地球最大の卒業式「アベンジャーズ/エンドゲーム」

ありがとうアベンジャーズ。全人類が涙、感動の卒業式。

※ネタバレ満載で書くので、未見の人は読まない事をお勧めします。
※後半が痛々しい内容になります。

「アイアンマン」に始まり11年続いたMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース」もついにお開きとなる。

これまでもフェイズ単位での区切りはあったが、今回はアベンジャーズ初期メンバー(アイアンマン、キャプテンアメリカ、ソー、ハルク、ブラック・ウィドウ、ホークアイ)の俳優の契約が終了するのでこれまでとは意味が異なる。

思えば「アイアンマン」公開時が23歳。社会人1年目でちょうど仕事の理不尽さに疲れ始めていた頃だったので元気をもらった。

俺も一人暮らし、結婚、マイホーム購入、転職、祖父母の死、インコや犬やヤモリが家族になったり別れたり、バンド活動に励み、夢を諦めたり、映画ブログを書き始めてビーパワーハードボイルドを結成し、映画会社に声をかけてもらったと思えば怒られたり・・最近では白髪も増え腹も出て老いも感じてきた。

地球を守り続けたヒーロー達と比べるとちっぽけだがそれなりに色々あった。

サラリーマン生活のストレスをいつも笑いと興奮に昇華させてくれたアベンジャーズ。その初期メンバー6人がこれで見納めとなると感慨深い。

本当は公開初日に行きたかったが、仕事の調整がつかず休みが取れなかった。

翌27日の昼に観る予定だったが、我慢できず昼休みに映画館に走って、パンフレットを買いに行った。

こんな事したのは一体いつぶりだろうか?それこそ「うんこが止まらなかった」と言ってそのまま本編を観ようかと思ったがうんこが3時間止まらないのはさすがに無理がある。泣く泣く事務所に戻った。

翌日、卒業式に向かうような気持ちで「アベンジャーズ/エンドゲーム」に臨んだ。


あらすじ

作品を重ねるごとにメンバーを増員し、地球最大規模のハプニングを提供してくれたアベンジャーズだが、前作「インフィニティウォー」でインフィニティストーンの収集をコンプリートした宇宙一の暴れん坊サノスにより全世界の半分が死亡。

その衝撃的過ぎるエンディングは世界中をお通夜ムードにした。

残ったヒーローは
「伝説のお年寄り」キャプテン・アメリカ
「住所不定になった神様」ソー
「ハートブレイク二重人格」ハルク
「アベンジャーズのお姉さん」ブラック・ウィドウ
「泣き上戸のアライグマ」ロケット
「ドン・チードル」ウォーマシン
くらいでサノスの断捨離が原因によるメンバー大量退部(死亡)にさすがに凹んでいた。

そんな時「我が名は拳を極めし者」キャプテン・マーベルが、宇宙で漂流中のトニー・スターク(アイアンマン)とネビュラを保護。

地球に帰還するなり「よし、サノスを倒そう」とカジュアルに決断するキャプテンマーベルに一同困惑するが、修羅をくぐった者特有のガチな様子に、二つ返事で承諾する面々。

地球断捨離計画に成功し、辺境の惑星でインターネットから離れた田舎暮らしを満喫していたサノスを見つけとりあえず暴力でサノスの心に訴えたところ、何とインフィニティストーンを処分してしまったとの事。

「だってもうないし!!仕方ないし!!」と友達から借りていたゲームソフトのセーブデータを上書きしてしまったガキばりに開き直るサノス。石がなくなってしまっては失った人々は生き返らない。

絶望するアベンジャーズだが、イラっとしたのでとりあえずサノスを殺して戦いは終わった。

5年後、白髪も混じってきたキャップを筆頭に生き残った人々は悲しみを胸に日々を過ごしていた。

最近のトピックといえばキャプテンマーベルが宝塚の男役みたいな髪型に変えたくらい。

そんなある日、量子世界に入ったきりだった「等身大以下の底辺ヒーロー」スコット(アントマン)が誰にも気づかれずしれっと帰ってきた。

「タイムトラベル出来るかも。そしたら石集めが出来る」と熱弁するスコット。

本来なら速攻で医師による診察が必要な発言だが、「アライグマもメールする世の中だから」という事で信じるブラック・ウィドウ。
(この一言がMCUの世界観を一言で簡単に言い表しており、観客に有無を言わせず納得させる説得力がある。)

相変わらずの心配性だが、子供もできて平和に過ごしていたトニーもようやくキャップと仲直りし協力。寝る前にスマホをいじるくらいの勢いでタイムトラベルが出来る事を発見するトニー。

タイムトラベルが出来る=インフィニティストーンを集めて死んだ人々を生き帰らせる事が出来る!!=やったやん!!

字幕では省略されていたがドン・チードルがはっきりとヴァン・ダムの「タイムコップ」について触れていた。

引きこもりと暴飲暴食で太り、フォートナイトで他プレイヤーを煽る事だけが特技という王からニートという奇跡のキャリアチェンジをしていたソーと、サノスの断捨離で家族を全て失い、モヒカンに和彫り。夜中に街をブラブラしてヤクザ狩りをするのが日課とわかりやすくグレていたホークアイも見つけて復帰させる。

三つに分かれてタイムトラベルで石探しに出た面々。

「アベンジャーズ1作目のキャップの衣装ってダサっ!!」
「SHIELDって悪人面ばっかやん、怪しいって気づけよ!!」
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのオープニングって最高だったけど、よく考えたらウォークマンで音楽聴きながら歌い踊ってるってアホじゃない?」
という過去への的確なツッコミを交えながら何とか石集めに成功したアベンジャーズ。

トニーお手製の手作りガントレットで指パッチンして一見落着かと思いきや、2014年頃のイキリまくっていたサノスが地球にやってきた。

しかも「インフィニティウォー」の時のノースリーブ、チノパンというカジュアルな格好とは異なりゴリゴリに課金している。

「なんか未来で色々あったらしくって状況の整理がついてないけど、とりあえず地球を滅ぼすぞ!!」と思ったら即行動のサノスと今度こそ勝ちたいアベンジャーズ。

決戦の舞台はアベンジャーズ基地。地球最大の決戦が始まる。


前作以上に大盤振る舞いなヒーローの活躍。カッコよさで鳥肌が立ちっぱなし。伏線回収はもちろん、過去作のセルフパロディもたっぷりするなどわかりやすいボケとツッコミが満載。

もちろん?な事もあるがそこは「アライグマもメールする世の中だから」理論で強引にねじ伏せる。

「タイムトラベルして歴史を変える。」という超シンプルな内容なのに完璧。

「インフィニティウォー」での暗いムードを吹き飛ばす世紀のお祭。

「クリード」など良い続編は概して過去の作品の価値も上げるが、まさにその通りのシリーズ集大成に相応しい内容だった・・・

とキレイにまとめたいところだが、今回は無理です。ごめんなさい。

 

 

 

 

この記事を書くまでに2回観たが、まだめそめそしている。

 

 

 

トニー・スタークが、アイアンマンが死んだ。

 

ドクターストレンジが言っていた「サノスに勝てる1400万分の1の方法」とはアイアンマンが犠牲になる事だった。

映画で感動して涙が出る事はある。MCUの中でも

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」での1作目のグルートの友情パワー

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2」のヨンドゥとスターロードの不器用な親子の絆

「ブラックパンサー」でのキルモンガーのピュアな想いに涙したが、今回の涙は「感動」だけでなく「寂しさ」も大きい。

過去にも「ターミネーター2」や「機動戦士ガンダム ポケットの中の戦争」で主要キャラの死に落ち込んだ経験はあるがこんなに寂しいのは人生初だ。

アイアンマン

名前を直訳すると「鋼鉄男」、ハニワみたいなマスク。子供の頃、カプコンのゲームで初めてこのヒーローを知った時の印象は「とにかくダサい」だった。

11年前に映画化されると知って、しかも演じるのは薬物中毒で業界を干されて名前を聞くこともほぼなかったロバート・ダウニー・Jrなので当時公開されていたX-MENやスパイダーマンに比べるとB級なんだろうと勝手に予測していた。

しかしあのハニワ顔、黒色に逃げず配色も原作そのままにしてカッコよくアレンジされたアーマー。おまけにトニースタークもカッコいい。初めて観た時は家に帰るまで興奮が止まらなかった。

当初想定されていたトム・クルーズならここまでハマらなかっただろうし、第一MCUも続かなかっただろう。


実際「エクストリミス」とか読むと明らかにトニーがトム・クルーズを意識した顔になっている。

金持ちで天才でモテる・・・なのに嫌味がない。これはロバート・ダウニー・Jrが演じたからこそ、映画は大ヒットしマーベルを代表するキャラクターになった。

トニーのいつでもユーモアを忘れない余裕っぷりと、たまに弱さもさらけ出しながら戦う姿がカッコよかった。

回を重ねるごとに性格も穏やかになり、ピーターを子供のようにかわいがったり、直情的なヒーローが多い中、皮肉なジョークを交えてチームをまとめるアイアンマンはさらに魅力的に映った。

今までビーパワーでも
「アベンジャーズの財布」
「修羅場くぐり過ぎて日に日にメンタルが弱る社長」
「いつも最後は一番無茶させられる」
と度々いじっておりMCUの中では一番好きなヒーローであることは自覚していたが、自分にとってロッキー及びスタローンと同じくらいアイアンマンとロバート・ダウニーjrが大きな存在になっていた事がわかった。

キャップやソーが宿命から解き放たれて自分自身の人生を歩んだのも感動的だったが、トニーは逆にみんなのために人生を終えた。

葬式にて涙を拭うヒーロー及びペッパーやハッピーなどの昔からの友人。わがままだった社長は誰からも愛される男になっていた。

ニューヨークでもソコヴィアでも無茶して地球を救っていたよな。

でも今回は無茶しなくてよかったのに。

「アベンジャーズ」以降苦労続きだっただけにハッピーエンドで終わらせて欲しかった。

自分でも驚くほど涙が止まらなかった。

11年前、「アイアンマンって映画めっちゃおもしろいな!!今までのアメコミで一番かも」と話した映画館のアルバイトで仲良くなった友達とお互い目を真っ赤にしながら「エンドゲームは本当に楽しかったけど寂しい」と言い合った。二人とも心を落ち着かせるため外の景色を眺めた。今は友達の息子も増えている。

「大きくなったらアイアンマンになりたい」と言ってるまだ7歳の子供が声あげて泣きたいのを我慢してタオルで顔を抑えて肩を震わせて泣いている。

マーベルが好きという事でつながりが出来た人もたくさんいる。

家に帰って部屋に戻ったらアイアンマンのフィギュアだらけ。
他にも大きなポスターと当時アメリカにいた友達が探しまくって結婚祝いでプレゼントしてくれた「アイアンマン3」の時計やレゴのトニーの自宅が飾っている。

我が家のコレクション。こんなに一つのキャラクターを集めた事はなかった。

いつもテンションを上げるために聞いていたAC/DCやBlack Sabatth、Audioslaveが今は切なく聞こえる。

おかしな話だが、架空の人物の死が本当に寂しいし悲しい。
アイアンマンは自分にとってまさにヒーローになっていた。

たかが映画。されど映画。娯楽の枠を超えて人生の一部になっていた。

11年間で22作品というハイペースかつ全て大ヒットという歴史に残る偉業を達成したMCU。リアルタイムで追いかけることが出来て光栄だし財産だ。

お願いだから「スパイダーマン ファーフロムホーム」は焼き肉の後のゆずシャーベットばりにあっさりした内容にしてほしい。もう泣きたくない。

 

MCUを一気におさらいするのに最高な一冊。


エンドゲーム系フィギュアの中で速攻で買った。ほんとよく似てる!!


これ以外にもエンドゲーム系は散財しそう。


個人的にアイアンマンで最も好きなポスター


昔住んでたアパートに飾ってたブリキの看板。

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