モトリークルーがもっと好きになる「The Dirt」

クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒット、アカデミー賞も受賞し、世間は空前のクイーンだが、Netflixでも全世界のロックファンが待望したMotley Crueの自伝「The Dirt/ザ・ダート」が公開された。

誇張でもなんでもなくモトリークルーが死ぬほど好きだ。

俺にとっての映画ならスタローン、音楽ならモトリークルーと書けば俺がどれだけ狂わされているかお分かり頂けるだろう。

CDからMD、ipodと時代が変わっても新しい音楽プレイヤーを買えば真っ先にモトリーの曲を入れて聴き続け、 来日したらライブに行き、雑誌のインタビュー記事を読み込み、ギターで曲を練習して、学生時代はモトリーのバンドTシャツばかり着ていた。

昔好きだったとか青春の1ページとかではない。高校1年から今日に至るまでずっと俺の人生でモトリークルーが流れていた。何故こんなに好きなのか?

音楽はもちろん、メンバーのスタイルが最高だ。

入れ墨だらけのルックス、強盗と殺人以外は全て実施済。スキャンダルというて言葉で片づけたらいけないレベルの波乱に溢れた歴史。

それを余すことなく書いていたのが2001年5月出版のThe Dirtだった。(日本では2002年12月に出版)

初ライブで気づけばベースで客をボコボコにしていた。

ヘロインで心肺停止した。

ラジオのインタビュー中に床におしっこ、DJとヤる。

***に受話器を突っ込んだ。

メンバーが交代でバンドの歴史を回想するこの一冊は当時は活動休止中という事もありお互いの事を言いたい放題。

「全米がドン引き」と話題が話題を呼び、今日に至るまでのミュージシャンの自伝ブームを作ったが、これよりひどい物はない。

学生時代に友達同士で読みあったが「全く共感できない」「これだけ分厚い本なのに、読んでタメになる事が1行も書かれていない。」と盛り上がった。

後日、同じワルで有名なガンズアンドローゼズのギタリスト、スラッシュの自伝も読んだが「ビラ配りなど地道な努力が大切」 「ギターの基礎練習を欠かせてはいけない」と本当は真面目な人柄が浮き出ている内容だったので、やっぱりモトリーはマジでヤバイんだと子供心ながらに思った。(スラッシュの自伝の中でも「ニッキー・シックス(ベース))に酒で潰された。」と書かれていた。)

出版後、即座に映画化の話が出たがなかなか契約がまとまらず早17年。ついにNetflixで公開された。

ボロボロになるまで原作を読んでいる俺としてはどれだけこの日を待ったか。

既に連続で2回観賞しているのだが、モトリークルーというバンドの良さが完璧に詰まった作品だった。

メンバーの時代ごとのルックスはもちろん、喋り方も似ているし、数々の再現も気合が入っている。 特にトミー・リー(ドラム)役のマシンガン・ケリーはトミーそのものだった。

さすがに***に受話器はなかったが、殴り合いで終わった初ライブ、

ミック・マーズ(ギター)がバンドに入った瞬間、在籍していた他のギターをクビにする。

ヴィンス・ニール(ボーカル)がマネージャーの彼女を寝取る。

オジー・オズボーンの小便&アリ吸引。

トミーの結婚式でニッキーがヘロインで廃人などきちんと再現してくれていたのは嬉しかった。

長年、待ち続けた甲斐がある・・・ただ、1つだけ言うなら実際の方がもっと狂っている。

日本でニッキーが新幹線でジャックダニエルの瓶を投げてサラリーマンの頭に当たってケガさせたとか、ヴィンスがヤクザとケンカするくだりが描写されていないからではない。

劇中ではニッキーが大切なもの・・・バンドメンバーという事に気づきその後20年間走り続けたという流れだったが、

実際のところニッキーが一番大切なのがバンドメンバーだというのに気付いたのは多分ここ2週間くらいだと思う

~ヴィンス脱退後のモトリークルーの実際~

・ジョン・コラビを加入させて 「モトリークルー」をリリースするが売れない

・ライブにも客が入らない

・失敗の原因がジョンと結論になりバンドからも世間からもいじめられる

・トミーと当時の嫁のパメラ・アンダーソンとのビデオが流出

・ヴィンスと話し合いをするが、ニッキーが「JOHN」と書いたTシャツを着て出席、「久しぶりにあえて嬉しいよ」と言うニッキーに対してヴィンスが「(売れてないの知ってるし)そりゃそうだろうよ」と返事してケンカ。

・会社及び、弁護士の力で強制的に再結成、ジョン解雇

・レコーディング中に病んだミックがニッキーに向けてつらい気持ちを手紙に書いて提出。

・アルバム「ジェネレーション・スワイン」は微妙だったがツアーは成功

・トミー、嫁を殴って収監

・トミー出所後にヒップホップに走る

・トミーの執行猶予中にヴィンスがわざとトミーを殴る。トミー脱退

・後任に元オジーオズボーンバンドのランディ・カスティロ加入

・アルバム「ニュータトゥー」リリース

・ランディがん発覚、サポートメンバーにホールのサマンサ・マロニーを迎えてツアー

・ニッキー、サマンサと浮気して家庭崩壊

・自伝「the dirt」が大ヒット

・ランディ死去

・4年ほどバンド活動休止

・ヴィンス、テレビの企画で美容整形及びダイエット

・トミー、テレビの企画で大学に行く

・解散ツアーのため新曲4曲を入れたベストアルバム発表&2回目の再結成


モトリー入門ならこれが一番良い。

・ツアーは大成功。「解散ツアーなんて言ってない!!」とニッキーが切れたので解散はなかったことに。

・アルバム「セイント・オブ・ロサンゼルス」リリース

・トミー、曲作りに一切参加させてもらっていないと激怒

・定期的に辞めたがるヴィンスとトミーをなだめながら毎年夏はツアー

・2014年~2015年大晦日にかけてラストツアー

・最後のライブ後、トミーがツイッターでニッキーのフォローを外す

といった感じに音楽シーンのトップを走り続けた事は間違いないが、途中休憩及び事故が乱発していた。

活動休止後に最初に飛び込んできたニュースも、 ラスベガスの街中で暴れてニコラス・ケイジに取り押さえられているヴィンスだった。

あのガンズアンドローゼズでさえも年を取って丸くなり、今は仲良く再結成しているがモトリーはライブ活動を終えた今も定期的にネットで炎上している。

最近だとトミーが息子に気絶するまで殴られて起訴するとかしないとかでインスタ上で煽り合っていた。

クイーンのような美談は皆無だが、世界中で音楽もキャラクターも愛され続け、歴史に残るバンドであることは間違いない。

ダートを見て少しでもモトリーに興味を持ってくれたら、You tubeで適当に試聴するだけでも良いので音楽に触れてくれたら嬉しい。

映画にあわせて新曲入りのサウンドトラックも出たが、マドンナのカバーの「Like A Virgin」なんて最高だった。


サントラは新曲+初期ベストな内容

最後に最近のトミーの発言「ラストツアーの後はお互い二度と顔も観たくなかったけど、今はお互いを恋しく思うようになった。友情が蘇った」

生涯バッドボーイ、モトリークルーはずっとモトリークルーでいて欲しい。