骨太正義派宣言!『ゴールデンボンバー』

かつてキリストは言った。

「人はパンのみにて生きるにあらず…

たまには濃い目のラーメンも食べなきゃね!と。
このように濃い目のラーメンを食べたくなるのは有史以来の本能ある。
それは映画も同様!

この文章を読んでいる方の中にも、今まさにハングリーな人もいるであろう。

そんな人に「へい!お待ち!」と出したくなるカロリー高めの映画がある。
それがハルク・ホーガン主演『ゴールデンボンバー』だ!!!

見渡す限りムキムキ・テカテカ。

画面だけでも胸やけ必至な作品である。

ミッキー・ロークの『レスラー』がB面だとすれば、こっちはA面!

終始ハードロックのようにゴキゲンな縦ノリだ。

悲哀、切なさ、偏差値を投げっぱなしジャーマンで地平線の彼方までブン投げている。

その代わり、夢とロマンとワンパクが詰まっているのは確かだ。

ジェシー・ベンチュラ、スタン・ハンセンと知ってる人は知ってる、知らねえ人は全然知らねえメンツが体固め…じゃねえや脇を固めている。

いつしか映画もインテリが能書きを語る為のモノになりつつあるが、本作のノリは逆。

俺のようなバカは震える。

否、バカしか震えない作品だ。

『レスラー』とは別の意味で『プロレスはやらせ』の一言で終わらせないパワーが全編にみなぎっている。

主演は当時、一世を風靡したプロレスラーのハルク・ホーガン。

本作では、ほぼ演技らしい演技はない・・・ていうか、ほぼホーガンなわけだが、プロレス仕込みの凄まじい顔面演技は必見だ。

ビジュアル面でのインパクトはそれだけでは留まらず、ダメ押しのようにどうかと思う私服のセンスを披露!

この個性的すぎる私服も24時間プロレス営業という劇中のキャラを表している。

かつて新日本のリングで「現代に蘇ったネプチューン」「美しき殺人兵器」と古館アナに呼ばれれた二つ名は伊達ではない!!

おかげさまでワルのお手本みたいなパワハラ悪徳社長に上から目線で提案されようが、フィジカルでパワハラを返す。

更には車で拉致されても頭を使わずパワーで何とかする、偶然入ったダイナーに強盗が来ても店ごと破壊して解決(?)笑顔で煽り運転からのダイナミック人身事故コンボなど…映像のアックスボンバーを繰り出してくる。

誰しもがキャッチコピーの『骨太正義派宣言』に偽りはないと悟るだろう。

そんな向かうところ敵なしのホーガンの相手がゼウスだ。

早すぎたBREAKING DOWN  in 治安の悪い居酒屋でスカウトされた暴力装置である。

目が合おうもんなら売ります・買います喧嘩のブックオフ状態。

辞書で凶暴を調べたらゼウスと出てくるんじゃないの?と思わせるヤンチャっぷりだ。

悪徳社長の手引きによりゼウスはホーガンへ挑戦状を叩きつけるわけだが、この男にとって暴力こそが言葉。

…というわけで、ホーガンの弟を半殺し!

ズタボロになった弟を挑戦のメッセージカードにするのであった。

この常軌を逸したゼウスの『骨太悪役宣言』も本作では見逃せない。

このゼウスの所業に対し警察に通報しろよ!という話であるが、果たしてホーガンの頭の中に警察に頼るという選択肢はなかった。

奴らは俺のプロレスでキャン言わせたる!と決意し、ゼウスの挑戦を遂に受諾!

強烈な顔面鋼のような肉体を持つ二人のレスラーは、いよいよリングで対峙するのであった。

どう考えても地上波NGの二人。

予想通り試合は荒れに荒れ、最終的に3カウント、リングアウトといったルールをド忘れ!

画面狭しと狂乱ファイトが繰り広げられていく。

早い話が大筋はジェネリックな『ロッキー3』なわけだが、奇しくもホーガンはサンダー・リップスを演じ、本作での役名もリップだ。

スピンオフとは公式で明言はされていないが、匂わせが半端ないなあ!おい!!

今でこそ映画でも色々配慮しているアメリカ。

だが、本作では全然配慮していなかった時代の作品である。

しかし、デタラメだけどパワーがあったのは確かだ。

映画の中でバカがバカのまま野放図に生きていた。

そんな当時のアメリカの映画事情が伺える。

ともあれ、ただただタフなガイ達がバチバチにやりあう。

それだけで作品として成立しているのは、ある意味で映画の奇跡としかいいようがない。

かつて燃える闘魂アントニオ猪木を6.2衝撃の蔵前にてアックスボンバーで沈めた実績を持つホーガン。

物好きな皆さんも是非、映画という名のアックスボンバーを食らって猪木同様舌出し失神KOされて欲しい。