奴は私が裁く!フルアーマーバトルババアVS伝説の殺人鬼「ハロウィン」

ここ最近、日本においてハロウィンといえば、主に渋谷辺りで浮かれて若者がロクなことをしない祝日として知られていますな

そんな浮かれたパリピ共の尻子玉を抜くホラー映画『ハロウィン』が4/12(金)に日本で公開される。

 

『不死身』『目的不明』『喋らない』『気配が無い』

まさに不条理の役満のような殺人鬼のブギーマン=マイケル・マイヤーズ(以下マイケルさん)が、親兄弟を訪ねるついでに周りの人を千切っては投げを繰り返してきたハロウィンシリーズの通算11作目が本作。

これまで劇中の死んでも死なないマイケルさんのド根性のおかげで8作、ロブゾンビのリメイク版の2作を含めると計10作がハロウィンとして製作されてきた。

ジョンカーペンターが監督した第1弾から始まったシリーズも、気がつけばマイケルさんにオカルトが絡んで不死身属性をゲット

それに伴い第1弾から登場していたルーミス医師もシリーズを重ねるうちに本職の設定をド忘れして何故かコマンドー化!

ほぼ同スペックになったルーミス医師とマイケルさんが血で血を洗う激闘を繰り広げた歴史がハロウィンにはある。

あるいはマイケルさん、他の登場人物も含め死んだと思ったら生きてたり、かと思いきやポックリ死んだりとシリーズの死生観がドラゴンボー魁‼︎男塾のような世界観を形成するに至った。

 

まあ、これはこれで味があった。

だが早い話、このくだりを初見の人に説明するのがズバリ面倒臭えとなっていたのも事実だ。

そんな思いが製作陣に伝わったのだろうか…

第1作以降のシリーズを『あれは嘘だ』とばかりに今になって力技でリセット!

なんと通算11作目にして1作目の直接の続編という、新たなハロウィンが幕を開ける。

という訳で、あらすじ。

 

1作目から40年。

ラストでルーミス医師にマグナムをブチ込まれたものの、ドッコイ生きていたブギーマンことマイケルさん。

あれから閉鎖病棟に隔離され、おとなしくしていたが今更感満点で刑務所への護送を控えていた。

神のイタズラか、奇しくも護送日はハロウィン前日。

関係者なら「他の日は無かったのかよ?」と陳情したくなる日程である。

しかし、ルーミス医師は既にこの世を去り、忠告する者はいなかった。

この嫌な予感しかないニュースを聞きつけた記者2人がマイケルさんへ突撃インタビューを敢行!

よせばいいのに例のマスクで煽るのだった。

 

新日の藤波辰爾ばりに「お前平田だろ⁉︎」ならぬお前ブギーマンだろ⁉︎」と詰問されるも、ひたすら沈黙を貫くマイケルさん。

何の収穫もなしで落胆して帰る記者2人であったが、その煽りが実は効いていたのかもしれない。

その夜、案の定、護送バスからの脱走を果たすマイケルさんなのであった。

一方、40年前の事件で生き残ったローリーは、今や遅しとマイケルの出現を待ち望んでいた。

というのも、第1作のハロウィンでの惨劇が忘れられず、再び現れるかもしれないマイケルさんに備えて己の戦闘スキルを磨き、完全にサラ・コナー化していたのだ。

そりゃ動機がサッパリ分からないのに命を狙われれば無理もない話であったが、おかげさまで娘へ幼少期からサバイバル技術を叩きこみ、周りから完全に頭がアレな人扱いされ、今となっては家族とも疎遠になっていたのだった。

だがローリーにとってはお構いなし。

あん時は絶叫していたが、次は私が息の音を止めちゃるけん!

…と、仮装ではなくバッチコイなフル武装をしては、マイケルの現れるハロウィンを今や遅しと待つ日々を送っていた。

 

そんな彼女の願いが叶う時が遂に来た。

例のマイケル脱走の一報が入ってきたのだ!

時はきた!それだけだ!破壊王・橋本真也ばりに気合の入るローリー。

しかし、それはマイケルさんも同じであった。

道すがら馴染みのコスチュームをGETし、殺人鬼へ返り咲き。

返す刀で地元へ向かい、行き掛けの駄賃としてパーティで浮かれるハロウィンの夜を再び血に染めるのであった。

そして、これも宿命なのであろうか。

運の悪さが遺伝したローリーの孫も気がつくとマイケルさんの引き起こす惨劇に偶然巻き込まれてしまうのだった。

果たしてローリーは肉親を守り、マイケルさんを倒せるのか?

決戦はハロウィンの夜。

リングは地元。

再びブギーマンと化したマイケルさん、バトルババアと化したローリー。

生き残るのは果たしてどちらか…

今、二人の40年ぶりのリターンマッチのゴングが鳴り響くのだった。

 

本作は人が無慈悲に殺されるホラーの面は勿論だが、やはり話が進むにつれて燃えるバトルホラーの様相を呈するのも見どころの一つであろう。

ホラーもシリーズを重ねると照れから安易な笑いに走りがちだが、本作のマイケルさんは原点回帰のサーチ&デストロイ。

男女平等壁打ちつけ、砕いた歯をプレゼント、生首ジャックオランタンなど、ブランクを感じさせない気の利いた匠の技を披露!

感情めいたもんを一切見せないストイックな殺戮ぶりは見る者を震え上がらせてくれる。

 

だが対するローリーも負けてはいない。

第1弾から引き続き出演するジェイミーリーカーチスは絶叫クイーンから一転。

「奴は私が裁く!」と、年季の入ったフルアーマーバトルババアとして戦いを挑む。

ライフル、リボルバー、ナイフを駆使し、自宅を迎撃要塞にリフォームするなどマイケルさんの相手にとって不足はない。

ローリーの血が出るなら殺せる精神に思わず目を見張ってしまう。

本作を見れば、こんな婆ちゃんが欲しくなるだろう。

 

その後の様々なホラー映画に影響を与えたハロウィンだが、聞けば無印ターミネーターのキャラ造形も、その影響を受けたらしい。

確かに無愛想不死身なマイケルと共通する部分が多い。

だが前述したサラ・コナー化したローリーを見るに、本作はターミネーター2のノリを逆輸入しているフシがある。

そう言われればシリーズをなかった事にして再スタートした部分も以後のターミネーターシリーズと共通している。

 

またトラップを仕掛けまくりマイケルを追い詰めるローリーの姿がプレデターのシュワを彷彿とさせてくれるのは俺の思い過ごしだろうか。

思えば、ジェイミーリーカーチスもトゥルーライズでの共演経験があるので何となく初期シュワルツェネッガー作品とのミッシングリンクを個人的には感じずにはいられない。

ともあれ公開はハロウィンの日じゃなく4月ですが、ただ怖いだけではない血湧き肉躍るホラー作品なのは間違いない。

この40年ぶりの季節外れハロウィン一本勝負を見届けて損はないですよ。