてくれるのだからたまらない!!

「映画としてどうかはともかくカッコいい」数々のそれに28歳、もうすぐ結婚で家族を支えていかないといけない使命を持った当時の俺の精神は見事に6歳に戻った!!



また、俺が国内の作品で不満に思っていた「大人はわかってくれない」「どうして戦わなきゃいけないんだ」と悩むフニャチン野郎も巨乳で童顔、甘え上手の妹のような女性キャラも皆無。誰も悩まない!!(悩んでも約1分)

「地球の平和」・・・それだけのために怪獣とのデスマッチに挑む人類はまさに俺の理想である 「ガンダムのパイロットがエクスペンダブルズ」状態で晴れ晴れしい気持ちになったものだ。

そんなこんなで定期的に観返すほどの作品になった「パシフィック・リム」だが・・・ めんどくさいイキリオタクを多数生み出した。

以前から日本橋のマクドナルドで延々ア・バオア・クーでのジオン公国について語る奴はいたが、こちらは少しばかり違う。

「あのシーンは〇〇の影響」と知識量でマウントを取ろうとしてくる、さも有識者の如くふるまう。

自分が庵野秀明かみうらじゅんだと勘違いしているクソ共がネットで

「特撮が~」「SFが~」「円谷イズムが~」「~は正義」「最高of最高」「~なんすよ」と偉そうにほざいているのを目にしては「おまえは庵野と違って何も成し遂げてねーだろ!!」と片っ端からメガネをかち割ってやりたい衝動に駆られた。

人類と怪獣の戦いの裏でシネフィルやら特撮オタクやらクラスタやらのでドブ臭い討論大会を生み出した「パシフィック・リム」の続編「パシフィック・リム アップライジング」 が公開された。

「アップライジング(暴動)」とタイトルから偏差値の低さは約束されてはいたが「前作のプレッシャー?まずプレッシャーという言葉がわからん!!」と言わんばかりに振り切れたお祭り騒ぎ。

「前作が売れに売れたので今回は予算がたっぷりです」と言わんばかりに夜中心からお昼中心の殴り合い。 そして最終決戦は東京だ。(これはミュージシャンにとっての武道館のようなもの)

知性は行方不明、夏休み初日ばりに景気が良くまたもや俺の中の6歳が狂喜した

前作以上に無駄に派手なイェーガー及び怪獣。やっぱり悩むことのない人類・・・

男の中の男、ペントコスト長官の息子ジェイクは最初こそナンパなちゃら小僧だが、ジプシーアベンジャーに登場すれば1分で男の中の男に変身。

終盤の男気に溢れた道徳の授業は必見だ。

スコット・イーストウッド(俺と同学年)の父親譲りのタフなG.I.ジョーっぷり

見た目はミネバ、心はアナベル・ガトーの一切守る必要のない少女アマーラ

菊地凛子に至っては5年の月日を経て絶世の美魔女になっていた。菊地凛子だけは6歳の俺ではなく32歳の俺をスパークさせてくれた事ははっきりと文章にエビデンスとして残しておきたい。

もともとキレイな人ではあるが、本作での菊地凛子は特別だ。仕事でミスして怒られた後、優しくなぐさめられたい。

そしてチョイ役かと思いきやがっつり出演する千葉真一の息子、真剣佑。

 ここ最近、仕事ですっかり心身共に疲れ切った俺に明日への活力を与えてくれる快作だったわけだが、なんとまぁ割と否定的な意見が多い。

「単なるロボットものに成り下がった」「凡作になった」「美学がなくなった」・・・まぁわからんでもない。 前作の主要人物の扱いが雑で俺自身思い入れがあるだけに「はぁ?」と思ったのは事実だ。

しかしなんだその手のひら返しは!?

監督がギレルモ・デル・トロじゃなくなったら文句を言うのか?

 「パシフィック・リム」はおまえの自己承認欲求のためのオナホールではない。映画だ。

そもそも何故、イキるのか?マウントを取ろうとするのか?

モテたいんだろ?

何かで自分を大きく見せたい。サブカルの知識量で自分を特別な奴だとアピールしたいんだろ?

1954年の「ゴジラ」から「シェイプ・オブ・ウォーター」までの特撮の歴史を居酒屋で語って、ちょいオタな女とセックスできるとでも思っているのか?

死ねぃ!!

そんなにモテたかったらシーザーサラダを率先して取り分けろ、髪型の変化をいち早く見つけろ、おまえの話ばかりせず聞き役に回れ!!

マウント取りたがるくせに好きな体位は騎乗位と言ってみろ!!

2週間かけて殺すぞ!!

実際、学生から社会人に変わっても基本は変わらない。ステータスがスポーツが得意から年収や肩書になっただけで、基本女にモテるか、どんな女とやったかだ。

結局、おまえもおまえの大嫌いなインスタで女子大生とのBBQの写真ばかりアップする奴と同じ。

重力に囚われた者(byシャア・アズナブル)ならぬ性欲に囚われた者だ。

俺が思うに「パシフィック・リム アップライジング」は性欲を一切取り除いた時におもしろさが覚醒する。

前作以上に良いところ・・・それは子供の頃に感じた「カッコいい」が大洪水になっている事。

誰もが持っている「カッコいい!!」と鳥肌が立つシーンや設定。

以下ネタバレになるが・・・俺が子供の頃に観て鳥肌が立ったシーンを列挙すると

・「逆襲のシャア」の予告での巨大な薬莢をガンガン排莢しながらバルカンを撃つνガンダム

・グフのヒートロッド

・「ポケットの中の戦争」でのハイゴッグとズゴックEによる海上からの基地襲撃

・これまた「ポケットの中の戦争」の破壊されたザクを自分たちだけで修理して戦いに挑む

・「パトレイバー3」の廃棄物13号や「エヴァンゲリオン」のバルディエルの生物と機械のハイブリッドモンスター

・人造人間13号やグランドマスターガンダムなど倒したはずの敵が合体。

・ウォーズマン理論

が全部盛りだった。

また
・完全新規ではなく前作の発展型。改良型

・他キャラクターの武器を使う

・戦力外だと思っていたポンコツが大活躍する

という俺が人形やプラモで遊ぶ時に必ず取り入れていた設定もしっかり組み込まれていた。

まだ異性に興味なんてない毎日が大冒険だった子供の頃、あの時に感じた感動が
「パシフィック・リム アップライジング」を見て蘇る。

しかも今回は60~70年代の特撮より80~90年代のロボットアニメからの影響が大きい。
SDガンダムと「逆襲のシャア」から入り幼稚園以降はガンダムどっぷりつかった俺としては前作に引き続き完全に骨抜きにされてしまった。

というわけで今すぐカミソリを手に取りちんちんの毛を剃れ!!
そして子供の頃何が好きだったかを思い出せ、その時こそ「パシフィック・リム アップライジング」の真のおもしろさに触れることができる・・・はず。

ちなみに公開初日に観たのだが、平日という事も差し置いてもガラガラだった。
幸先は悪いが、ロボット魂が値崩れしないかなとひそかに期待していたりする。