今年はコロナウィルスで全てが狂った。
天気もおかしい。連日の大雨続きで今度は猛暑。
今頃は本来であれば東京オリンピックで浮かれていたんだろうな。
中止になったのはオリンピックだけじゃない。
音楽フェスだけじゃなく、地元の花火大会や地域の夏祭りすらない。
個人的に地元の神戸の花火大会は毎年楽しみにしているのでつらい。
夏ばかりか年末のルミナリエも初の中止かもしれない。
日本だけでなく地球規模でお通夜みたいなムード。
なんとか今のところ人類は滅亡していないが、祭は滅亡寸前だ。
しかし、そんな世界で最高の祭が開催されている。
伝説のドラゴン。ブルース・リー
死後47年経っても世界中で愛され、影響を与え続け、今日も誰かの人生を狂わせている。
そんなリーの
「ドラゴン危機一発」
「ドラゴン怒りの鉄拳」
「ドラゴンへの道」
「死亡遊戯」
が4Kリマスターとなってリバイバル上映している!!
ちょうど深刻なドラゴン不足だったので、地元の元町映画館へと向かった。
昭和の香り残る元町商店街の中にある小さな映画館。存在は知っていたが今回初めて行った。
高校生の頃から通っている中古レコード屋がひっそりと映画館の裏に移転していた。
「古びた恋の思い出は買えませんが、レコードなら買います。」
うるさいわ!!でも嫌いじゃない!!
ポートタワーがちら見え。
昔ながらの純喫茶や大衆中華屋、洋服屋を抜けて元町映画館へ。
ド、ドラゴンが大渋滞している!!
ドヤ顔のブルース・リーが4連発、ドラゴン、金色の極太ゴシック体。しかも全体的に燃えてる!!
おまけに「世界は今も、彼を中心に回っている。」と断言。
「自粛」という言葉をド忘れし過ぎている。
これは誇張無しで書くが、この強烈なポスターが商店街で浮きすぎて、映画館の前に人だかりができていた。
おそらくブルース・リーを知らない若いカップルや子供まで映画館の前で立ち止まって写真を撮っている。
文字通り街をざわつかせている。
宣伝としては大成功だが、あまりのドラゴンパワーにソーシャルディスタンスが崩壊しかけていたので映画館のスタッフさんがうまく整理されていた。
今回はビーパワーでまだ取り上げていなかった「ドラゴン危機一発」を見る事にした。
※ミニシアターな上にコロナの関係で映画館の定員が34名しかないのだが、俺がチケットを買ったら31番目だった。ガチで危機一発だった。
「ドラゴン危機一発」は記念すべきリー主演第1作。
リー演じるチェンは出稼ぎのために親戚たちが働いているタイへ。
勤める事になった製氷工場が麻薬を密売しており、秘密を知った者は容赦なく暗殺される超絶ブラック企業。
未成年の愛人達をはべらしている、メガネのフレームが真っ黒な社長と、定職につかず、地元のチンピラたちを引き連れている息子(清潔感アピールの七三分けと真っ白なスキニーパンツという典型的な苦労知らずのボンボン)
次々と失踪する仲間を探していた正義感溢れる従兄のシュウも暴行され命を落とす。
離職率が高いという問題ではない。行方不明(殺害)が出る職場。
仕事をミスして殴られても黙って働き続けるチェン。
就職にあたって会社情報をきちんと調べなかった事を反省しているのかと思いきや、故郷の母との約束で「絶対にケンカをしない」と決めていたのだった。
地元でケンカばかりしていたので今度こそ母を心配させまい。
根が純粋ゆえ、職場にやくざが押し寄せて来て乱闘になった際も(すごい職場!!)
騒ぎに関わらないようにしていたが、ペンダントが破損。
瞬時に母との約束は無効となり、ブチ切れたチェンは暴力でその場を解決。
なんと現場監督までスピード出世する。
昇進して大はしゃぎの面々、サザエさんのEDのような動きに注目!!
しかし行方不明の仲間達の事をすっかり忘れていた事が発覚。ヒロインのチャオ・メイにめっちゃキレられる。
今度こそ仲間の行方を聞き出すために参加した工場長との飲み会でチェンは酒を飲みすぎて泥酔。
そのまま風俗嬢とも一夜を共にしてしまい、翌朝仲間達から総スカンを食らう。
現場では論理的思考よりも暴力。お酒は飲み過ぎない。女性問題には気を付ける
と主演1作目にして「社会に必要なドラゴン」が揃っている。
風俗嬢のタレ込みで麻薬の製造及び仲間達の死体を工場で発見したチェン。
証拠隠滅のため襲ってきたドラ息子率いるチンピラ達と乱闘となる。
お母さんとの約束はこの時点で完全にド忘れ。ケンカどころか、何人かはナイフで刺すなど殺害してしまっている。
ドラ息子に至っては素手で殴り殺し、服が血まみれになる。
着替えのため夜中に帰宅したところ秘かに思いを寄せていたチャオ・メイが誘拐され、同居人たちが皆殺しにされている。
失意のあまり故郷の中国に戻る事を考えるチェンだが、死んでいった仲間達の仇のためにおそらくパスポートなども入っていたであろう荷物一式を川に投げ捨ててナイフ2本で社長宅へ殴り込みする。(徒歩で!!)
戦闘序盤でチンピラとの戦いの際に途中で手に入れたであろうスナック菓子をほおばりながら戦う。
最初に観た時から今日に至るまでこれほどカッコいいスナック菓子の食べ方は見たことがない。
暑いタイでしかも戦闘しながらスナック菓子。きっと塩気も多いだろう。
確実に喉が乾くと思うがパスポートが入っていたであろう荷物一式を川に投げ捨てれるドラゴンからすれば大した問題じゃない。
ドラゴンブーストされたブルース・リーは最強なのだ。
ちなみにこのスナック菓子が何かは未だに特定できない。
社長の飼っていたインコを逃がした後は一騎打ちに。
打撃のみならず関節技も披露。最後はナイフ、手刀、馬乗りパンチのドラゴン乱舞で
社長を生命的な意味で強制退任させる。
仲間の仇は取った。
そしてチェンは騒ぎを駆け付けてやってきた警察に逮捕されるのであった
(殺害した数を考えるとおそらくもう中国には帰れない)
冷静に考えれば「職場がブラック過ぎたので社長と社長の息子を殴り殺して捕まる」というおかしな話だし「ドラゴンへの道」のチャック・ノリスのように豪華なゲストもいないのだが、本編がチープな分だけリーの凄さが顕著だ。
明らかに場違いな絞り過ぎた筋肉、格闘。
数多くのアクションスターが出てきた今でも回し蹴りのキレは断トツでトップだ。
そして今回の4Kリマスターだが想像以上によかった。鮮明過ぎて最近製作された映画なんじゃないかと思う程キレイだ。
音声も良くなっており、元々盛り気味だった打撃音も一発一発がミサイルが着弾したかのように「ドコン!!」「バシュン!!」とハードなサウンドを奏でてくれるから笑いが起こる。
「不朽の名作」と呼ばれている映画は神格化され過ぎて実際見てみたところ、言う程でもない、今の映画の方がよっぽど良いという事もある。
今回リマスターされた事でやっぱりブルース・リーは真のスターであり、ドラゴンだったんだなと思う。
多分、100年後の人間が見ても「なんや、これ。カッコいい!!」と悶絶するだろう。
今回同じ時間に見ていた人はリアルタイムでブルース・リーに触れた年配の方から中学生3人組まで幅広い。
年齢は違えど、通販でヌンチャクを買って、練習中に頭をぶつけたり、大枚はたいてオニツカタイガーのイエローのスニーカーを買ったものの似合わなさ過ぎて悶絶した経験のある者たちばかりだろう。
生きているとつらい事もある。理不尽な事でも頭を下げなければならない。
自分の無力さがみじめで仕方がない事もあるだろう。
その原因はドラゴン不足だ。
心にブルース・リーを持て。
君がおっさんであろうが、チビであろうが、メガネであろうが(全部俺はあてはまる!!)関係ない。
己のドラゴンを燃やせ!!
劇場グッズが作られない事も当たり前の世の中でリバイバル上映に関わらずパンフまで作られている。
しかも表紙以上に中身が濃い!!上映する全4作の解説、スタッフ、キャストのプロフィール。大量の写真、情報量で胸やけしよう!!
以下パンフレットより抜粋
「奇しくも今年、新型コロナウィルスの脅威によって世界は未曽有の危機に瀕しています。
まさに今、世界に必要なのはブルース・リーです
ブルース・リー映画はコロナから世界を救う最良の特効薬の一つなのです。」