あの時、俺は中学生だった。俺はニコラス・ケイジになりたかった。
どうもご無沙汰しております。1ヵ月くらい更新が空いてしまいました。
何をしていたかというとビーパワーハードボイルドの事はすっかり忘れてギターばっかり弾いていました。
もともとアメリカのロックが好きなのだが、最近は年を取ったせいか、アメリカ南部の泥臭い音楽が好きになっており、レーナード・スキナードをずっと聞いています。
彼らの最大のヒット曲である“sweet home alabama”を練習していると、
まだ見たことのないアメリカ南部の広大な大地、美しい自然。
いくつになっても主食はコーラとフライドチキンのおじいちゃん、おばあちゃん達
そして長髪を風になびかせてやさしく微笑むニコラス・ケイジを思い出す。
未だに強烈に印象に残っているが、ビデオのレンタルがはじまったのが、98年の4月で中学1年生になったばかりの俺は新たに始まった中学校生活より「コン・エアー」の方が楽しみだった。
“DIE”sukeさんも当時レンタルするためにお店で6時間粘ったと書いていたのを思い出した。
今でこそ繰り返す結婚と離婚や借金といったスキャンダルでバカにされてるような扱いを受けるニコラス・ケイジだが、「リービング・ラスベガス」ではアカデミー賞を受賞、
何より90年代半ばの彼は96年に「ザ・ロック」97年に「コン・エアー」、「フェイス/オフ」と連続で出演し、まさにハリウッドの頂点だった。
期間にしてわずか2年間だが、この3作をリアルタイムで経験した俺のような人間の中では未だにニコラス・ケイジはカッコいい存在。
というわけで、1997年の名作「コン・エアー」を紹介します。
あらすじ
レンジャー隊員を引退したキャメロン・ポー(ニコラス・ケイジ)は退官して身重の妻の待つ故郷のアラバマに帰る。
キャメロンが「ハミングバード」と呼ぶのも理解できるくらい、美人な妻トリシア。
トリシアが働くバーで再会を喜ぶ二人だが、タチの悪い酔っ払い達に絡まれる。
店を出ても絡んでくる連中。放っておけば良いのだが、ポーはなんといっても全盛期のニコラス・ケイジだ。
売られたケンカをしっかり買った結果、素人相手にレンジャー仕込みの格闘術を披露。
酔っ払いの一人を殺害してしまった。
レンジャーを引退したばかりなのに裁判沙汰になったポー。無罪を訴えるが、「レンジャー仕込みの格闘術ははっきり言って武器だよ!!」と正当防衛は却下され収監される事に。
妻と生まれてから一度も会えていない娘との文通が唯一の希望であったムショ暮らし。
8年後、模範囚としてついに仮釈放が認められたポー。
娘へのお土産もばっちり。そこで冒頭紹介した映画史に残る笑顔を振りまいて連邦保安局の囚人輸送機「コン・エアー」に搭乗。
後は帰るだけなのだが、なんとポーが乗る便が
天才凶悪犯のサイラス(ジョン・マルコヴィッチ)、
ゲリラのカリスマであるダイヤモンド・ドッグ(ヴィング・レイムズ)、
連続強姦犯のジョニー23(ダニー・トレホ)
とハードな奴らが絶賛同乗。さらに護送官達の囚人への扱いは最悪。
もし高倉健さんなら出所後はビール、かつ丼、ラーメンを味えるが、「コン・エアー」の監督は長編デビューのサイモン・ウェスト(「エクスペンダブルズ2」「メカニック」など)なのでそう簡単にシャバの空気を味わえない。
離陸後ほどなくして、サイラス達にハイジャックされるコン・エアー。
ハイジャックされたコンエアーは当初の予定通り、途中のカーソンシティで6人を降ろし、
新たに麻薬組織の御曹司シンディーノ(こいつを送り届けることで大金を経て高跳びの予定)
さらに37人を殺した連続殺人犯ガーランド・グリーン(スティーヴ・ブシェミ)が搭乗。
あまりの危険人物のため「触ると殺される」と言わんばかりに超VIP待遇で運ばれるガーランド。案の定、搭乗後ポーにガンガン喋りかけてくる!!やめろや!!
サイラスは囚人に偽装していたDEAのシムズを射殺し、シンディーノが脱走用に手配していた
飛行機のあるラーナーに向かう。
ここで途中下車し、後は陸路で帰路につくべきだが、ポーは当時飛ぶ鳥を落とす勢いのニコラス・ケイジだ。
ムショ仲間で重い糖尿病を患うベイビー・オー(ミケルティ・ウィリアムソン)や人質になっている護送官を見殺しにできない。
正直プランはないが「まずは状況をみんなに伝えなくちゃ!!」と事故で死んでしまった囚人に「緊急事態、コンエアーはラーナーに行く」とメッセージを書き機内から地上に向けて死体を投下するのだった。
ほどなくして、地上では「天空の城ラピュタ」ばりに空からおっさんの死体が降ってきた!!という事で連邦保安官ラーキン(ジョン・キューザック)達がトラブル対応に追われていた。
連絡方法についてはどうかしているが、ポーの経歴や妻トリシアとの面談から、ポーを信用していいと判断したラーキンはラーナーに向かう。
偶然合流したポーとラーキンの機転で囚人たちを裏切って逃げようとしたシンディーノを妨害。
怒ったサイラスがシンディーノをジェット機ごと燃やす、かけつけた州軍相手に逃亡は一旦忘れて銃撃戦
どさくさに紛れて女護送官をレイプしようとしたダニートレホを鉄拳制裁、ベイビーオーの
インスリン注射も無事済ませたポーだが、内通者がいると感づいたサイラスにバレて機内は修羅場に。
更に外では同僚シムズを殺されたDEA捜査官のマロイが怒りのあまりヘリでコンエアーごと撃墜させようとしてくるご乱心!!
容赦なく人に向けて機銃を向けてくる。
エンジンがやられたコン・エアーはラスベガスに不時着。
カジノに突撃し、街は混乱。それに乗じて逃げようとするサイラスを追うポーとラーキン
果たして無事に嫁と娘の元に帰れるのか?
何度も書いている通り全盛期のニコラス・ケイジなのでムショにいる間もコミュ力の高さで仲の良い囚人が出来たり、筋トレに励み自分磨きを欠かさない。妻と娘との文通だけが唯一の希望と言っているが、見る限り割とエンジョイしている。
筋トレも成功し、見事な細マッチョ体系になっており、おまけに長髪で髭もたくわえている。
記事を書くにあたって観返したがやはりニコラス・ケイジはカッコいい。
ニッケルバックのチャド・クルーガーはデビュー当時この時のニコラス・ケイジをまねていたはずと信じている。
大爆発をバックに全力疾走する姿は「ニコラス・ケイジしか勝たん」状態。
リアルタイムでない皆さんにも是非とも見て欲しい。
あなたのケイジ感が変わるはずだ。
俺が昔付き合っていた彼女に「ハミングバード」と呼んでドン引きされた黒歴史もわかってくれるはず。
また、当時は全く気にしていなかったが、製作がジェリー・ブラッカイマー、監督がサイモン・ウェストと鉄壁の布陣。
量を間違えた多すぎる火薬
火薬に応じるかのようにブーストされる正義感。
最後は心温まる家族愛
とハリウッド映画の魅力を完備している。
傑作の基準の一つで「信じられない光景を目にする」という持論があるが、飛行機からポンポン落下する死体やスポーツカーは現実に疲れた心と体を癒してくれる。
主題歌である“sweet home alabama”を歌うレーナード・スキナードが77年に飛行機事故でメンバーの多くを死んだバンドで劇中でもご丁寧に
「飛行機墜落事故でメンバーが死んだバンドの曲だ」
と触れるのは少しばかり悪趣味だが、軽快な音楽がさらに映画を爽快にしてくれる。
映画同様、音楽に対してもアメリカに憧れるようになったなぁと思い出した。
こんな世の中だからこそ開始5分で頭が空っぽになれるエンターテイメントはぴったり。
コン・エアーを見てニコラス・ケイジのようにジーパン&白タンクトップで全力疾走しよう(マスクはしっかりつけてね!!)
死ぬまでに一度は大爆発の中を全力疾走したい。
“Sweet Home Alabama”が収録されたレーナード・スキナードの2ndアルバム。
1stがヒットしたこともありアルバムタイトルが「Second Helping(おかわり)」と洒落が効いている。
最近ずっと観ている2019年のライブブルーレイ。アメリカの良いところが詰まっている。