あけましておめデブゴン!!
2021年になっても相変わらず暗いニュースが多いが、そんな気分を吹き飛ばす「燃えよデブゴン TOKYO MISSION」が公開された。
「燃えよデブゴン」といえばサモ・ハン・キンポーの主演作シリーズ。
ぽっちゃり&おかっぱ頭というブルース・リーやジャッキー・チェンなど他のアクションスターとは違い意味で衝撃的なビジュアルとコミカルな演技。
俺も子供の頃に「なんやねんデブゴンって(笑)」となめてかかって観たのだが、アクションは本物で鑑賞後は「サモ・ハンさん、ごめんなさい」とリスペクトを隠し切れなかった。
日本でもヒットし、やがて「サモ・ハン・キンポー主演作=デブゴン」としてストーリーの繋がりが一切なくとも強引に19作がデブゴンの名を与えられた。
(それにしてもセガールの沈黙シリーズやチャック・ノリスの地獄シリーズなど日本では何故か強引にシリーズ化する文化があるがあれは何故だろうか。
ちなみに応用編としてジャン=クロード・ヴァン・ダム主演作は「ソルジャー」「ハード」
「マキシマム」をどこかしらに混ぜる傾向がある)
そんなサモ・ハン・キンポーも1998年のハリウッド進出を機に「サモ・ハン」に改名。
「SPL/狼よ静かに死ね」の悪役など、これまでと異なり渋い役柄を演じる彼に世界中のデブゴンキッズは狂喜乱舞。
「サモ・ハンの覚醒」
「キンポーを捨てた時、新たな世界が開く」
「己のキンポーを脱ぎされ!!」
と興奮していた。当時中学生の俺が。
サモ・ハンの年齢もありデブゴンが我々の前から姿を消して久しいが、ここに来て新たなデブゴンは目覚めた。
そう、あのドニー・イェンだ!!
ドニーさんといえば、引継ぎ名人としてよく知られている。
社会でも「引継ぎ」は非常に重要であり、なかなかうまくいかずにトラブルになることも多々ある。
しかしドニーさんは「ドラゴン危機一発’97」「イップマン」など、厳しすぎる引継ぎ案件を難なくクリア!!
イップマンシリーズ3作目では文字通り「イップマン 継承」とタイトルにつくほど見事に継承していた。
そんなドニーさんが今度はデブゴンの名を継承する!!記念すべき20作目のデブゴンを!!
特殊メイクで10kgを超える肉襦袢を身にまとったドニーさんのこのビジュアルを見て欲しい。本気度100%、A5ランクのデブゴンだ。
舞台は東京!!
そう、案の定これまでのデブゴンシリーズは一切関係がない!!
この記事を書くにあたり谷垣健治監督のインタビュー動画を見たが、
「太った人がすごいアクションをやって悪い奴をやっつけたらデブゴンなんですよ!!」と100点満点の回答をされていた。
そんな本作「燃えよデブゴン TOKYO MISSION」のあらすじ。
香港の熱血刑事チュウ・フクロン(ドニー・イェン)は今日もふらっと強盗に遭遇。
正義感がオーバーヒートし、乱闘の結果、犯人が運転するミニバンごと署に突撃するというタイムアタック逮捕を決める。
映画敵には満点だが、署内では「ヒーロー気取りもいい加減にして」と謹慎処分。
女優の婚約者からも結婚写真をすっぽかしたことにより愛想を尽かされ分かれる。
謹慎があけてからも現場復帰は認められず事務処理に異動。
失恋と左遷のショックでお菓子を貪り続けた結果、プラスサイズ、早い話が立派なデブになった。
しかしフクロンはドニーさんだ。ただのデブにはならない。
熱心に仕事をつづけた結果、重要参考人を日本への護送に成功すれば再び現場復帰できるチャンスを得る。
やる気満々で護送するフクロンだったが案の定、速攻で重要参考人を逃す。
「ブラック・レイン」ばりの展開にここは現地の日本人刑事とタッグを組むと思いたいところだが、相手は寡黙な高倉健ではなく、ハイテンションな竹中直人だ。全くかみ合わない。
元凄腕の刑事のメンツでヤクザの島倉(丞威)の存在をかぎ取るフクロンだったが
なんと島倉の招待で営業に来ていた元カノと再会、おまけに重要参考人は死ぬ。
日本でも疎まれ、香港からの信頼もゼロ。
全てを失った。
しかしフクロンはデブゴンだ。
己の正義のため異国の地、東京で巨大な陰謀に立ち向かうのであった。
「ドニー・イェンが太る」それだけの映画ではない。
ビーパワーは「デブが活躍する映画は名作」とナイスデブ映画を提唱しているが
「燃えよデブゴン」でのドニーさんはウルトラデブだ。
毎日3~4時間の特殊メイクはかなり苦しかったらしく、ドニーさんですら「つらい仕事は平気だ。だが特殊メイクは地獄だった」と漏らすほど。
実際、メイキングを見ると特殊メイク中のドニーさんは劇中では全く見せない表情で
微動だにしない。
https://www.youtube.com/watch?v=nEV4rX3M-EQ
笑える見た目とは裏腹にきつ過ぎる特殊メイクでもドニーさんの真骨頂である、スピーディーで破壊力高めの打撃は全く変わらない!!
ブルース・リーの「ドラゴンへの道」のテーマ曲のアレンジ版がテーマ。
ジャッキー・チェンばりの障害物乱闘マラソン。
ドニーさんの破壊力満点のアクション。
「SPL/狼よ静かに死ね」や「導火線flash point」のファンなら嬉しいセルフパロディも炸裂。
(普通なら一枚絵やアニメになるが、わざわざ本作のために撮り直している!!)
あまりの豪華さに試写で見た時はまだ2020年だったが思わず「あけましておめデブゴン」と叫んでしまった。
お茶目なビジュアルではあるが由緒正しい往年の香港アクション映画だ。
リラックスして笑える映画ではあるがメイキングでのドニーさんの鬼気迫る表情や
「自分への挑戦を続けてきた」という言葉。
谷垣監督の「肝心なのはスピリッツ」という言葉を知った後では見方も少し変わってくる。
往年の香港アクション映画を復活させる!!という気合と根性に背筋がピンとなる。
実際に観たかはわからないがサモ・ハンも新たなデブゴンを観て
と言ったはずだ。
ここ日本では「鬼滅の刃」で煉獄さんが「心を燃やせ」と言っていたが、ドニーさんは心を燃やすどころか脂肪も燃やしていた。
正月休み明けで体もだるいし仕事にも力が入らない。
そんなあなたにぴったりの「燃えよデブゴン TOKYO MISSION」
映画館でドニーさんに新年の挨拶をして2021年を突っ走ろう!!
公式サイトにてコメントを書かせて頂いております。
初代サモ・ハンの渋さ爆発デブゴン。共演がアンディ・ラウ。ゲストにユン・ピョウ、ツイ・ハーク、ディーン・セキと香港アクション映画のそうそうたるメンツ!!