「観た後に何も残らない映画」というのは良い。
コロナに限らず世の中全体が落ち込み過ぎている。
俺が20代前半の頃でも「景気が悪くなった」と言われていたが、物価が安かったからそれなりに贅沢できた。
30代も後半になった今や、タバコは2日間かけて吸い、丸亀正麺ではかしわ天を取るか取らないかでいつも30分悩むので迷惑客扱い。
ガンプラが転売で品薄と聞いて世も末だと思ったが、家にあるガンプラ(1/144 ヒルドルブ)を調べたら落札相場が15000円だった。
友達の結婚式の余興のお礼金で買ったものだ。
明日の飯のためにヤフオクに出品しようとするが、あの日の友達夫婦の笑顔、車いすに乗って参列していた友達のおばあちゃんがガンタンクにそっくり・・・いや、柔らかな表情を思い出して、思いとどまる。
「クソぅ!なんてみじめなんだ!!」毎晩声を押し殺して泣く。
ビーパワーを始める前から「観ている間は現実を一切忘れることができる映画は名作」
と書いていたが、現実が苦しくなりすぎている今は昔以上に強く思うようになった。
数年前にNetflixで配信された「ヒットマンズ・ボディガード」は現代の映画とは思えない人命の軽さと火薬の多さから
・戦う目的をど忘れしたランボー
・「コマンドー」二人プレイ
・「シン・バッドボーイズ」
と「観た後に何も残らない映画」のトップクラスだった。
「ヒットマンズ・ボディガード」のエンディングテーマ。画と音楽のギャップがとんでもないことになっているので必見。
そして4月13日に続編である「ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード」が公開された。
前作は配信限定だったが、めでたく劇場公開!!やはり映画館で観れるのは嬉しい。
今回もライアン・レイノルズはひどい目にあい続けて物語が進むにつれて目が死んでいたし
サミュエル・L・ジャクソンは元気があり過ぎて存在が不適切だった。
(個人的にサミュエルといえば「ロング・キス・グッドナイト」や「ダイ・ハード3」など規格外の主人公に振り回される気の毒なおじさんの印象が強いので自ら引っ張っていく存在になって成長したなーと感激した。)
二人に加えて今回はアントニオ・バンデラスやモーガン・フリーマンも登場。
ライアン・レイノルズも誰もが認める「フリーガイ」だが、フリーっぷりはやはりフリーマンの方が上だなぁ、と終始死体と爆発が起こり続ける光景を見つめながら思った。
そんな前作にあったわずかな理性を吹き飛ばした本作だがMVPは間違いなくサルマ・ハエックだ。
前作でサミュエル・L・ジャクソンの嫁役でわずかな登場時間ながら強烈なインパクトを残した彼女が今回はタイトルでもわかる通り、中心人物としてオープニングから登場。
デスペラードを彷彿とさせるアントニオ・バンデラスとの再共演はもちろんだが、巨乳を揺らし、下品なセリフと銃弾をまき散らす姿にこれまでなかった感情・・・
エロさとは違う尊敬のようなものを感じた。
思えばサルマ・ハエックの役者人生は壮絶だった。
24歳の時に英語が話せないままロサンゼルスに移り演技を学ぶ。
「デスペラード」のヒロイン役で注目されるが、ベッドシーンの撮影は今でもトラウマなほど恐怖だったらしい。
先日話題になったハーヴェイ・ワインスタインのセクハラでも声を挙げていたが、
その美貌やスタイルの良さ、身長の低さ(157cmらしい)でセクハラを受けたのは一度や二度ではないはず。
MCUの「エターナルズ」でヒーロー達のリーダー、エイジャックを演じており、俺も
「あのセクシーさを売りにしていたサルマ・ハエックが立派な女優になって」
と思っていたのだが、公開時に掲載されていたインタビューで以下のように語っていた。
「ずっとヒーローになりたかった。
ただ、自分のようなラテン系の女はハリウッドでもらえる役は売春婦かマフィアの女くらいしかない。
それが50代半ばになってヒーローになれた。衣装合わせで泣いた。
とてもありがたい。あきらめていたができない事はない」と。
アジア人や黒人については目にしてきていたが、ラテン系で女性というのもこんなに苦労するのかと反省し、「いつまでもエロい人」という印象が大きく変わった。
そんな背景を読んでいただけに、本作で胸をはだけて乳を揺らしまくり、コスプレや青姦まで決めるサルマ・ハエックに対して今も戦い続けるスタローンやシュワルツェネッガーのような敬意を持った。
老いは容赦はない。特に女性はなおさらでハリウッドでも30歳を超えると一気に仕事が減るみたいな記事を読んだこともあった。
劇中のサルマ・ハエックは今も変わらず華やかなヒロインであり名だたる名優がかすむほどの存在感だった。
アクションスターがいくつになっても筋肉を見せつけるように、サルマ・ハエックにはこれからもセクシーをまき散らして欲しい。
なんならクリント・イーストウッドばりに生涯セクシーを貫いてほしい。