信頼できる男、「エイドリアン・ブロディ」の信頼できるアクション映画「クリーン ある殺し屋の献身」

タクシードライバー&ブロンソンの濃厚バイオレンス!!
アクション映画のツボを知り尽くしたエイドリアン・ブロディが作る渾身のアクション映画

スターの良い人エピソードは多いが、ひねくれた人間なので
「あれだけ金も名声もあれば心に余裕もできるし、そもそも職業柄良い人にならないといけないだろう」と思ってしまう。

※ただ、内容は機密情報ばかりなので伏せるが先日、業界の方と食事に行った際に「キアヌ・リーブスはインターネットで流れている情報以上に良い人」と教えてもらいました。

とはいえ、パンフレットなどでたくさんのインタビュー記事を読んできた中で、俺の中でめちゃくちゃ好感度が高い俳優がいる。

エイドリアン・ブロディだ。

「プレデターズ」のパンフレットのインタビューで「オリジナル(プレデター1作目)のファンだとおっしゃっていますが、そもそもこういうSF系映画は好きなんですか?」という質問の回答が最高だった。

「意外かもしれないけど、実は大好きなんだ(笑)
子供の頃はアメコミオタクでSF&ファンタジー映画好きだった。
つまんない現実を忘れさせてくれるだろ?だからそういう映画に出れるのは嬉しい。

僕の周りに子供が来て「あなたの「戦場のピアニスト」は素晴らしかったです」なんで言ってくれないだろ?(笑)

だから僕は今回すごく期待している。

子供たちから「あ、プレデターズに出てた人ですよね?」と言われるのをね(笑)

「プレデターズ」にてシュワルツェネッガーリスペクトを体現していたエイドリアン氏。撮影中もアドリブで初代「プレデター」のセリフを引用してウケていたらしいナイスガイだ!!

それ以来、俺が「町中華で一緒に餃子を食べたいハリウッドスター」1位のエイドリアン・ブロディの新作「クリーン ある殺し屋の献身」が公開された。

あらすじ
廃品や廃屋の修理を趣味にしている孤独なゴミ収集員(エイドリアン・ブロディ)
「クリーン」と呼ばれる彼は、隣人のディアンダという少女と心を通わせていた。

ある日、ディアンダが街のチンピラたちに絡まれてしまい、彼女を救うためチンピラたちをボコボコにする。

その中に街を牛耳る麻薬組織のボスの息子がいたことから、クリーンはギャングから追われる立場となってしまうが、クリーンは平穏な生活を取り戻すため戦う事を決めた。

そう彼はゴミ収集員ではなく引退した凄腕の殺し屋だった。

この通り「なめてた奴が実は殺人マシン」系の映画だが、一味違う。

信頼できる男であるエイドリアン・ブロディが主演、製作、脚本、音楽の一人4役に挑戦している。

ご本人の「本作は「タクシー・ドライバー」に多大な影響を受けている。
それにチャールズ・ブロンソンの映画を観て育ったからそういうのも作品に影響している」
という発言もあり影響元も100点満点だ。

スイカを荒らしたクズ共はショットガンで皆殺し!!暴力で勝ち取れ、仲間の平和「マジェスティック」 – Be Power Hard Boiled Z (bphbxxx.com)

実際「その手の映画」として「完璧」な作品に仕上がっていた。

俺が唸った3つのポイントを紹介したい。

①主人公の設定

あらすじの通り本作のエイドリアン・ブロディの主人公設定が素晴らしい。

「廃品や廃屋の修理を趣味にしている孤独なゴミ収集員で元殺し屋」。
もちろん、つらい過去のオーナーでもある。

ちょうど先日ほぼ同じ設定の「サマリタン」を見たばかりだが、あっちは演じるのがシルベスター・スタローンなので、良くも悪くもスタローンがあふれ出てしまっていた。

しかし本作のエイドリアン・ブロディは裏の殺し屋の一面が全く見えてこないくらいに切ない。

直接描写されていないが、エイドリアン・ブロディには普段はスーパーの見切り品の総菜ばかり食べてそうな悲哀が出ていた。

この手のジャンルの映画も増えてきたが、どことなく生活が苦しそうな感じも必須要素だと思う。

「ジョン・ウィック」とか今見返したら家はでかいし、高そうな車を乗り回してるし、「仕事してないのに優雅な生活しやがって」と思うからな・・・。

その点本作のエイドリアン・ブロディは冷えた弁当の気持ちがわかっていると思う。

また廃品を直すという趣味もポイントが高い。

裏の顔が殺人マシンである以上、手先が器用なのは仕事柄(??)納得できるし
「破壊ばかりしているので物を再生することで心のバランスを保つ」と深みを持たせれる。

何より楽しそう。俺もリサイクルショップで壊れたギターとか直そうかな。

②銃描写

ドンパチについてではない。

クライマックスでのショットガンを使ったCQBはもちろんカッコいいし、とどめを刺すときに「Stay Down」と言うのも渋いし、至近距離で撃つ込む照明弾のエグさも最高だったが、もっと素晴らしいのが戦闘準備だ。

エイドリアン・ブロディが戦いに赴く時、「趣味=廃品修理」が覚醒する。

まずいつも通っているリサイクルショップで「狩りをする」と言って防弾チョッキやショットガンを値札も見ずに購入する。

ここで店長(ラッパーのRZA)が気を利かせて「登録番号がないのはこっちだ」と奥からショットガンを取り出す。そしておまけで照明弾のピストルもくれる。

この流れは「コマンドー」の放出品での調達と「ブラック・レイン」の健さんのマイケル・ダグラスに形見分けとして拳銃を渡すという、「法的には間違ってるけど道徳的には正しい気遣い」のとても高度なあわせ技だ。

そこから調達したショットガンの整備が始まる。ペットボトルを流用した簡易サイレンサー作りやストックの切り落とし。

銃好きは戦闘シーン以上、こういう描写がめちゃくちゃ好きだしテンションが上がる。

仕事でも準備が大切というが、アクション映画はもっと準備が大切だ。

この調達から整備までの戦闘準備に時間をかけているところにエイドリアン・ブロディの「本物」っぷりを感じた。

③ご近所物語

世界の滅亡を防ぐとか、人類の在り方とかご立派なテーマもない。
あくまで隣に住む女の子を助けるだけ。

「映画で人を繋げたい」とかいう奴には、まず周りを大切にしろと言いたい。

④上映時間
94分!!

公開している映画館があまりないのが残念だし、映画好きも「またジョン・ウィック系?」と食指が動かないかもしれない。

俺も何も期待せず観たが「クリーン ある殺し屋の献身」はアクション映画のツボを知り尽くしたアクション映画だ。

「アクション映画で育ち、タクシードライバーをベースにブロンソン要素にたっぷり影響を受けた」というエイドリアン・ブロディの言葉に偽りはない。

この記事を書きながら思い出して体が火照ってきているのを感じている。
熱でも性欲でもない、ショットガンをソウドオフにしたくてたまらない。

次の3連休ではリサイクルショップとホームセンターを回ろう。

その前にまずは、風呂に入って落ち着こう。