※本来は公開日(3月11日)に掲載予定でした。
まさか自分がコロナ陽性になるとは思っていなかった頃の文章です。
※ネタバレしていますのでご注意
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「バットマンの新作」というだけでうれしくなる単純な俺ではあるが、今回は期待半分、不安半分だった。
主演が「TENET」で漢気溢れる相棒を演じたロバート・パティンソン。
活動2年目のバットマンを描くという事で「イヤーワン/イヤーツー」的な物語なのかとか想像しながらも予告で使われている「ジョーカーを越える衝撃」という言葉が引っ掛かかっていた。
「ジョーカー」は衝撃的な映画だったし大好きな映画だが、現実が映画を遥かに超えてひどくなってしまった。
収まらないコロナ・ウィルス、戦争、給料はあがらないのに全ての物価の上昇・・・
街では高級時計からガンプラまで小汚いおっさんが転売僕的で並び
ネットでは何者にもなれなかった連中がフェミ二ズムを盾に自尊心を慰める。
「ジョーカー」は記事を2本書くほどハマったが今観たら、ホアキン・フェニックスの首を絞めて「白塗りするならRockしろ」と無理やりKISSのメイクにしてしまうかもしれない。
少し話が逸れたがジョーカーと同じ路線だとチープになりそうと感じていた。
今回2月に一足早く観賞させて頂いた。
新しいバットマンはヤバい奴だった。
マスクはどことなくSMのグッズっぽいし、暗闇から姿を現して不良グループをボコボコにする様子はヒーローというより単純に危ない人だった。
ダーク過ぎるのもなぁ。画面も暗すぎると最初の印象は良くなかった。
リドラーの殺人現場に颯爽と現れるバットマンだが、ゴードン刑事以外の警官の大半がバットマン自体をあまり知らない様子で「誰やねん」状態。
現場に一人、変な恰好した奴がいる。
誰もが白い目で見ている。
「これなかなか恥ずかしい状況だな」と思いながら見ていた時だった。
バットマンが証拠品を触り始めたので一人の警官が「おい、おまえ何してんねん!」
と注意する。
するとゴードン刑事が一喝する。
「いいだろ。革手袋してるじゃないか!」
・・・・・
よくないよ!!
このセリフで急にこのバットマンの世界観が好きになった。
物語自体はアクションというより古いところだと「セブン」を彷彿とさせる推理サスペンス。
連続殺人現場に落ちているヒントを元にバットマンとゴードン刑事で真犯人を突き止めていくのだが、現場に行って相手を殴ってヒアリング、必要に応じて車をぶつけるなど行き詰ったら暴力で捜査を進めていく。
この雑さ。俺は大好きだ。
物語が進むにつれてロバート・パティンソン版バットマンの真の魅力が姿を現す。
すぐ人を殴るし、全く日光を浴びていないような肌に曇った目。
マスクをかぶる前にキチンと目の周りを黒く塗ってあるのはバットマン初ではないだろうか。
この通り明るさは皆無なのだが、実は超が付く「やさしい人」だったりする。
まず金持ちアピールをしない。バットケイブも滝を抜けて入れるとか凝ったギミックがない。車もバイクもこれまでのようにド派手ではない。
そしてアルフレッドにめっちゃ優しい。アルフレッドがケガをすればお見舞いにも行く。
これは忠告を聞かなさ過ぎてアルフレッドを泣かせたあげく家出させたノーラン版とは大違いだ。
キャットウーマンとの関わりも素晴らしい。
本作のセリーナ・カイルはかわいそうな境遇なのだが、バットマンは
「復讐しても仕方ないで~気持ちはわかるけども・・・幸せに生きることを考えた方がいいんちゃうかな」
と全力で悩み相談に乗る。
同性だからなおさらわかるのだが、あれはワンチャン狙っている男のそれではない。
マジで親身になっている。
ちなみにキャットウーマンを演じるのはゾーイ・クラビッツだが生きる伝説のロックスターであるお父さんよりもRockしていたと書いておきたい。
この曲の出だしの「Ohhhhhhh Yeah!!」というシャウトが好きなのだが、きっとレニーも娘の活躍を映画館で観て「Ohhhhhhh Yeah!!」とライブを始めたに違いない。
対して本作のヴィランのリドラーはルサンチマン精神溢れるジョーカー予備軍だ。
孤児院で育った。行政は何も援助してくれなかった。
自分は本当にかわいそうな人間だ。誰も助けてくれなかった。愛してくれなかった。
だから街を破壊する。
全てワークマンで揃いそうな安上りの衣装だったので最初は好きだったが、
男のくせにラテアートが好きなあたりや、ネチネチした喋り方で一気に嫌いになった。
「おまえはバカだ」「だから金持ちのボンボンは・・・」とネチネチ挑発するリドラーに
バットマンはしっかりと答える。
「金持ちは関係ないやろ!!」と。
バットマンも特に人から支持されていない、むしろ気持ち悪がられている。
家族のトラウマもある。
めちゃくちゃ金もあるから引っ越しすれば良い。
しかしバットマンは毎晩自主的にパトロールをして生活指導及び鉄拳制裁でゴッサムシティを少しでも良い街にしようとした。
ゴッサムシティ史上最大のピンチに立ち向かう姿は最高に眩しかった。黒いし愛想はないけど。
その結果人々の心の中で「変な人」から「街の英雄」に変わっていく。
「結果的に俺の行動が人々に良い影響を与えたみたい」を謙虚に話すバットマン。
愛想は本当にない。初対面の印象は良くない。ただ本当に良い奴。
観終わった頃俺は最高にこのバットマンが大好きになった。
フィギュアもホットトイズが発表された瞬間に予約した。
ひとつだけ文句をつけるなら3時間は長い。もっと短くできたはず。
早く喋るとか、できるだけ無言の時間を減らすとかして・・・。
冬も終わり春が来た。
俺のように地方在住の方は「地元が嫌だ。おもしろくない、やっぱ東京に行かないと」と
思う人も少なくないだろう。
そんな時は本作を観返して欲しい。少しは地元が好きになれるのではないだろうか。
俺もふるさと納税の返礼品を自分の住んでいる街にしようと思う。
例え、返礼品が1万円近く払ってもらえるのが1,500円くらいで普通に売っている菓子の詰め合わせだったとしても。
いよいよ3月11日公開。デカい劇場で観るのが楽しみだ。
パンフレットやグッズも欲しい。
公式ページにコメントさせて頂きました。松坂桃李にいつか会ったら「僕も刺激を受けたよ!共通点が出来ましたね!」と馴れ馴れしく絡む事を妄想してたらホームページがフリーズしました。俺ワーナーさんに迷惑かけたかもしれん。
映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』オフィシャルサイト (warnerbros.co.jp)
3日間ほぼ寝たきりだったのがようやくましになりロバート・パティンソン以上に死んだ目で更新しました。
俺が映画館に行けるのはもう少し先になりそうだ・・・・
予約済
マジで着ぶくれしてた
バットマン1年目2年目を描いた原作。俺も持ってるけどこれを参考にしてるっぽい