まったり殺し屋ムービー「やっぱり契約破棄していいですか!?」

メンヘラ小僧とデンジャラスおじいちゃん。英国産まったり殺し屋ムービー

あれはいつだろうか、いつもお世話になっている映画宣伝会社さんから「守備範囲外かもしれませんが、こんな映画もございますのでお気に召されたら・・・」と紹介されたのが「やっぱり契約破棄していいですか!?」だった。

いかにも「単館系」なポスターで守備範囲外なのは明確だったが、「殺し屋」というキーワードとポスターにセキセイインコ、しかも普通のではなくジャンボセキセイインコ!! シネフィルであると同時にインコ4羽と暮らしている俺としては観なくては!!と気まぐれで鑑賞しました。

我が家のセキセイインコのチャー子(趣味:嫁が飾っているインテリアをかじる)とジャンボセキセイインコの五郎(趣味:犬にワンと吠えて煽る)

<あらすじ> 青年ウィリアムは、小説家を目指すも全く芽が出ず、人生に絶望し7回も自殺を試みたがいずれも失敗している。 一方、長年殺し屋としてキャリアを積んできたレスリーは、英国暗殺者組合の毎月の暗殺件数のノルマを達成できず 引退に追い込まれていた。ある日この二人は出会い、 “死にたい小説家”ウィリアムは、“クビ寸前の殺し屋”レスリーに一週間以内に殺してもらう契約を結ぶ。 これにて一件落着!と思いきや、ウィリアムの前にキュートな彼女が現れ… 最後に笑うのはどっちだ!? 「契約破棄」から始まるワケあり二人の<Wシチュエーション痛快エンターテインメント>がいよいよ公開! 【ホームページより】

まず主人公のウィリアムが絶妙にムカつく。自分が悲劇の主人公と思って太宰治を気取っている。「才能がない」やら「生きる意味がわからない」 やら寝言を抜かす。

一日中Twitterに常駐していて仕事しているかわからない、夜になったらポエムをつぶやく。女からのレスは律儀に返す。映画を語る時「カタルシス」とか「最高of最高」とか使うタイプの野郎だ!!

自分が書いた小説を多くの出版会社に送っても相手にされないと落ち込んでいる。俺達ビーパワーハードボイルドZも4年くらい前に映画〇宝に履歴書を送り続けた時期があったが、今も返事は来ていないので同じような経験がある。

おまけに先日”DIE”sukeさんがリ〇ルサ〇ンド映画部でライターデビューをしたが、いつものノリで書いたところ、多数の修正が入っていたらしく、実際その記事を最後に次の依頼は来ていないらしい

あっ、この場合「やっぱり契約破棄していいですか?」じゃなくて「やっぱり契約破棄された!!」だ!!

それでも生きてるんだ。だからおまえも生きろ!!

7回自殺を失敗したので、殺し屋レスリーに殺してもらうよう依頼する。1週間以内に出来るだけ痛くなく殺す契約を締結したわけだが、翌日から人生が急変する。

まず、出版業者からオファーが来る。しかも打ち合わせにやって来た女が美人!!更にいい感じの関係になる。

やっぱり死にたくない」とほざきだすウィリアム。

もしジョン・ウィックならウィリアムを鉛筆で刺して即座に契約履行だが、レスリーは引退直前で腕が錆びきったジジイだ。狙撃のつもりが間違えて違う人間も射殺してしまい、その後もガンガン関係のない人間も殺してしまう。

ジョン・ウィックなら3分で終わる話が彼女持ちになり突然人生に希望を見出したメンヘラとポンコツ殺し屋ジジイのぬるい二人なので90分続く事態となる。殺し屋系映画といえば「ジョン・ウィック」「イコライザー」「メカニック」「コラテラル」など数多く観てきたが こんなにまったりした殺し屋系映画は初めてだ。

暗殺計画の最中もジジイ宅での嫁との引退後の船旅の相談や刺しゅうコンテストの様子、二人ソファーでテレビを見ながらささやかな晩御飯など老夫婦のほっこりした日常を描く(描くなや!!さっさと殺せよ!!)

メンヘラに至っては彼女から「そんなに死にたいなら一緒に死のう」と胸にナイフを突きつけられたのに、次の瞬間、死ぬどころかヤリ始めている!!(「思いっきり人生お楽しみじゃねーか!!」とここでキレた。俺が。)

おい、キアヌを呼べ!!キアヌが無理ならデンゼル・ワシントンでもいい!!どいつもこいつも殺してくれ!!

と血管が切れそうになりながらウィリアムが死ぬのを願う状況が続くわけだが、いつのまにかこのまったりとした空気が心地よくなってしまっている

ウィリアムといいレスリーといい彼女のエリーといい服装がオシャレだし、おまけにイギリス仕込みのブラックユーモアも満載。

毒気のあるネタが好きな俺としてはうっかりツッコミを入れながら楽しんでしまっている

一番大嫌いなものは男のメンヘラだ!!しかもいい女と付き合っている!!出版社からも声かけられてるじゃねーか!!くそったれ!!なかなか良い映画じゃないの!!

実はNetflixの「リラックマとカオルさん」が全エピソードをリピートで観返すくらい好きなのだが、本作も同じやさしい空気が流れている。違いは好物がホットケーキのリラックマがサイレンサー付きのグロック17を持ったジジイに変わったくらいだ

試写を観た後、「主題歌もいっそのことくるりにしたらいいのにー」とか「ホットケーキとココアが飲みたい」とすっかりボケてしまっていた俺は「ジョン・ウィック」を再生しキアヌの大量殺人芸を見て心をドーピングしたのであった。

そういえば、試写会の案内のはがきをテーブルに置いていたら嫁が「あんたに届く招待状って銃持ったおっさんとか頭悪そうな映画ばっかりだけど、これは良さそうね」と言っていた事も記しておきます。

観た後にベレー帽被ったボブの女の子とブルーボトルコーヒーで感想を言いあいたくなる「やっぱり契約破棄していいですか!?」は8月30日より公開!!

いつもと気分を変えてシネコンではなく単館シネマへ。素敵な映画でまったり優しい時間を♪クソが!!