ゴジラ-1.0公開記念企画『ゴジラ-2.0 第2回 ゴジラ対メガロ』

最近は『ゴジラ-1.0』が劇場公開され、案の定あーでもないこーでもないと日夜、鼻息荒く考察を交えた議論が交わされている。

一般人から見たらマジどうでもよい話で片付けられるが、見方を変えればゴジラという作品への思い入れや期待が伺えますな

だが、かつてマジメなゴジラファンを脳死させた作品があるのをご存じだろうか?

巷ではマイナス1.0どころか『ゴジラ-100』と言わんばかりに石を投げられ続けてきた作品を。

それが『ゴジラ対メガロ』だ!!

「金返せ」「飼っていた金魚が死んだ」 「鑑賞後、思わずテムズ川へ飛び込んだ」

等々…あくまで我々の観測範囲内だが、大きいお友達ファンからまるで親の仇以上に扱われてきた作品である。

かくいう俺がキッズの頃、周りの友人が劇場にあるゴジラのガチャガチャを回してメガロが出ようもんなら、心底落胆していたものであった。

だが俺もあれから大人になった。

それなりに映画も見てきた。

果たして、言うほどヒドい作品だったのか!?

こりゃあ改めて確認するしかねえぜ!

…というわけで、前回の記事に続き今回は改めて『ゴジラ対メガロ』をご紹介しようと思います。

現在公開中の『ゴジラ-1.0』をガン無視でな!!

そんなゴジラ対メガロの(一部の人が)気になるあらすじだが、最初から観る者を殴るようなヤンチャなスタートに目を疑うだろう。

なんと開始早々、いきなりゴジラ達が住む怪獣島が大爆発するのだ!

どうやら何処かの国の兵器実験に巻き込まれたらしい。

「実験する前に下調べしとけよ!」という話であるが、ラドン、アンギラスといったマブダチが爆発に巻き込まれ、ゴジラもフェスに参加した客のようにモッシュ&ジャンプ!する大惨事が発生するのだった。

そして、被害に遭ったのは怪獣島だけではなかった。

この実験に絶賛キレていた国があったのだ。

それが海底王国シートピアであった。

これまでの人類の自然破壊、ダメ押しのような兵器実験に業を煮やし、地上人抹殺を計画!

ショーパブみ溢れるゴキゲンな聖地で、守護神にして兵器怪獣メガロを起動するのであった。

海の王国なら魚とかかな…と思う我々を尻目に起動したのは、まさかのカブトムシ型怪獣!

海底王国なのに、なぜカブトムシ!?

そんな我々の疑問を置いてけぼりにシートピアは地上侵略を開始!

日本中に天変地異を起こしていく。

一方そのころ、発明家である伊吹兄弟と伊吹兄の後輩、陣川はメガロ出現に伴う天変地異に巻き込まれていた。

命からがら、渡辺篤史の建もの探訪に出そうなシャレオツな自宅に帰る彼らであったが、なんとダメ押しのように見るからに怪しい暴漢2名に襲撃されてしまう。

果たして暴漢たちはシートピア王国からの刺客であった。

彼らの狙いは、伊吹兄が開発した人工知能を搭載したロボット=ジェットジャガーの強奪だったのだ。

だが、後輩である陣川のオーバー・ザ・大学生な格闘ワイスピばりドラテクもむなしく、ジェットジャガーメはガロの水先案内人に仕立られてしまう。

「メガロの案内役、自分たちの科学力で何とかできなかったのか?という話であるが、まあまあ重要な強奪作戦に二人しか派遣できなかったあたり、シートピアも人材不足だったのかもしれん。

それはそれとして、ジェットジャガーを案内役に日本中を破壊しまくるメガロ。

だが奇跡は起きた。

創造主である伊吹兄弟のメッセージが彼の良心回路を動かしたのだ

シートピアの支配を逃れ、ジェットジャガーは絶賛島が炎上中のゴジラへ救援を求めるべく、空を駆けるのであった。

もちろん、この事態を黙って見逃すシートピア人ではない。

日雇い人夫としてサイボーグ怪獣ガイガンを宇宙から緊急招集!

果たして勝つのは、スーパーロボット&怪獣王か、カブトムシ怪獣&サイボーグ怪獣か…

今、日本を舞台に怪獣タッグによる天下分け目の無制限一本勝負の火ぶたが切って落とされるのであった。

昨今公開されているゴジラ映画の人間ドラマにキレてる人なら、卒倒間違いなしの本作。

だが、改めて見直してみると「何でだよ!?」な部分も含めて、当時の空気を感じられて楽しい。

ゴジラがプロレスでいうところのベイビーフェイス全盛時代の一本として考えれば、駄作の一言で済ませるのは勿体ない。

東映チャンピオンまつりの一本として公開されたわけだが、冷静に考えれば大きいお友達が小さいお友達向けの作品にキレるのも大人げない話だ。

おかげさまでキービジュアルも何処か牧歌的。

ゴジラ、ジャガー、メガロ、ガイガンの看板怪獣が並ぶビジュアルは、何処かビートルズを彷彿とさせる。

まあメガロもビートル(カブトムシ)だしな!

何?BeetleとBeatlesは綴りが違う?

そういう所だぞ、オタクの悪いところは。

そして、我らが主人公ゴジラである。

登場シーンはそこまでながら、ブラザー精神はシリーズ屈指だ。

実家を燃やされ、ボンヤリと過ごしていたところを、モノ言わぬジェットジャガーに応え、わざわざ海を越えていく。

まあ単純にヒマだっただけかもしれんが。

冒頭の怪獣島への人類の所業を考えればシートピア王国以上にゴジラがブチキレてもおかしくない話だ。

だが、ゴジラもかつてのゴジラではない。

『ワイルドバンチ』ばりに「行くぜ」と言われたら「おうよ」と応えていく。

あるいは『あしたのジョー2』のゴロマキ権藤を思わせる即答ぶりには目を見張ってしまうだろう。

「ロボットがよくよくの事でやってきた時、ジャガーさん、あんた訳を聞いて引き受けたり断ったりしますかね?」というセリフが聞こえてきそうだ。

まあ俺の幻聴だけどな!

本作の真の主人公にして、ゴジラの代わりに出ずっぱりなのが、スーパーロボット=ジェットジャガー。

昔のカップスターみたいな色合い、ヒーローみ溢れるビジュアルを見るに、ゴジラ作品でもかなり異質な存在だ。

シリーズでも異端児なジェットジャガーだが、劇中で披露するナイスガイっぷりは目を見張るものがある。

最初はペッパーくん位の性能しかなく、シートピア人の破壊活動の片棒を担がされるものの、操られっぱなしの状況に「我慢がならねえ!」と長渕剛の『絆~kizuna~』精神でコントロールを脱出!

最終的には人類を守る為、システムが初期化するのを恐れず、巨大化!

そもそも巨大化する機能があったかは、ズバリ分からねえ。

だがロボットだって正義の心に目覚めることができる。

何なら限界だって超えられる。

理屈は置いといて、彼の活躍から学ぶべきことは多い。

つーか、いちいち理屈がなきゃ納得しねえ奴は寝てろ!家で!

見る人によっては「機械が、ジェット・ジャガーが命の大切さを学べるのなら、私達にできないはずはありません」と、ターミネーター2のエンディングのサラ・コナーみたいな気分になれるだろう。

ともすれば「あからさまに特撮ヒーローチックなキャラを、ゴジラという作品に出す意味ある?」と言われるかもしれん。

だが、見方を変えれば、マンネリを打破するべく博打を打ったとも捉えることもできる。

安パイを引きがちな今の映画製作を考えると、中々容易ではない。

成功したか失敗したかを置いといて、製作側のチャレンジ精神は評価に値するのではなかろうか?

そんな彼らに対抗するのがメガロ。

空を飛ぶ、腕がドリルになる、ナパーム弾を放つ、口の中が意外とグロいとスペックが高い怪獣だ。

だが、くまのプーさんのティガーばりにピョンピョン跳ねちゃうのが実に可愛い一面もある。

また守護神という扱いの割に、出張して破壊活動を行うアグレッシブさを披露!

案内役のジェットジャガーがいないと乱心しちゃう設定であったが、助っ人のガイガンが来てからは、ちゃんとタッグを組むなど、空気が読める怪獣らしいのが伺える。

また相棒であるガイガンも、前作で敗北を喫しながらも、再び宇宙からゴジラ相手に喧嘩するあたりにガッツを感じさせてくれる。

また呼ばれたとはいえメガロと地球へ到着即タッグを組めるあたり自分が求められる仕事が分かる怪獣だ。

敵役の彼らの姿勢からも見習うべきところがある、というのを大人になってから思わせてくれた。

他にも政府に頼らず、民間のマンパワーだけで何とかしようとする模写は『ゴジラ-1.0』より先駆けていた意味でも必見な本作。

なんと今年2023年は公開50年周年ということで、youtubeでメガロとジェットジャガーのリブートを公式で果たしている。

作品として世に出た限り、無駄なものなんてない。

今は無理でも、何処かの時代で誰かに繋がる瞬間がある。

そう思わせてくれるゴジラ作品ですよ。

…って、なんだかマジメな締めになっちゃったなあ!おい!

意図せずに!!