チャドウィック・ボーズマンから全人類に送る道徳の授業!!タバコの匂いがする映画館で観たい「21ブリッジ」

君は己の道を歩んでいるか?

心に正義はあるか?

仕事や学校の忙しさを理由に自分を甘やかしていないか?

俺はというと毎年大晦日は「来年こそしっかり生きよう」と心に誓い、元旦に昼まで寝て誓いを破棄している。

そんなふやけた俺たちに喝を入れるべくチャドウィック・ボーズマンとルッソ兄弟のアベンジャーズ組が最高の作品を届けてくれた。

それが今回紹介する「21ブリッジ」だ!!しっかり読め!!

ある殉職した警官の葬儀。その息子である少年は涙を流しながら、神父の言葉を胸に刻み込んでいた。

「良心に従うこと。善悪の判断を他人に左右されないこと。この残酷な世界で、正しい道を歩むことを」

19年後。かつての少年、アンドレ・デイビス刑事(チャドウィック・ボーズマン)は、
「童貞が憧れる職業ベスト10」に必ず入る「ニューヨーク市警殺人課」で街の治安を守っていた。

アンドレは優秀な刑事だったが、正義感に溢れるあまり積極的に暴力も活用していたのでまぁまぁ職場で浮いていた。

つい先日もジャスティスがスパークして警察官を殺した犯人を射殺。

内部調査で発砲した事を詰め寄られても「正義の代価だ」と答えるので出世コースからは絶賛コースアウトしていた。

そんなある日の夜。市内のワイナリーに強盗が発生。

隠されているコカインを盗むだけの楽な案件と思っていた強盗二人組だったが、想定を大幅に超える量のコカインを発見。さらにグランドセフトオートの手配度5状態ばりに警官隊が速攻で突入してくる!!

現場は激しい銃撃戦となり、警察官たちを射殺してしまう強盗コンビ

「現場やばくね?コカインはドン引きする量だし、速攻でポリが来たし!!」

「ドン引きするのはおまえにだよ!!警官殺しやがって!!」

と仲違いするも、とにかく一刻も早く全力で国外逃亡することを決意する。

7人の警察官が殺害され、さらに1人が瀕死の重傷した今回の事件。

NYPD85分署のマッケナ署長(J・K・シモンズ)は、アンドレに本件の捜査に当たることを命令。さらに麻薬取締班のフランキー・バーンズ刑事(シエナ・ミラー)をパートナーにつける。

同僚たちの死にジャスティスと怒りが限界突破済のアンドレは、グロックの弾を大量に補充・・・ではなく事件に介入してきたFBIや市当局と交渉し、マンハッタンの21の橋、川やトンネル、列車など、島全域を封鎖することを取り付ける。

封鎖できる時間は午前5時まで。夜明けまでに強盗を逮捕しなければならない。

強盗達はというと高跳びするためにパスポートを偽造しようとしたところ、またしても抜群のタイミングで警官隊に突入される。

「たしかにコカイン盗んだよ。銃撃戦になったよ。人死んだよ・・・・でも、なんでこんなにハードモードやねん。」と強盗の一人で比較的ロジカルな思考のマイケル(ステファン・ジェームス)は怪しむ。

アンドレも操作を進める中で、重要参考人が警察官に射殺されていたり、タイミングの良すぎる無線での連絡に疑問を感じ始める。

ついに強盗達と出くわすアンドレ。

フランキーを人質に取り「俺はただ純粋に金が欲しくてコカインを盗んだだけなのに!!何もかもが怪しい!!」と主張するマイケル

強盗と殺人については一旦置いといてマイケルがバカな悪人ではない事を確信するアンドレ。

マフィアで管理できる量ではない大量過ぎるコカイン。

強盗現場だけでなく裏社会のアジトにまで抜群のタイミングで現れる警官。

決して頭の悪くない犯人。

署長がJ.Kシモンズ

「この事件・・・絶対に裏がある!!J.Kシモンズがただの警察署長の訳がない。」

調子のよすぎるニューヨーク市警にジャスティスの歪みを感じたアンドレ。

封鎖解除まであと数時間。アンドレは事件の黒幕にたどり着くことができるのか!?

むせ返るほどジャスティスとハードボイルドに溢れた一本だった。

どれくらいかというとただ映画を見ただけの俺でも観賞後は男として一皮むけた気分になった。

本作のチャドウィック・ボーズマンの刑事のカッコよさと来たら・・・

静かだが力強い声、確実に一発で相手をしとめるガンアクション、コートから覗く警官バッジ

煙の立ち込める真夜中の大都会、クライマックスの肌寒さが伝わってくるような早朝

ハードボイルドの全てが詰まっている。

「生活のために金が必要」「これだけ危険な仕事なのに給料がこれじゃあ」と仕事のハードさと給料をぼやく面々には「悪事を正当化するな。ぶれるな、正しく生きろ。」と銃弾を使った生活活指導を展開。

「シビル・ウォー」では親父を殺したテロリストに「生きて償え」と一喝。

「ブラックパンサー」ではマイケル・B・ジョーダンと殴り合った後は一緒に夕日を見たチャドウィックらしい心のこもった道徳の授業だった。

ルッソ兄弟といえば誰もがご存知の通りMCU!!だが、「タイラー・レイク-命の奪還-」といい往年のアクション映画を彷彿とさせる傑作を生みだしている。

もしかしてハードボイルドなアクション映画を撮りたいためにMCUを撮って資金を集めたんじゃないかというほど「タイラーレイク」も本作も素晴らしい。

派手なCGもアメコミ原作はなかった。

シネコンもない、タバコとコーヒーの匂いがする古びた劇場。

あの頃に感じた「カッコよさ」をエンドゲーム後のルッソ兄弟の作品は思い出させてくれる。

スタジオから希望より低いギャラを提示されたシエナ・ミラーのために「君の評価に値する額を受け取るべきだ」と自分のギャラを分けたナイスガイ!!

2020年8月28日、チャドウィック・ボーズマン逝去。

あまりにも突然過ぎる出来事だった。

フェイクニュースである事を祈って一旦スマホを置いたが、俳優や海外にニュースが続々追悼の言葉を投稿しているのを見て本当なんだと絶望した。

死後、極秘にしていた闘病生活や人柄がわかるエピソードがどんどん出てくる。

どうしてこんなに素晴らしい人が若くして死ぬのか。世界中から必要とされる人なのに。

悲しさより悔しさでいっぱいになった。

正直、あれから大好きなMCUも「シビルウォー」以降の作品が観れなくなっていた。

どれだけブラック・パンサーが画面の中で元気に暴れていても「この時末期ガンだったんだ。みんなにバレないように隠してたんだ。」と脳裏によぎって見れなかった。

しかし「21ブリッジ」を観賞してようやく受け入れることができそうだ。

これからも彼が残した映画はなくならないし、いつでも会える。絶対に世界は彼の事を忘れない。

「いつまでも落ち込まずにしっかり生きろ」というメッセージを受け取った気がした。

最後までカッコよかったキング。

少しでもチャドウィック・ボーズマンのようにカッコよく生きれるように、頑張ろうと思える一本です。

ワカンダ・フォーエバー!!

見た後は絶対に欲しくなるグロック19