インターネットで本名と住所と全裸の写真が流出したらさすがに終わりかな・・・
2年前、「It それが見えたら終わり」の試写会の案内を頂いたが、どれだけ映画宣伝会社の方から「本当におもしろいですよ」勧めて頂いてもホラーが苦手な俺は「怖そうだから」という理由で断り続けた。
「後悔しても知りませんよ」と言われた数か月後、世界中で大ヒットした。
業界の方のご厚意を踏みにじる。
こうやってチャンスを逃していくんだろうなと思った。
そして今、新作「It /イット The End それが見えたら終わり」が公開。
上映に先駆け前作の応援上映があったので「今の俺は流行に乗りまくるぜ!!アンテナはびんびんに立ててるぜ!!」ということで観に行った。
アメリカの片田舎を舞台にピエロの悪霊ペニーワイズと7人の少年少女との戦いを描くホラー。
相手のトラウマやコンプレックスをついてビビらせてくるペニーワイズと翻弄される前半から一転、「てめぇいい加減にしろよ!!」とブチ切れるイマイチイケてない子供達(ルーザーズクラブ)
恐怖を乗り越えてペニーワイズをタコ殴りにする爽快さだけじゃなく、淡い恋愛描写やグッとくる友情、ビビったり、熱くなったり、感動したりと感情を振り回されまくった。
なるほど、これは大ヒットするわけだ!!と今更ハマった。
でも怖い。
「ホラー映画を見るときはスマホでかつ音量を小さめに」を肝に銘じている俺には劇場で観るのは拷問に近かった。
応援上映だったので、怖いシーンでタンバリンを鳴らしていたが、恐怖を和らげるためだった。どこからか聞こえる「頑張ってー」という声がが自分に対してのように感じた。
とにかくビビっているのが隣で見ている友達にばれないように怖そうなシーンは薄目で見た。
最終章になる新作も大ヒットするだろう!!俺の知らないところで!!
その後、試写の案内も頂いたが、全力で既読スルーを続けた10月末日
ワーナーブラザーズさんから「11月1日になったら開けてください」と荷物が届けられた。日付が変わった瞬間に届いた赤い箱を開けると中から真っ赤な風船が!
突然浮かび上がる風船にパニックになる我が家の犬とインコ達。
すっかりビビって尻尾を丸める犬とバタバタ飛んでいるインコをなだめて箱の底に
ある封筒を開封したらムビチケが1枚入っていた・・・・・。
風船でビビらされた後の悪魔の招待状(ムビチケ)
何より荷物の宛名が本名ではなく「デッドプー太郎」だった点が悪質だった。
というわけで2週間映画館に行くのをためらったが、覚悟を決めてようやく今日(11月17日)観た。
公開からそこそこ経過しているにも関わらず映画館は満員。客のほとんどが中高生だった。
本当に人気あるんだな・・・・スタローンの「大脱出」シリーズなんて人が少ないどころか、劇場公開が1日1回あるかないかなのに・・・なんかムカついた。
前作から27年後、「おまえなんか怖くもなんともない」と罵られボコられたペニーワイズが時間厳守で復活。突然噛みついたり、公共の場で風船を飛ばしまくったり、下水を死体だらけにしたりサプライズ活動に精を出していた。
不穏な空気が立ち込める大人になったルーザーズクラブが集結。
「今度こそあのクソピエロを殺るぞ!!」という事でいい年した大人とピエロのビビらせ合戦第2ラウンドが始まる。
相変わらずトラウマいじりのセンスが光るペニーワイズ。新ネタでがんがんビビらせてくるし、変身も巨大化したりと物理的にスケールアップ。たまに漫画太郎ばりに全裸のババァを投入する遊び心も満載。
ネタが尽きないなぁ・・・・27年間おそらく暇だったのだろう。
ルーザーズも
ビルが映画化されるレベルの作家
紅一点ベバリーがファッションデザイナー
リッチーがコメディアン
などルーザーズどころか社会的にかなりの「勝ち組」になっているわけだが、相変わらず色々とこじらせていた。
しっかりビビりまくってくれるルーザーズにペニーワイズも張り切りまくる!!わけだが社会的に成功しているだけあって前作以上に飲み込みが早いルーザーズ。
各自、過去のトラウマは適当に割り切って死体に襲われても、血まみれになっても、泥だらけにされても「そろそろ慣れてきた」とホラー映画史上に残るパワーワードを残す頼もしさ。
いつの間にやらメンバー全員シュワルツェネッガーの「プレデター」のような状況になる。
もちろん、決戦では相変わらず手ぶらだった。
今こうして文章に落としていると「どうかしてるなー」という内容だが、感動させられるのが「it」の憎いところ。
特に本作は「ハイスコアガール」を読み終えた時くらい胸が苦しくなった。
ペニーワイズは確かに怖かった。
ジェームズ・マカヴォイ演じるビルはカッコよかった。
でもMVPはベンとリッチー二人の27年越しの恋の行方だ!!
「愛しのぽっちゃりさん」ベンは前作から俺の推しメンだったが、本作では超絶イケメンになって帰ってきた。
太ってて学校ではいじめられているベンがベバリーに片想い。「君の髪は冬の火、1月の残り火、僕の心を焦がす」とポエムまで送るがベバリーはビルに惚れていた。という事実にヤキモキしたのは俺だけじゃないはず。
「it」を語る上で「サークルクラッシャーベバリー問題」は避けて通れない問題で、本作でも既婚者なのに再会したビルといちゃつく性の乱れっぷりを披露。
どことなくスキの多いけしからん女に進化している。
イケメンかつ成功者になったベンのトラウマはずばり「ベバリー」
前作ラストのビルとベバリーのキスシーンを見て人知れず泣いていたという事実が発覚する。
好きな女の子が友達といちゃついてる、でも何もできない。
このシーンの少年時代のベンの涙がつらすぎた。
ベンならベバリーに拘る必要もないくらい恋愛には困らないだろうし、「クソビッチ」と罵りたくなる夜もあっただろう。しかしベンは違った
ベバリーがやや軽めの女だろうが、ポエムをペニーワイズにいじられようが関係ない!!
あのポエムも涙も黒歴史じゃない!!
俺はあの日からずっと惚れてるんだ!!
絶体絶命の中で「君の髪は冬の火、1月の残り火、僕の心を焦がす」と叫んだベンはイケメンであり真の男だった。
そしてリッチー、口の悪い下ネタメガネとしてムードメーカーの彼がシリーズ最大の衝撃を起こす。
みんなトラウマをいじられる中一人「俺はピエロ自体が嫌いだから」と言っていたリッチーの秘密。
全ての伏線が繋がった時は本当に驚いたし、誰一人、相手にも気づかれなかったであろう片想い。
ラストで人目をはばからず大泣きするリッチーと黙って抱きしめるルーザーズクラブ。
リッチーの件については「公式設定」だしネットでがんがん出ているのですぐに見つかると思う。
リッチーが軽口キャラとして27年間本心を隠し続けていたと思うと、あの号泣が切なすぎる。
たっぷりビビって熱くなって、恋に恋い焦がれ恋に泣く2時間半
極論、ピエロはどうでもよいので2人の27年越しの片想いに打ち震えて欲しい。