ジェームズ・ガンの本気。知性も品性もない名作「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党集結」

この度ジェームズ・ガン監督でDCのヴィランによる戦隊「スーサイド・スクワッド」が新たに作られた。

2016年に公開されたデヴィッド・エアー版「スーサイド・スクワッド」も
戦闘中に「休憩」という名目で飲み会を始めるという点で革新的な映画だった。

あまりにもハード過ぎる任務に「やってられん!!」と飲み会を始める面々。
一杯ひっかけながらお互いの身の上話をする内に猛スピードで絆を結ぶ悪党達

最後は死者も出しながら友情と友情がぶつける展開。
まるで実写版「キン肉マン 7人の悪魔超人編」だった。

参考:デヴィッド・エアー版「スーサイド・スクワッド」の記事

アメリカ版「キン肉マン~7人の悪魔超人編~」スーサイド・スクワッド感想※ネタバレあり

ハーレイクインの衣装がハロウィンの定番になったものの結果的に一般的な評価は低かったみたいだが、「戦闘を中断して飲み会を開催」のインパクトが凄まじく個人的に今もリスペクトに近い感情を持っている。

前回の監督のデヴィッド・エアーの降板等製作前に何度か監督の交代があったり、
続編ではなくリブート的な位置づけになったりと、紆余曲折があったが新監督は当時、過去のツイッターでの投稿が理由でディズニーから解雇されたジェームズ・ガンにおさまった。
(その後、世界規模の署名運動により解雇は撤回された。)

ジェームズ・ガンといえば「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」でおなじみの通り

・はみ出し者たちの美学
・不器用な友情
・膨大な知識による音楽センスとブラックジョーク
・どれだけ成功してもインディーズ精神を忘れない

という描写に特徴がありスースクの監督には最高の人選だと思っていた。

ありがたいことにワーナーさんにご招待頂き一足先に試写で観賞した。

宣伝会社さんから「限りなくR18よりのR15なので心してください!!」とこれまで聞いたことのないすごい紹介があったわけだが

ドン引きするくらい知性も品性もないのにおもしろかった。

これは勝手な推測だが、マーベルで散々貢献したのにディズニーから過去のツイートを掘り返されてクビにされるという酷い仕打ちを受けて、反骨精神に溢れるガン監督としてはさすがにムカついていたのだろう。

ちょうどやさぐれている時にライバル会社であるワーナーから

「DCで映画を作って欲しい。

どんな批判が来ても全部責任はとるから全力で作って欲しい」

とリクエストされたんだと思う。

ワーナー及びDCは解き放ってしまった。ガン監督の本気を。

おそらくディズニーにはなんだかんだで制約がかけられたいたのだろう。

新スースクはオープニングのロゴの出方から既に狂っている。

これは褒め言葉だが普通の神経なら思いつかない(笑)

イドリス・エルバとジョン・シナが「どっちがおもしろおかしく人を殺せるか」
とマウントの取り合いをするのだが、あの結末は・・・

あれはディズニーなら確実にジェームズ・ガンを羽交い絞めにしていたはずだ。

続投のキャラも新加入の面々も「劇場公開後の地上波放送!?知るかよ!!」と言わんばかりに喜々として人を殺す。

旧スースクが良識ある大人達に感じるほどの荒れたナイス害っぷり。

アウト・オブ・ザ・モラル

一歩間違えば劇場公開すら危なかったんじゃないと思うほど最低な連中だった。(※誉め言葉です)

個人的に気に入ったのは

ジョーカーでも尻に敷かれるレベルの肝っ玉姉貴になったハーレイ・クイン

全身秘密兵器の頼れるおじさんブラッドスポート

正義の意味を履き違えた筋肉 ピースメイカー

持病が猟奇的なアメコミ史上トップの陰キャラ。ポルカドットマン

ネズミオンリーのしむら動物園 2代目ラットキャッチャー

以前より自立したリック・フラッグ大佐と以前より性格が歪んだアマンダ母さんも捨てがたい。

ジェームズ・ガン組合のレギュラーであるマイケル・ルーカーとショーン・ガンもしっかりと傷跡を残す。

そしてMVPはキングシャークだ。

※劇中で「ナナウエ」と呼ばれているがハワイの神話のサメ男の事です。「ナナウエ」で検索すればすぐに出てくるので要チェック。

ずば抜けた殺傷能力と知性の低さ。ほっとけばチームメイトを食おうとしたり、頭が悪すぎて「おまえは無線を切れ、喋るな!!」と言われる始末。

声を担当しているのがなんとシルヴェスター・スタローン!!

ビーパワーをお読みの方ならご存知の通りスタローンに勇気をもらい続けた俺だが
キングシャークはロッキー、ランボー、バーニー・ロスに続く超ハマりキャラだ。

人生で一度はスタローンに助けてもらった事がある人は是非とも観て欲しい。

二人の相性はばっちりだし、新スースクはエクスペンダブルズ風味もあるのでエクスペンダブルズ4はジェームズ・ガンに監督して欲しい。

花火のようにはじけ飛ぶ人体、血の洪水。誰一人安らかに死なない。
マシンガンのように乱れ撃たれる小学生レベルの下ネタトーク。

気づけばヒトデの怪獣と戦っている。

完全に気が狂っている展開なのだが、
ジェームズ・ガン監督印の「仲間っていいぞ!!」「世界中のポンコツに送る愛あるメッセージ」がしっかりと刻まれているので観賞後、「なんてすばらしい映画を観たんだろう」と思わせてくれる。

知性も品性もさっぱりないけどアメコミ史に残る名作が誕生した。

観賞後、天下一品のラーマン(こってり)を食べたのだが、映画が濃すぎてあっさりに感じた。

人の味覚も狂わせる新スースク。飛ぶぞ!!


観賞後、深刻なサメ不足になる。フィギュアがどこにも売ってない。


ジェームズ・ガンのゴン攻めっぷりが堪能できる名作

【以下注意】ちょっとだけネタバレ

昨今の映画ではエンドロール後に続編に重要な描写があるのが当たり前だが
マジでどうでもよいものが流れる!!「そこの伏線回収する必要ある!?」と爆笑してしまった。

そしてなんと・・・今回も任務中に飲み会がある!!

伝統はしっかり引き継ぐ!!さすがガン兄貴!!