還暦過ぎて成長期!! ドルフ・ラングレン伝説

「クリード 炎の宿敵」が公開されて1週間が経った。
おそらくドラゴ親子に涙=ドラ泣きした人はたくさんいるだろう。

俺自身まさかドルフ・ラングレンで泣かされる日が来るとは思わなかった。

実際、ドルフを追い続けて数十年だが、どの作品でも
「無表情の殺人マシン」
「サイボーグじみた超人、もしくは実際にサイボーグ」
と言ったキャラばかりであんな涙を誘う演技が出来るとは思っていなかった。

最近ドルフ・ラングレンのファンになった方もいるだろう、という事で
今回のビーパワーはドルフ・ラングレンについて雑に特集します!!

1957年11月3日、この世に生まれたドル。
イケメン、長身と恵まれたスペックはもちろん、スポーツ万能。
極真空手は始めたら黒帯、キックボクシングをすればヨーロッパ、オーストラリアを制覇。
ネプチューンマンも真っ青な完璧超人っぷりだ!!

本人曰く、思春期はバンドでの成功を夢見てたこともあったそうだが、厳格な父の元に育ち、 勉強したところ、最終的にマサチューセッツ工科大に進学する秀才となった。

現実離れした高スペック。
努力することを苦労と思わず、子供の頃から常にトップ。
まだ福山雅治やキムタクの方が人間臭いんじゃないか?

同級生には絶対なりたくない男だ。

スポーツであれ学業であれ活躍し、もしかすると国家を動かすような人物になっていたかもしれない。そんなドルが何故役者の道を進み「人間核弾頭」になったのか。

理由は女!!

ナイトクラブで用心棒をしていたところ、一人の女性と出会った。
グレイス・ジョーンズ

一度見たら忘れられないカミソリのように鋭い角刈りのオーナーである。

秀才であるがゆえ、一般的な美的感覚とは違うのだろう。突然フォーリンラブしたドルはグレイスの彼女パワーでいきなり「007 美しき獲物達」でハリウッドデビュー。

恋に爆走中の二人。

さらにスタローンからスカウトで「ロッキー4」でイワン・ドラゴ役を獲得。
アポロをリングに沈め、世界中に名をしらしめた。

デビュー作が「007」でスタローンからスカウトで「ロッキー」に殴りこみ。
休日にソファーで寝転びながらする妄想を現実にする。ファンタジーよりもファンタジーなドルの人生だが、

4年後の1989年「パニッシャー」で死んだ目をして全裸で正座していた。

開始5秒でドルのケツを見せられるオープニングが示す通り、ドルフ・ラングレン版パニッシャーは丁寧な説明もなく、 がんがんストーリーが展開されていくので丁寧な作りのMCUですっかり甘やかされた我々はストイックな精神で観賞しなければならない。

2年後の「リトルトーキョー殺人課」では素肌にハッピとハチマキ姿で大暴れ。間違ったジャパニーズカルチャーを追及し続けた。

誰の目から見てもドルの人生が狂い始めているのは明らかだったが、1992年「ユニバーサルソルジャー」が公開。

ローランド・エメリッヒのハリウッドデビューの本作でベトナム戦争で戦死後、
軍の極秘実験により蘇生した兵士(ユニバーサル・ソルジャー)のリーダーを
演じたドル。

予算の大半が飲み代に消えたのではないかと思える雑な作りのユニソルだが、
同じアクションスターのヴァンダムとの対決と演じたスコット軍曹の狂いっぷりにより映画としてはそこそこヒット。

ここ日本でも90年代は地上波で放送されることが多く大塚明夫の吹き替えで
「弾がなーい!!」と叫ぶ名セリフもあり、「ロッキー4」公開時は生まれたばかりで間に合わなかった俺もユニソルをもってドルヲタとして覚醒した。

しかし、ドルのキャリアは一向に上がらなかった。ここから約20年
代表作は「ロッキー4」と「ユニソル」。

おかしなB級~C級ばかり出る役者として不遇の時期を過ごす。

個人的には1998年のジョン・ウーと組んだ「ブラック・ジャック」は中学生だった 俺の感度をビンビンにする良作だったが、一般的には「白濁色の液体(牛乳)にまみれて悶絶するドルフ・ラングレンに注目」という倒錯し過ぎた性癖の人向けのAVみたいなレビューばかりされている。

大学生の頃、就活が終わった俺は久しぶりにドルの映画でも見ようと思い「ディテンション」を借りたが、放課後の高校で学生と一緒にワチャワチャするだけというB級どころかC級で観ているこっちが落ち込むレベルだった。

※記憶が曖昧だが、
・ハーレーで通学するドル
・高校を占拠するテロリストが武装してても全員弱そう。
・銃撃戦の迫力がなさ過ぎて電動ガンの撃ち合いみたい
・全員射撃が下手過ぎて至近距離で撃ち合っても全員無傷

才能に恵まれながら何故、こんなにパッとしないキャリアとなったのか?

俺が思うに人間として完璧過ぎるのが仇に出たのだろう。

スタローンはご存知の通り映画のためなら大怪我は日常茶飯事、麻酔なしでセルフ手術できる映画バカ。

シュワルツェネッガーとブルースウィリスは戸田奈津子先生から暴露されているほどわがまま(当時)。

トム・クルーズは「ミッションインポッシブル」の製作現場を見ている限り、トムの独断場で誰も意見できない状況。

ハリウッドでは才能意外にも押しの強さが必要なのだろう。

ドルフはスキャンダルもほぼなくインタビューを読んでいても性格の良さと頭の良さがよくわかる。

おそらくドル自身は思う事があっても、現場でのスタッフとのトラブルを避けたり、相手の意見を尊重したりブサイクで性格の悪い女にでも率先してサラダを取り分けるなど、気を利かせ過ぎたあまり 映画がこじんまりとした仕上がりになったのだろう!!

そんなドルに救いの神スタローンが手を差し伸べる。「エクスペンダブルズ(別名:男たちの終わらない放課後」へのオファーだ!!

ドルはヤク中の高学歴軍人ガンナー・ヤンセン役で大暴走。エクスペンダブルズを裏切りスタローンとジェット・リーと闘うというスタローン筋肉学校に100点満点の入学を果たす。

スタローンと共に日本にも来日 「長年大作には出れてなかったから嬉しい」という素直過ぎるコメントに我々は心からドルの前線復帰を喜んだ。

「エクスペンダブルズ3」まで皆勤賞で参加しながら相変わらずビデオスルーの
低予算映画にも出ていたドル。とはいえ人気サメ映画「シャークネード」にカメオ出演したりDCコミックス原作の「ARROW」に出演するなど抑えるところは抑え着実に新規ドルヲタを開拓していた。

「エクスペンダブルズ3」にて戦車を奪ってめっちゃ笑顔のドル。

そして「クリード 炎の宿敵」である。
1作目を観た時に「次はドラゴの息子か弟子がアドニスと戦ってくれればいいな」とか飲み屋で話したりしていたが、本当にドラゴ役で帰ってきた!!

とはいえ、ドルフの事だ。ちらっと出てきてファンサービス的なセリフを言うのかなと思っていたら哀愁じみた演技で涙腺をかっさらってくれた。観た人ならわかってくれると思うが、ところどころスタローンを超えていた。

この半生、別の生き方をしていた方がよかったかもしれない。ドル自身誰よりも思っただろう。

実際ドルならアスリートとしても学者としても成功していたと思う。
しかし「クリード 炎の宿敵」を観てドルは年老いたイワン・ドラゴを演じるために俳優になったのだと思える。

ドルは「映画史に名を残すスター」になった。(書きながら泣けてきた)

当のドル本人も
「クリント・イーストウッドが「許されざる者」を作ったのも、ショーン・コネリーが「アンタッチャブル」に出演したのも60歳くらいだからね!!。

自分のキャリアには十分満足しているけれど、これからみんなを驚かせるようなことができたらクールだろうなって思ってるよ」と超ポジティブだ。

実際、先日試写で「アクアマン」を観たがドルはちゃっかり良いポジションで出ていたし、「アクアマン」自体世界で大ヒットしているのでキャリアは絶好調に上向きだ。

2019年で62歳。還暦を過ぎて成長期のドルフ・ラングレン。

金髪、イケメン、高身長、北欧出身。よく考えたらマッツ・ミケルセンと被ってるところも多いしきっと女性ファンも爆増していくだろう!!
ドルの娘(写真左)。ちなみに右はヴァンダムの娘。